「こ…… これを着るんですか……?」
「まぁ、着てみなよ。 きっと似合うよ」
「はぁ… わかりました…」

———20分後———

俺はV系風の執事ファッションを身にまとい、初めてプロの人に髪を固められた。
「おぉ!! 君はほんとにレンくんか!?」
加奈の驚きから分かるとおり、俺の豹変はおぞましさすら感じるらしい。
「声で分かるだろ……」
「おぉ…… なんかレンくんからレン様にグレードアップしたね」
レン様ねぇ… うーん……
「あんまり嬉しくないグレードアップだな」
「いや、格好良さも3割増しだよ!」
加奈はそう言うが、俺からしたら20割増しになっていて別人に思える。

「んじゃぁ爛崎さーん。 そろそろ撮影始めますよ」
「あぁ、はい」
俺は小走りでグリーンスクリーンに入った。
「んじゃぁ何かかっこいいポーズをお願いね」
か、格好いいポーズと言われても……
俺はとりあえずカメラの方を向いて顔をキリッとしてみた。
「おぉ、いいねぇ。 んじゃぁ片手をこっちに向けてみようか」
俺は右手をカメラに向けた。
「手も意識してみようか」
今度は手を返して指をいい感じにした。(説明が難しい)
「おぉ、いいねぇ。 よし、加奈ちゃん投入して」
加奈? いったいどんな格好で出てくるんだ?

「はーぃ、今行きまーす」
加奈が来たとき、俺は一瞬にして心を奪われた(ような気がした)
——白のゴスロリだった———
「ど…どうかなぁ?」
「あ…あぁ、似合ってると思うよ」
俺は正気を取り戻そうと必死になってあまり上手く言えなかったが、加奈は本当に似合っていた。
「そう? よかった。 あんまりひどいこと言われたらどうしようと思って構えちゃった」
加奈は安堵の表情を浮かべていた。
別に似合ってなくてもひどいことは言わないよ……

「そろそろ撮影始めますよ」
カメラマンの声とともに、すべてが動き始めた。
「とりあえず二人とも手を繋いで。 恋人つなぎで手を加奈ちゃんの胸元くらいまで上げて」
「今度は向き合って二人とも見つめ合ってみようか。 おぉ、いい感じだね」
「次は…… お姫様だっことかできる?」

…………

「あぁ! 疲れた……」
「何かカメラマンさんノリノリだったよね;;」
「うん。 大変だった……」
俺も加奈も疲労困憊で次に行きたくなくなった。
次の仕事は……
「二人とも、次はラジオだよ。 休むなら車で休もう」
糸川さんに連れられ、俺たちは車に乗って次の仕事に向かった。