【名 称】: Cobra(LA SPORTIVA)
【ソール】: Vibram XS Grip2
【タイプ】: ややダウントゥ、若干のターンイン
【定 価】: \14,175
【入 手】: 個人輸入
【評 価】: ★★★★☆
言わずと知れた人気シューズのコブラ、究極のオールマイティシューズとはこのような靴を言うのだろう。飛び抜けた性能は無いが全てにおいて高次元でまとまっている。
まず足入れだが、購入当初はゴムの張力が強いので履きにくい面もあるが肌触りの良い皮質ですぐに足と馴染んでくれる。数日も履けば抜群のフィット感が得られるであろう。
形状としては若干のダウントゥとなるが底面が軟らかく柔軟性があって色んな傾斜に対応してくれる。そしてエッジングもそこそこ強力だ。この靴はシャンクの入り方に工夫があるそうで、エッジ部分のミッドソールが厚く、中央部分が薄い馬蹄構造となっている。そうする事でエッジとフリクションの両立を図っているのだろう。
ソールは欧州圏ではもう定番になった『Vibram XS Grip2』、いつもこのレビューで言っているが、やはりVibram系のソールではステルス系のフリクションには勝てない。それはXS Grip2となっても基本的には変わらない事だ。ただコブラはソールと靴底のバランスが良いのか他のビブラム系シューズよりも弾き感が少なく好感が持てた。
ヒールもスポルティバだけあって日本人の足型とは相性抜群だ、オーソドックスな形状ながら適度な剛性感があってどんな場面もそつなくこなしてくれる。
更にコブラの評価を絶大な物にしているのがトゥフック性能の高さであろう。私も色々試して来たがトゥのフリクションは皮に限ると言うのが結論である。トゥフックの使いやすさは現存するクライミングシューズの中でも最上位であると言って間違いない。
サイズ感覚は少し難しく、それでなくても実寸値より大きいスポルティバサイズ(EUR)から更に大きい仕様となっている。実寸24.2cmの私でコブラはEUR36がベストフィット、ミウラーやカタナならEUR37、ソリューションはEUR37.5、スカルパ系の靴ならEUR38と同等サイズに感じられた。このEUR36はカタログデータでUS4.5(22.5cm)くらいだから実際は1.5cmくらい大きい換算になる。
欠点を強いて言うなら靴が伸びやすい、故にサイズ合わせには注意が必要だろう。購入当初から快適に履けるサイズだと確実にガバガバシューズとなってしまう。かと言って限界過ぎるとランドから指が出て型崩れを起こしてしまう。また強力なトゥフック性能と引き換えにアッパーの皮が破れやすい。これらの欠点を解消するためにアッパーをラバー補強する人も多いが、その場合はある程度馴染んでから行う方が良いだろう。
しかしどの欠点も性能との引き換えであり重大なリスクとは言い難いもの、要は特徴と用途をしっかり把握しておけば失敗する可能性は低いのである。そんな訳でコブラは万人に推奨できる万能シューズだと言える。★4つ。