生食用肉のトリミング作業 | MONOCHROME LABORATORY 研究日誌

生食用肉のトリミング作業

ニュースを見ていたら、今世間を騒がしている生食用肉の加工工程を

取材したVTRが流れていた。

加工業者、および販売業者でのトリミング(肉の表面を削ぎ落とす)作業が、

どういうものなのかを説明する内容なのだが、突っ込みどころ満載の作業内容で、

ビックリした。


削ぎ落としするまな板を消毒し、肉のブロックをおもむろに取り出したかと思えば、

早速上面のトリミングを開始。

ココまでは問題ないのですが、次の瞬間目を疑った。

ある業者は、クルッと、肉を引っくり返して、裏面のトリミング。

別の業者も、ゴロゴロと転がすようにして違う面を上に向けトリミング。

ちょいちょいちょい!!

もし仮に、表面に菌が付着していた場合、せっかくトリミングして新しい表面を作り出しても、

その場で引っくり返してしまったら、まな板経由で新しい面まで菌が付着しちゃうじゃん。

VTRでは、「ココまで徹底すれば大丈夫ですね。」なんて言ってたけど・・・

全然大丈夫じゃないと思うよ?

食品衛生関係に詳しいカミさん(食事に関わる仕事で、国家試験有資格者)に、この作業を

どう思うか聞いてみると、案の定「それじゃぁ意味無いじゃん」って、言っておりました。

まぁ、厚生労働省の記者会見を見ていてもわかるように、性善説ありきで規則が

作られているようなので、基準も甘いし、認識も甘い。

これじゃぁ、起こるべくして起きた食中毒だったのではないでしょうか?

今回は、悲しいかな死者が出てしまったので、「業務上過失致死」で刑事事件に

発展してしまいましたが、何年か前に、タレントのたむらけんじさん経営の焼肉店で

起きた食中毒もユッケと生レバーが原因だったわけで、もしもあの時に社会&マスコミが、

もっと敏感に反応して生食用肉に関する衛生管理だったり、今回取り立たされている諸々の事を

掘り下げて取材していれば、今回の事件も防げた可能性もある。



今回事件を起こした業者を擁護するつもりは無いが、ユッケ等生食用の料理を提供していた

全てのお店に起こりえた話であり、今回の事でしばらくは、ユッケを販売見合わせする店が

増えると思う。

例えばそこに、行政の実態調査(今回の件を受け、北海道では、道が実態調査を実施する事が決定。)

が入ったとしても、「現在は、提供しておりません。」で、逃げきれる可能性が大だし、

行政は行政で、事件以前にまで遡って調査はしないはず。(役人仕事なんて、そんなものです。)

結果、ほとぼりが冷めた頃に生食提供の再開が、あちこちで始まり、誰もが忘れた頃にまた

生食が原因の食中毒は、発生する。

たぶん、その繰り返し。

今回食中毒事故を起こした焼肉店の社長が、謝罪会見の席上、マスコミの前でキレ気味に

「だったら、法律で禁止して下さい!」って訴えていた気持ちが理解できなくも無い。

ただ、あの一言で、相当バッシング受けたんでしょうね。

翌日以降、人が変わったように、声のトーンが、違うもんなぁ・・・



まぁ、オレも『食品衛生責任者』の有資格者なので(資格持ってるだけで、業務に従事してませんけど・・・)、

他人事と思わず、食品の衛生管理には、今後も十分に注意したいと思います。