「美味そうだな…」
思わず言葉がこぼれた。
それほどいい匂いで美味しそうなんだ。
「どっちがいい?」
加奈がペペロンチーノを取りながら聞いてきた。
選ばせる気はあるのか?
「俺はボロネーゼで」
俺はボロネーゼを取った。
肉が多くてうまそうだ……

「そういえば、加奈は何人家族なの?」
もしかしたら、聞いてはいけない所を突いたかもしれないが、気になった。
「うーん… 4人家族だったよ」
「だった?」
ということは……
「お兄ちゃんは出家しちゃったから 今は寺を出て就職しているらしいよ」
出家か… 俺も一時期友達に勧められたな。
丁重に断ったけどね
「そうなのか… お兄さんとはあったの?」
「うんうん… まだ会えないだって」
大変そうだな……
俺はそう思いながらボロネーゼを食べ始めた。
あ……

「美味い…」
なんかパスタの老舗で出されるような味だった。
最近パスタを食べてないから新鮮だった
「でしょ? 私も大好きなんだ…」
加奈も食べ始めた。
いつもこんなん食べているのかな…
「でも、アイドルって食事制限があるんじゃないの?」
「いや、そんなにないよ お昼は制限があるけど、夜はそんなないし、パスタくらいは平気だよ」
そう言いながら、あっさり食べきってしまった。
俺もすぐに食べきった。

「どうする? 今日は泊まってく?」
何かとてつもないことを言われた気がする。
いや、もちろん断りますよ。 男として
「いや、普通知らない男を止めないだろ?」
俺はそう言って帰る準備を始めた。
「ねぇ… 今日はなんか離れたくないの…」
加奈は俺の服の裾を掴んで準備を邪魔した。
一瞬加奈を姉(仮)から女として見てしまった。
「いや~ 長かったね」
7時だったのが、いつの間にか8時になっていた。
一時間も声を出してると、すぐ声がおかしくなる。
「ほんともぅ…… 喉が持たないよ」
あれから敬語を使ってみたが、本人から「姉弟で敬語使うのはおかしいでしょ!」と怒られた。
今日出会ったばっかりだったのに……
「もう遅いし、何処かで食べる?」
スケジュールでは… 大丈夫だ。
「うん 空腹で死にそう」
本来、空腹を通り越すと腹痛がおきてその後に3日で餓死になるが、物のたとえだから許してほしい。
「そんなにおなか減ったの? なら早く行かなきゃ」
俺は加奈に手を引っ張られるがままについていった。
 
………
 
着いたのはパスタ専門店だった。
「おなか減ったらパスタでしょ
俺はそのまま引っ張られて店の中に入っていった。
「ただいまー!」
ただいま? ここが家なのか……
「お帰りなさい。 あら、今日はお客さんも一緒なんだね」
加奈の母らしき人が現れた。
「うん。 ペペロンチーノとボロネーゼを作って」
加奈は親に伝えたまま、適当な席に座った。
俺も適当な席に座った。
「なんで弟が遠くにいるの? 向かい側に来てよ…」
加奈が指を指した。
確かに、二人しかいないのに離れていたのはおかしいと思った。
 
俺は加奈の前の席に来た。
「いつもは一人で食べているから 今日くらいは一緒に食べよ」
そうか、親がいたとしてもいつもこんな感じなら一人飯になるよな。
なんか… 嫌な現実だな。
 
「ほら、出来たわ」
加奈の母は両手にボロネーゼとペペロンチーノを持って来た。