タイ王国放浪記5 | 注文の多い蕎麦店

注文の多い蕎麦店

人間は何を食べて命を繋いできたのか?
純粋に生きるための料理を実践し
自然に回帰することで
人間本来の生活を取り戻します。

勘違いです。
コパンガンじゃなかった。
コタオです。タオ島。
海亀の島。

面積にしたら30平米もないんじゃないかなあ。
ほんと小さい島。
昔は海亀の産卵地。
そこら中で見られたらしい。

そんな小さな島の小さなビーチに集まった。
はぐれ者の日本人たち。

相部屋の彼はまたもや医者の卵。
というより医学部卒業してフリーター。
そして異常なほど蚊の存在を恐れる。
デング熱ですね。
医学の知識だけはまともなようです(苦笑)

そんな背景も違和感なくなってしまいました。
なんで?どうして?
とかもう言わない。
これが日本という歪な国の常識で現実。
ただしバックパッカーの世界限定。

他にも魅力的な人間ばかり。

年収億を稼ぐ青年実業家。
ただし前年まで。
何を悟ったのか全ての仕事を放棄して放浪の旅へと。

女優かと見紛うほどの美形元看護婦。
今なら看護士ですね。
何故か住居を持たず友人の家を転々。
そして放浪の旅へと。
もちろんあだ名はナース。

イケメンタイ人と結婚し新婚旅行中だという
香港在住日本女子。
そのアンディーと呼ばれる旦那は
明らかに男色家だ。

大学卒業を控えて社会に出るのが怖くなり
全てを投げ出して一人放浪する女の子。
しかもよく一人旅できるなというほどの人見知り。

この奇人達。
たまたまタイ王国に流れ込み。
たまたまこの孤島に辿り着き。
居心地がいいので何となく留まり。
何となくダイビングを始めてしまった。
そんな日本人たち。

そして彼らを指揮する現地インストラクター。
彼ももともとバックパッカー。
たまたまこの地に流れ着き。
あまりの環境の良さに冒険できなくなってしまった日本人。

そして彼を補助する女インストラクター。
彼女もまた元バックパッカー。
たまたまこの島に流れ着き。
何となくダイビングを始めて。
何となく彼を好きになり。
そのまま何となく補助指導員に。

しかも二人は恋人ではないのです。

ああこの何となくゆるい空気。
これはやばいぞ。
早めに逃げ出さないと。

まあとりあえず値段だけ聞いとこうじゃないか。
Cカード取得料金。

日本円で1万2000円です。

安っ(笑)
ほんとにそれでダイビングライセンス取れるの?
ここでしか使えないんじゃないの?
日本で取得しようと思ったら10倍以上かかるんじゃない。

正真正銘ほんまもんでした。
でも12000円の出費はきついな。
この後の旅が。
まだまだ行きたいとこあるしなあ。
さあどうしよう。
やっぱやめとくか。あの空気に染まるのも恐ろしい。

クレジット使えますよ。

迷わずサインです(笑)

こうして不意に訪れたダイビング免許取得の道。
日本人のいない所へと飛び出したこの旅。
あろうことか日本人の小集団に吸収され
しかも潜水道楽に溺れる日々が訪れようとは。
これじゃただのバカンスじゃないか。

まあいいや。何か楽しそうだし。
一歩引いたとこから彼らを観察してやろう。
決して馴染まないぞ。
僕はアウトローなのだ。冒険者なのだ。
決してつるまないぞ。
僕は虎だ。牙はまだある。
迂闊に近寄ると怪我するぞ。
決して・・・

でもやっぱ楽しそう(笑)

続く。