新湊高校(富山)の野球部員が、昨年12月に行われた野球部の合宿中に飲酒していたことがわかりました。

部員たちは、決して自らお酒に手を出した訳ではなく、同じ場に居合わせた外部の人間から飲酒を勧められ「断り切れなかった」と話しているそうです。

その後、今年1月に飲酒が発覚し、野球部は約3週間に亘って活動を自粛。

現在は活動を再開しており、飲酒した部員の一部も練習に復帰しているということです。

 

まぁ、野球部に限らず、スポーツの世界では「あるある」な話じゃないですかね。

部活の合宿に居合わせる「外部の人間」と言えば、普通に考えれば「OB」しか居ない訳ですが、得てして「OB」というのは、卒業から長きに亘って、部に多額の〝援助〟を行っているものです。

まして、選手たちは皆、どれだけ野球が上手かろうが一人の高校生な訳ですから、その「OB」から飲酒を勧められれば、たとえ頭では悪いとわかっていても、断れないのが人情ってもんでしょう。

ですから、私としては今回飲酒した部員を一方的に責めることは出来ないですし、どこの高校でも、どこの部活でも、似たようなことはやっていると思いますよ。

今回はたまたまそれが表に出てきただけの話です。

 

もっと言ってしまえば、果たして「お酒とタバコは二十歳から」という法律を律義に守っている人など、この世の中にどれほど居るのでしょうか。

少なくとも私には、飲み会に参加している二十歳未満の奴らが、きちんとソフトドリンクだけを頼んでいるとは思えませんし、大学の喫煙所で我が物顔でタバコを吹かしている奴らが全員、二十歳を超えているとは思えません。

ですから、こんなことをいちいち問題にしていたら、世の中の殆どの会社や学校が謝罪に追われ、まともな活動が出来なくなってしまいます。

勿論、立派な法律違反であることに変わりは無いのですが、一方では、こうした二十歳未満の飲酒や喫煙というのは、社会全体で目を潰ってきたことだと思いますよ。

その根底には、間違いなく大人たちの「俺たちもしてきたんだから」という罪悪感にも似た思いがあったと思うのです。

 

従って、私は今回の件については、法律違反であることを振りかざして彼らを責めるつもりはありませんが、一方では、オフシーズンとは言え、合宿中に飲酒をしたことは残念でなりませんね。

合宿中というのは「練習で体を鍛えること」「食事から栄養を摂ること」「睡眠で体力を回復させること」に専念するべきであって、どこを探してもお酒を飲むタイミングなど有ろうはずがありません。

まして、通常よりも体を酷使している状態でアルコールを摂取すれば、どうしても体力の回復が遅れてしまい、せっかくのきつい練習が身にならないどころか〝キャパオーバー〟で怪我をしてしまう可能性だって考えられるのです。

曲がりなりにも「アスリート」であるならば、絶対にそんな〝リスキー〟なことをしてはいけません。

 

春夏合わせて7度の甲子園出場を誇る新湊高校野球部ですが、もう春は20年以上、夏は10年以上も甲子園の土は踏めていません。

余計なお世話かもしれませんが、これだけ春夏共に甲子園から遠ざかっているのに、合宿中にお酒を飲んで浮かれている場合では無いでしょう。

こんな調子では「そんなことをしているから県予選で負けるんだろ!」と言われても仕方ありませんね。

一人の人間として、法律を順守する意識を持つと同時に、一人のアスリートとして、自分が今、何をすべきなのかをもっと真剣に考えてほしいです。

間違っても、38年前の春の甲子園で〝新湊旋風〟を巻き起こした偉大な先輩方の顔に泥を塗ってはいけませんよ。

ただ、これで処分はしっかりと受けた訳ですから、これから気持ちを切り替えて、13年振りとなる夏の甲子園出場に向けて頑張ってくださいね。