社会人編の第1巻ですが、内容は第0巻というイメージです。
カムイ南高校生、神楽えも(かぐら えも)は、本巻の最後に北海道を飛び立ちます。
実業団の音羽海上の選手兼コーチである持丸晃菜 (もちまる あきな)が、カムイ南高の柔道部にスカウトに訪れました。
以前の大会で持丸との試合の機会を逸したという思いのあったえもは、強引に、執拗に、持丸の稽古に志願しますが、実力差を実感させられます。
持丸は、当初目的にしていた人材のスカウトには失敗しますが、稽古の時に強い印象を受けたえもに声をかけます。
<持丸( …… …… )
( 神楽えもさん ) えも( え……? )
えも( は…… はい‼ )
持丸( あなた…… )
( 東京で…… わたしといっしょに柔道をやってみない? )
えも( [ いい——⁉ あたし——? ] )
[ えもには、持丸がコブラのごとく見えてくる ]
えも( あたし…… )
( 持丸さんに勝つまでやります⁉ )
[ 持丸は、えもを凝視する ]
持丸( よし‼ 決まった‼ ) >(99-103頁)
決断は為されました。地元の短大から名うての実業団へと、大転換です。
とはいえ、持丸との稽古の開始の場で、<「ついにやれる‼」>(55頁)と喜んだ時点で、すでにこの決断は為されていたのかもしれません。
空港での、母娘の別れの場面の描写はみごとです。母の涙の描写は、いつものことながら、心に沁みます。
*原作 恵本裕子 脚色 構成 作画 小林まこと『JJM女子柔道部物語 社会人編 ①』
えもと ゆうこ こばやし まこと
ジェイジェイエム じょしじゅうどうぶものがたり しゃかいじんへん
イブニングKC 講談社 2024/6/12