浪花ストレンジャーホテル6 | 注文の多い蕎麦店

注文の多い蕎麦店

人間は何を食べて命を繋いできたのか?
純粋に生きるための料理を実践し
自然に回帰することで
人間本来の生活を取り戻します。

このホテルには。
喫茶店とは名ばかりの薄汚い朝食会場がありました。
繰り返しになりますが。
宿泊料にはもれなく朝食サービス。

和食か洋食チョイスできるんですけどね。
和食はまだましなんです。
ご飯に味噌汁。焼き海苔。たまに焼き鮭なんかも。
でね。もう一方の洋食。
食パン1枚。コーヒー。ゆで卵。
洋食??配給食の間違いじゃないの(汗)

仮にもここはホテルです。
怪しげなお客様もたくさんおられますが。
旅行社経由での正規客も宿泊されるわけで。

これで何十年も続いてることが七不思議。

でね。この喫茶店?を仕切ってる人間。
80歳オーバーの老婦人。
年齢を感じさせない達者な仕事ぶり。
なんですけど・・・
いかんせん古い人間。
食事に対する概念もやはり昔のままでして。

賄いもね。ここで貰うんですけど。
おかずがね。どれもこれも臭うんです(汗)

つまりね。彼女の生涯。
少々傷んだものでも屈しない内蔵を鍛えてきたわけで。
もちろん彼女も一応常識人。
お客さんにはそんなもの出しません。

お客さんには出せないような
悪くなった商品が僕らの目の前に出てくるということで。

でも確かに年の功と言いますか。
いくら腐敗臭がしてもね。
腹壊すことはないんです。
その辺の感覚はまるでヨーダ。見た目も含めて(笑)

それがね。いつだったかなあ。
お客さんが市場でマグロ買ってきたんですよ。
冷凍でない新鮮な生マグロ。

あんたらも食べやって。
美味しかったなあ。
ぷりぷりの食感と溶けるような舌触り。
マグロってこんなに旨かったのね。

ところがね。次の日。
彼女。あのヨーダが珍しく欠勤。
ん?どうしたんかなあ。
病気一つしたことなかったのに。

翌日。青ざめた顔色で現れた彼女。
すっかりフォースは剥がれてしまったようで(笑)

どうしたん?おばちゃん。

マグロが当たった。

え?あんなに新鮮やったのに??
菌でも付いてたんかなあ。

違うねん。わしの体はな。
腐りかけのもんばっかり食ってきたからな。
新しいもん食ったら壊れよるねん。

あのボケええ。
あんないいもん食わせよって。

彼女はヨーダではなくシュレックだったようです(笑)

続く。