「スーパードミネーター」の名称で活動する私人逮捕系ユーチューバーの男が逮捕されました。

報道によると、男は2020年10月、当時交際していた20代の女性に「難病を患っている」と嘘をつき、現金250万円を騙し取った疑いが持たれています。

男はこれまで「盗撮の撲滅」を謳い、駅構内などで盗撮犯を「私人逮捕」する様子を自身のYouTubeチャンネルにアップしていました。

所謂「私人逮捕系ユーチューバー」の代表格であり、時に犯人を羽交い絞めにするような過激な場面もあったことから、その活動は(良い意味でも悪い意味でも)世間の注目を集めていました。

 

個人的には「やっとこの時が来たか」という感じですね。

昨年末あたりから本格的に私人逮捕系ユーチューバーの逮捕が始まりましたが、その時点で、こうなることは時間の問題だと思っていました。

ですから、今回の逮捕にも驚きはなく、むしろ「遅すぎるくらいかな」というのが率直な感想です。

確かに盗撮は立派な犯罪ですが、一方では、何の権限も持たない人間が、むやみやたらに他人を「拘束」や「制圧」していい訳ではありません。

このような活動が社会的に容認され、YouTube内で収益化までされていることに、嘆かわしさを感じずにはいられませんでした。

それは私が昔から「悪いことをした人にはどんな酷いことをしてもいい」という考えに、どうしても賛同できなかったからかもしれません。

 

そして、恐らくですが、今回の逮捕は所謂「別件逮捕」であり、これから過去の動画を基に、どんどんと「行き過ぎた制圧行為」に対して、捜査の〝メス〟が入れられると思います。

本人たちは「警察から感謝されている」と勘違いしているようですが、当の警察からすれば「余計なことすんじゃねぇよ!」という感じだったでしょうね。

悪人を捕まえるのは警察の仕事であり、何の権限もない私たち一般市民がそこに足を踏み入れるべきではありません。

昨年末からの私人逮捕系ユーチューバーの〝逮捕ラッシュ〟は「警察ごっこも大概にせぇ!」という警察からの強いメッセージだと思います。

 

語弊を恐れずに言えば、私は私人逮捕系ユーチューバーが増殖する社会よりは、盗撮犯が増殖する社会の方がまだマシだと思っています。

なぜなら、盗撮犯は完全なる「悪」なので放っておいても捕まりますが、私人逮捕系ユーチューバーは下手に「正義の仮面」を被って自分たちの「悪」を覆い隠している分、警察としても扱いが慎重にならざるを得ないからです。

そんなタチが悪い輩が増殖してしまえば、社会秩序はいとも簡単に崩壊してしまいます。

如何なる大義名分を掲げようとも「何の権限もない人間が悪人に対して無理やりに正義を振りかざしている」という構図には変わりがないと思うのです。

 

それにしても、あれだけ偉そうに他人を警察に突き出しておいて、いざ自分が警察に捕まった時には何を思ったのでしょうね。

「悪いことしたんだから捕まって当然だろ!」というセリフが、彼らの動画の中では何回も出てきますが、盗撮犯に向けて吐いたはずのそのセリフが、今まさに〝ブーメラン〟となって彼の心に突き刺さっていることを期待しています。

これに凝りて、もうこのような活動は「一区切り」にしてほしいなと思いますね。

ちなみに「スーパードミネーター」は、今回捕まった男を含めて3人で活動してるようですが、残る2人も捕まるのは時間の問題だと思いますよ。

ここ数ヵ月でようやく化けの皮が剝がれてきましたが、結局こいつらは揃いも揃って「悪人を偉そうに成敗する極悪党」だったということです。

そういった意味では、私人逮捕系ユーチューバーは皆「同じ穴のムジナ」ですね。

間違っても、こんな奴らの活動を支持するような人間になってはいけませんよ。