世界の端っこで愛を叫ぶ | ものぐさな春乱のブログ

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もうこの本は絶版だろうか?

「幻想を語る1」

岸田秀氏と6人の対談集である

「1」と、あるから「2」も出たのだろうか?
出てない気がする(笑)




この本の中で、伊丹十三氏との対談にショックをうけた

たぶん20歳のころだから、30数年前だ



自殺しやすい子供とはどんな子供か?

について語っていた




まず円を描く

その中心に子供の絵を描く

通常であれば、人は世界の中心にいる

世界の中心に自我を築く





次にまた、同じように円を描く

そしてその円の端っこに子供の絵を描く

何らかの原因で、ときどき世界の端っこに自我を築いてしまう子供がいる

その子は世界の片隅で、ブルブル震えながら生きている


真ん中にいる子は、多少押されても端っこに行くだけで、いずれ真ん中に戻ることができる

しかしもともと端っこにいる子は、もうそれ以上端っこに行けない

だから輪の中からはじき出される

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そういう子が、

僕はこの世界にいるべき人間ではないじゃないか?

そう考えるのは、極めて自然なことだ





なぜ、この文章に衝撃受けたのか?

よくわからない

僕も世界の端っこで生きていたからかもしれないし、

そんな人を何人か知っていたからかもしれない




そしてその数年後、伊丹十三氏は自殺する

ああ〜、そうか

と、その時思った

彼は、偉大な映画監督であり俳優だったが

ずっと、世界の端っこでブルブル震えながら生きていたのだ



新聞の報道によると、
伊丹氏は、浮気がバレたことを苦にしていたので、それが自殺の原因ではないか?

とか書いてあった

週刊誌には、「ミンボーの女」なんて映画を作ったから、暴力団に消されたのでは?

とあった




いやいやいやいや

君たちは何もわかっちゃいない

あれほどの男が、浮気がバレたぐらいで死ぬか?

暴力団の可能性はあるが、自殺を装うほど巧みな殺しがそう簡単にできるか?

違うんだよ

彼は世界の端っこから押し出されたんだ




おそらくは、生まれ育った環境が

彼を端っこに追い詰めていたのだろう



歯がゆいが、、、



誰が彼を救うことができただろう?

妻の宮本信子という深みのある女でさえ

救うことはできなかったのだ



俳優としての活躍や数々の名作映画は、

ひたすら世界の中心に行きたいと願う、彼のひたむきな努力の結果だったのだろう

そしてその努力は、いつも虚しく頓挫した






世界の端っこに生きている人

僕は少し会話すると、見抜くことができる

男にも女にもいる

どこか態度がぎこちないのだ

世界の中心にいるフリをするために、
この世界に生き続けるために、
死にものぐるいで、身につけた演技だからだ

だから、

そういう人を見ると、

特に女性だと、

裸にしたくなる(笑)



そして、一緒に世界の中心に行こうよ

と、囁いてみたくなる

だが、そんな僕の努力も、たいていは頓挫する



いつだったか

「世界の中心で愛を叫ぶ」というタイトル映画をやっていた

観なかったけど

伊丹十三氏は、

世界の端っこで愛を叫んでいたのだろう




その声の半分は、世界の外側に響いてしまう

そんな、か弱い声を、受け止める耳を持ち続けていたいが、

時として、その虚しさに

僕は自分を壊してしまいそうになる






だから歌うんだ

All you need is love.を、

できることは、何もないから