気がついたら僕は高校生になっていた。
高校では樹と会えたし、彩香と萌も一緒だし、文句のつけようがなかった。
僕は.....

「尚人、今日から高校生なんだから1位を狙えよ。 お前はこの家の跡取りなんだからな」

そんなこと言われなくて分かっている。
どんなに部活を頑張っても、仲間と仲良くなってもこの家を継がなくちゃいけないことくらい。

「そうよ尚人、貴方しか跡取りはいないのよ」

親からのプレッシャーが痛い。
このプレッシャーに潰れて何回引きこもったのか知らないのかな......

「はい、お父さん。お母さん」

正直この生活は辛い。
でも高校に行けば樹たちに会える。

「行ってきます....」

僕はいつもより1時間早く家を出た。
とりあえず彩香の家に行ってみるか.....

彩香の家の前にいくと、煙と物音がした。
もしかして火事!?

「彩香! 大丈夫か!?」

焦って彩香の家の中に入った。
ドアが空いていたことが唯一の救いだった。

「尚人!? なんで私の家の中にいるの!?」

「火事が起きているのに、よく悠長なこと言ってられるな!」

「え? これ火事じゃないよ」

「は? ならこの煙はなんなんだよ?」

「それは.......」

彩香に連れられてキッチンに行ってみると、フライパンから黒い煙が出ていた。 まさか.....

「いやー、久し振りに料理を作ってみたら失敗して......」

これは失敗では済まないだろ.....

「はぁ....僕が作ろうか?」

「大丈夫! まだどうにかなるから!!」

絶対どうにもならないと思う。
でもここは彼女の顔を立てるということで、一人で作ってもらうことにした。

俺はその間、リビングで料理ができるまで見守っていた。

こんな光景初めてかもしれない。
まずこんな時間に彩香の家に来たことがなかったし、ちょっと新鮮だった。

「何ニヤニヤしてるのよ....気持ち悪いよ」

気がつくと頬が上がっていた。
この光景を気に入ってるのかなぁ.....

「できたよ! とりあえずこれで完成できた...」

彩香の顔からは喜びと疲れが同時に出ていた。

一体何時から作っていたんだよ....

「どんな感じにできた?」

「学校のお昼の時に見せてあげるよ」

なんか意地悪だな、でもいいか。
それよりなんかお腹減ってきたなぁ.....

「尚人はなんか食べる? まぁ、トーストしかないけどね」

「うん、トーストがいいな....」

「尚人はいろいろ変わってるね。 飲み物はどうするの?」

「コーヒーで」

「尚人もオッサン化してきたか....」

「まだそこまでオッサン化してないよ!?」

「はいはい、分かりましたよ尚人オッサン」

「だからオッサン化してないのに....」

こんなやりとりをしながら朝を過ごした。
でも、こんな感じで高校生活をやっていけるかなぁ.....

「尚人ー もう行くよ」

気がつくともう7時半。 いい時間帯になっていた。

「分かったー」

俺はブレザーを羽織って、一応挨拶をして家を出た。

「ほら、早くいかないと萌たちより早くつけないよ」

ん? 一体なんの争いをしているんだろう.....
そんなことを考えながら僕たちは学校に向かった。