「わ…分かったよ…」
俺は仕方なくたなばたを吹き始めた。
 
♪~♪~
 
しばらく吹いているとノってきて、だんだん本調子で吹けるようになった。
「ほぉ、なんと面妖な…… どうやって音を出しているのだ?」
どうやらこの人は金管楽器を知らないらしい。
現代人でトランペットを知らないのは珍しいしな……
「知らないのですか?」
「当たり前よ。 そんな音のする楽器、聞いたことがない」
さらっと言った。
本当に知らないのか……
「では教えましょう。 これはトランペットという楽器で、唇の振動を音にするのです」
俺は得意げに教え始めた。
俺はやるのも教えるのも好きだからね。
「唇の振動を? どうやって?」
「では見てて下さい」
俺は楽器なしで唇を震わせた。
「ブルルルルルルル
次にマウスピースを当てる。
「ブー~~」
最後にトランペットに差し込む。
♪~~♪~♪~
「おぉ!  面白いではないか!! わらわにもできるかのぅ!」
少々言葉遣いが古いが、俺と姫(?)は同世代らしい。
年が近くてよかった。
 
「ちょっと待って下さい…… 口紅を付けていますか?」
口紅が付いていると、後で洗うのが面倒になるから貸したくないんだけどなぁ……
まぁ、後で入念に洗えばいいんだけどね
「あぁ… 落とした方がよいか?」
わざわざ落とさなくてもいいのだが……  どうしようかなぁ……
「別に気にすることはないぞ?
わらわに気にしていては何もできないからな」
そういうとあぶらとり紙で口紅を拭き取った。
ティッシュで取ればいいのに………
 
「さぁ、わらわに吹き方を教えてくれ!」
目を輝かせて手を伸ばしてきた。
なんだか子供のように思えてきた。
「いいですか? まず口にマウスピースを付けて、その中に息を通してみて下さい」
マウスピースを取って姫(?)に渡した。
「こ、こうか?」
姫(?)は口にマウスピースを当てて息を入れた。
しかし、スカーとした音しか鳴らなかった。
「ならもっと前の段階からやりますか」
「……そうだな。  これ以上やっても鳴らそうにないからな」
「ではマウスピースを取って唇を震わせてみて下さい」
姫は口を閉めた状態から息を入れた……