言葉をしるした札や短冊を、
枝から天井からつるすみたいな
展示があったら いいなぁって思ってるのですが、どうでしょう?
なんか、おふだって、あっちこっち向いて
自分で手でさわって見る、みたいでいいなって。(ユウコ)
言葉の展示方法、どうしようかと迷い中だったんです。
枚数が多いし、壁に貼るかなーって、ぼんやり考えていたけど、
天井から雨みたいに降ってるのもいいですね。
言葉の雨を潜り抜けながら進む感じ♡
わー 言葉の雨ーー(えみな)
***
ソーイングギャラリーで観た西村ゆりさんの展示は、えみなさんにとって大きな転機でした。
ゆりさんにはゆりさんのことばがあるように、自分には自分のことばがあることに気づいたえみなさんは、もうれつに、過去の自分の言葉を読みたくなったのです。
するとそこには、書いたことさえ忘れていたのに、見つけてしまったからには、もう埋もれさせたくないことばたちが、きらきら、ざくざくあふれていたのです。
ブログの底の牧場には、ほとばしるように湧き出た想いが、生け捕りにされたまま、放置されていました。
生け捕りにしたのは、えみなさんなのに。
えみなさんは、そっと、そのことばたちをすくいとり、こんどは、パソコンのフォルダの中に放し飼いにします。
まだ、そのことばたちを、どうしていいかは、わかりませんでした。
ですが、三十一文字にしばられることのない、生け捕られたままのことばたちは、えみなさんにとって、とても新鮮でした。
そのことばたちは、まぎれようもなくどうしようもなく、どんな切れ端であっても、 「えみなさん」だったからです。
もう二度と書けない「一瞬」が、そこに息づいていたからです。
えみなさんは、そのことに、圧倒されました。
(今しかない)
そう思ったのです。
何が「今しかない」のか?
***
6回目のてんけんは、えみなさんが、そんなことを考えている時でした。
「物語の森」開催まで、あと3か月。
個展の案内はがきを作成する期限も迫り、そろそろ、具体的にどういう森を創るのかを決めていかなくてはなりません。
作品も、少しずつでも用意していこうということになり、ユウコさんのアトリエで作業をする予定です。
前に訪れたときは、二階の踊り場から、ほんの少し顔をのぞかせて、えみなさんをチラ見しただけのルキ(ユウコさんちの猫)は、こんどは、ちゃんと、階下まで降りてきました。
えみなさんは、ルキが自分のことを認めてくれた!と嬉しそうにしていましたが、それは、ぼくがちゃんと、ルキにあいさつに行ったからです。ナイショですけどね。
この日は、ユウコさんと「トモダチたち」のご対面です。
えみなさんは、みんなのトモダチたちにメモリカードの中に入ってもらい、ユウコさんのパソコンで会ってもらうことにしました。ぼくも、そのなかのひとりです。
ユウコさんは、ぼくを見て、とっても素敵な笑顔で、「わたし、ティン大好き!」と言ってくれたのです(照)。
ユウコさんは、どのトモダチにも歓声をあげ、えみなさんと一緒に名前を呼んでくれました。
送られてきたデータの中には、影がうつりこんでいたり、明度が低いものなどがあり、えみなさんは心配していましたが、ユウコさんが、きれいにお化粧直しをしてくれました。まるで魔法使いみたいです。
みんなのトモダチがきれいになったところで、どんなふうに「物語の森」にとびだしてきてもらうか、その効果的な演出方法を、えみなさんはユウコさんに相談しています。
何が必要なのかも、二人で考えていきました。
頭の中で考えていることが、だんだんと具体的になってゆくのです。
ユウコさんのアトリエには、いろんな種類の紙があります。
えみなさんのことばを、どんな紙に印刷するか。どんな大きさで印刷するか。どんなフォントを使うか。そんなことも試していきます。
(ぐぅぅ、きゅるきゅるきゅる……)
ぼ、ぼくのおなかじゃありません。えみなさんのおなかの音ですよ。
あっというまにお昼の時間になり、ランチに出かけることに。
「近江八幡のユースホステルのランチがいい感じなの」
ユウコさんの運転で向かいます。気持ちのいい空が広がっています。
「えみなさん、それ、葦だよ。西の湖の葦、有名なんだよ」
「ヨシ?」
ユウコさんが車を停めてくれたので、近くまで行ってみます。
湖畔に群生する葦は、とっても背が高いのです。
葦を揺らす風の音が耳もとをくすぐり、とっても気持ちがいいのです。
「気持ちいいーーーーーーーーーっ」
***
近江八幡ユースホステルに到着です。
(道後温泉みたいな屋根)
と心の中でつぶやいたえみなさんですが、明治の終わりに勧業会館として建築された建物で、有形文化財に指定されているようです。
趣のある建物とはうらはらに、提供されているのは、おしゃれなランチ。
ユウコさんは、チキンと季節の野菜サラダのランチ、えみなさんは、名物だという煮込みハンバーグランチを頼み、デザート三種盛もつけて大満足。
紅茶には、窓ごしの空と木の枝が映っています。
ランチのあとは、またユウコさんのアトリエに戻り、次のてんけんまでに、えみなさんが自宅で作業できるよう、展示作品についていっしょに考えてくれました。
フェイスブックのやりとりの中から生まれた「短冊」による展示。
ユウコさんのメッセージを読んだとき、えみなさんの頭の中には、「言葉の雨」の情景が浮かび、その雨に打たれたいと思ったのです。
えみなさんは、どんなふうな雨にしたいかを、ユウコさんに話しました。
すると、さっそく、ユウコさんが、さらさらと描いてくれたのです。
「なんでもいいから、ちょっと貼ってみる?」
そして、えみなさんが持っていったことばたちの中から、一行ぬきとって、裏紙に印刷してくれたのです。
〈さなぎのように、夢見ていること〉
細く切って、雨のように、無作為に貼ってみます。
「何で吊るす?」
細い紐のようなもの…… タコ糸? 麻ひも?
メインは短冊なので、糸そのものの存在感は、出ないものがいいのです。
「テグスは?」
ユウコさんの御主人は、釣りが大好きなんです。
さっそく、テグスで吊るしてみたところ、しゃっきりして、でも、目だたず、たまに光って、とってもいい感じ!
(この雨に打たれたい……)
えみなさんの声がぼくに聴こえます。
まだ、たった一つぶだけど、えみなさんには、無数の言葉の雨が見えました。
(今は、まだ、さなぎのように夢みていること)
「物語の森」に降ります。
ユウコさんとえみなさんの「言葉の雨」に、打たれにきてくださいね♪
ティン











