モノブローグ-Veloce


【名 称】: VELOCE(SCARPA)
【ソール】: ビブラムXS-Grip(5mm)
【タイプ】: ダウントゥなし、ターンインなし
【定 価】: $109
【入 手】: 個人輸入

【評 価】: ★★★★☆


スカルパのベローチェは日本では正規展開の無いモデルだが海外ではオールラウンド向け、エントリー向けのシューズとして高い評価を得ており、そのバランスの良さからスカルパの作った『カタナ』とも呼ばれている。


最大の特徴は『とにかく履きやすい』って事、そして『弱点の少ない完成度の高さ』であろう。フラットな靴底、やや硬めのミッドソールでタイプ的にはエッジング寄りの靴だと思うが、ライニングの無いスエードレザーアッパーは驚くほどに馴染みが早く数回の使用で違和感は無くなった。


まあ言い換えれば『伸び易い』って話なのだが限界サイズで履くタイプの靴じゃ無いので普通に選んでもまず問題ないはずだ。


そのサイズ感覚だが、私は実寸が24.3cm、今回はややゆったりめに履きたかったのでEUR38.5(US6.3)をチョイスした。同社のスティックスはEUR38、フェローチェはEUR38.5、ビジョンベルクロはEUR37がジャストフィット、カタナやミウラーはEUR37がベストなので参考にされる方はその辺りから算出して頂ければ大きく外す事は無いだろう。


そして私的に一押しするのがトゥフック性能の高さである。これはサイズ選択にも関係してくるので一概には言えないけど限界サイズでない限りは、かなりのトゥフック能力を発揮するだろう。色もそうだが良く見るとトゥ周りの処理が『某コブラ』に似ていてヘタってダウントゥの無くなったコブラを彷彿とさせてくれる。


ヒールカップは無難と言ったところ、高性能って感じでは無いが使い難くも無い、やや丸っこくて同世代のスティックスやブースターよりは小さいけどフェローチェやビジョンベルクロよりは若干大きいくらいだ。


アウトソールは定番の『XS-Grip』、まあ今となっては特筆すべき部分は無いけどこのソールはフラットなエッジングタイプの靴と組み合わせた時の方が相性は良いようである。


全体的に弱点は無く、まあ強いて言えばベタな形状から被りのかき込み性能は語るまでもなくイマイチだが、しかしスカルパの靴は縫製や作りも非常に丁寧であり某社のカタナが気に入ってる方ならきっと満足度の高い一足になるであろう。


こんな名シューズが日本に正規展開しない理由は上位互換と思われる『フォース』との競合を避けた為だと言われているが、私の履いた感触ではフォースよりもあらゆる面で優れていると言うか自由度が高い、しかも安価な事から軍配はベローチェに挙げたい。


かき込みは★★☆☆☆、エッジングとヒールは★★★☆☆、履き易さとトゥフックは★★★★☆、全体的には★3.5ってな感じである。


モノブローグ-team510


【名 称】: Team5.10(FiveTen)
【ソール】: StealthMystique(3.5mm)
【タイプ】: ダウントゥあり、ターンイン無し
【定 価】: \17,325
【入 手】: 個人輸入


【評 価】: ★★★★★


ファイブテン社が自社の最上級モデルとして開発したクライミングシューズが『Team5.10』である。


ストレートな足型ながら強烈なダウントゥで強傾斜を意識した作りである事は一目瞭然だ。甲部には一本締めのベルクロを装備しているが内容はスリップオンシューズに近い。


まず足を入れてみた感触は、とにかく履き難くて痛い、更に履いた後も強烈な締め付け感が残る。ドラゴンラストと言う事もあってサイジングは『Jet7』よりも1サイズ上げる必要があるだろう。私は『Jet7(US6.5)』がベストフィットで『Team5.10』はUS7.5をチョイスしたがそれでも最初は痛くてたまらなかった。


しかし性能は文句無くぴか一である。最初は硬めに感じたミッドソールも一月ほど馴らせば軟らかくなって最終的にはかなり自由な足使いが期待できる。


ソールには『StealthMystique(3.5mm)』が張ってあるのだが、これがまた良い、限界的なフリクションは『Stealth HF』に劣るものの何となくカチっとした感じがあって、エッジングにも使える『C4』みたいな感じで私的には好感が持てた。


因みに定番ラバーソールの性能を私感で並べてみると、『Stealth HF』⇒『Stealth Mystique』⇒『Stealth C4』⇒『Stealth ONIX』⇒『Vibram XS-Grip2』⇒『Vibram XS-Grip2 Eige』と『Vibram XS-Grip』は同じソール?⇒『FSクワトロ』ってな感じかな!?。


狙い通りに被りの傾斜では抜群のかき込み力とフリクション性能を誇るが、使い込んで軟らかくなれば垂壁やスラブでも使えるようになる。見た目とは裏腹にオールラウンドで活躍出来るシューズと言えるだろう。


ヒールもファイブテンにしては珍しく上出来だ。流石に某ミウラやカタナには劣るが、Jet7等に比べると丸っぽいヒールは奥までキッチリ入るし、ラバーに覆われたヒールカップは横向き方向にも効いてなかなか使い心地が良い。


そしてトゥフックもやり易い、トゥには極太ラバーが張ってあり深いトゥフックでも甲があまり痛くならない利点がある。しかしこの極太ラバーのお陰でアッパー部分が殆ど伸びずなかなか馴染まないと言う面もあるだろう。


靴の作りに関してはもう少し履き込んでみないと判らないが、特別良い印象は無いものの昔ほどの悪さも感じないのでまあ普及点と言ったところか。


欠点はやはりこの履き難さと馴染み難さに尽きる。あまりの痛さに馴染む前にギブアップする人もいるのではないだろうか?。過去のV10やドラゴンと共に履く人を選ぶシューズである。


しかし性能は文句無しで欠点を差し引いても★5つは揺るぎようもない。



モノブローグ-gu


【名 称】: スリムフィットダウンジャケット(G.U)
【定 価】: \2,990
【入 手】: 直営店で1990円にて購入


【評 価】: ★★★☆☆


カテゴリー的にユニクロのライトダウンジャケットと比較される事になると思うがライトダウンジャケットに似て非なる商品である。


安価ながら比較的高い品質を売りにしているユニクロのライトダウンジャケットに対して、スリムフィットダウンジャケットはコストカットを徹底した商品と言えるだろう。


サイズは身長172cm、ウエスト73cmで『Mサイズ』を選択、着心地は悪くないが肩周りに余裕が無く若干窮屈に感じる。しかもダウンの封入量が少なく軽いのは軽いのだが薄っぺらい感じもする

更に縫製が悪く目視でも細かい糸端がそこらじゅうから飛び出している。この糸端は固体差が大きく良く選んで購入する事が肝要だろう。


まあ言ってしまえば安かろう悪かろう・・・。


しかしながら圧倒的なコストパフォーマンスでユニクロ以上の無茶使いが出来る。それが全てであるが今までどの他社にも出来なかった部分でもある。とにかく割り切ってボロボロになるまでハードに使うダウンジャケット、そんな表現がぴったり来る一着であろう。


モノブローグ-un


【名 称】: プレミアムダウンウルトラライトジャケット(ユニクロ)
【定 価】: \5,990
【入 手】: 直営店で3990円にて購入


【評 価】: ★★★★★


結論から言うと実にコストパフォーマンスの高いダウンジャケットだ。


重量僅か206g、とにかく軽くて着ている事を忘れそうである。比較的スリムなデザインなでアウターよりもインナーダウンとしての価値が高いと感じる。


縫製も比較的丁寧で羽毛の飛び出しも少ない、ユニクロの製品はワンシーズン的な扱いをする人が多いと聞くが数年は十分に耐える品質であろう。


サイズは身長172cm、ウエスト73cmで『Mサイズ』がベストフィットな感じである。


ダウンジャケットは洗濯すると羽毛の油分が抜けてよろしくないと言われているが、私は頻繁に洗っている、確かに油分が抜けるかもしれないが汚れも取れてスッキリ爽快に着れる。それにこの値段なら最悪ダメになってもそう痛くはない。


それでも数年は普通に使えるから御の字であろう。実はこの無茶使い出来る気楽さこそウルトラライトジャケットの最大の魅力なんだと思う。


アウターにインナー、部屋着からアウトドアでのハードな着用まで対応するベストパフォーマンスな一着と言えるだろう。


モノブローグ-スペクトロ


【名 称】: SPECTRO(SCARPA)
【ソール】: ビブラムXS-Grip(4mm)
【タイプ】: ダウントゥあり、ターンインあり
【定 価】: $135
【入 手】: 個人輸入

【評 価】: ★★★★☆


この靴よさ気です。いやマジで!。


スカルパ社のスペクトロは日本では取り扱いの無いモデルなんですが、スカルパらしい実に手の込んだ、そして良く考えられたシューズです。


スペクトロは同社の名品『ドミネーター』の流れを汲むエッジングモデルの最高峰として開発され、世代的には『ティフォージ』の後継的な位置付けとなっています。


最大の特徴は『ブリッジシステム』と呼ばれるアーチ型のミッドソールを土踏まずの部分に内蔵する事で、ダウントゥのへたりを軽減、つま先にパワーが集中して最高のエッジング性能を引き出します。


形状はマイルドなダウントゥと強めのターンイン、やや細目ながら矯正力はそれほど強くなく開口部も広いので快適に履けます。またヒールカップは『スティックス』や『ブースター』世代よりも小ぶりでカチっとした印象があります。『スポルティバ』のヒールに似た感じで、私的にはかなり好印象ですね。


タイプ的にはエッジングを重視した作りで非常に剛性感があります。まあ平たく言えば硬い部類の靴です。少なくとも履き始めは初期型ミウラーやティフォージくらいの硬さはあると思います。ただ馴染みやすいアッパー素材に比較的シンプルなトゥボックスで、履き込むと適度に軟らかくなる可能性は秘めています。


ソールは欧州圏では定番の『ビブラムXS-Grip(4mm)』ソール、まあ今更と言う訳でも無いですが、そこそこの性能でそこそこの問題点も抱えてます。


レースアップには『非対称スピードレースアップ』が搭載されています。前半部分はスピードレースアップ、後半は普通の紐締めで一本ずつ締めて行く構造です。これはミウラー等に採用されているスピードレースアップの欠点であった『緩みやすい』をカバーする為であり、ひと手間は増えるもののより確実なフィット感を得られるシステムと言えます。


サイズはEUR38のチョイスで履き始めでも快適って感じ、伸びを考慮すると私の勝負サイズはEUR37.5くらいかもしれません。この世代の靴(ビジョンベルクロからサンダー辺り)は現行のスカルパ標準よりも作りが若干大きいのかも。(私の足の実寸は24.2cm)


このシューズを履いて一番「考えられているな~」と思ったのはアッパー周辺の作りですね。アッパーの先端部分にはトゥフックをサポートするラバーがレースのギリギリまで貼り付けられているのですが、靴紐を引っ張ると前半のレース周りが沈み込んでラバーとフラットな位置になり、トゥフックに影響が出難い構造になってます。ミウラーやカタナレースではトゥフック時にレースが邪魔になるので実に良く練りこまれた印象です。


で、ここまで褒めちぎって来たスペクトロなんですが、難点はと言うと、やはりこの硬さをどう考えるかによって好みが分かれるんだと思います。軟らかい面乗りシューズが好きな人にはハッキリ言って向きません。コンセプト的には『ドミネーター』や『ティフォージ』と同じく垂壁から前傾壁でのかき込みやエッジングを得意とする靴でしょう。


今回はファーストインプレッションなので暫定的な評価となってますが、また履き込んで来ればより正確な記事をお届け出来ると思います。