5年という歳月


夫が突然亡くなってから

5年の時を数えた


今さら驚く

もうそんなに

長い時間が過ぎたの?

すっかり

生々しい傷は

乾いていて


少し大きな黒いテーブルに

葬儀で使った

大きい遺影を出し

お盆と命日に

登場する

焼香の炉を出し

木屑のようなお香を

炊いた


好きだった

ビールと

イカのお寿司と

イカのゲソあげを

お供えして


あー、

もう5回目ともなると

テキトーで

アレンジメントの白い花も飾らず


だけど友人から

命日近くに

毎年贈られる

色とりどりのアネモネには

心底 慰められる

そう

みんなにも

忘れられていくから


夫が最後に食べたのは

夕方の桜もちだった

私が進めたのだった

それが死への

きっかけになっていたのでは?と

誰にも言えず

今年まで

桜もちを

怖くて食べられなかった


でも

今年 もう食べられた


命日には

息子も娘も

予定を入れ


私は一人

心静かに

回向のりんを鳴らして

故人たちへ

「元気でやっていますか?

私は元気です。

子供たちもみんな元気です。

見守ってください」

と念じた