初恋 という舞台を見て来ました | 意外と儚のブログ

初恋 という舞台を見て来ました

先日、あしかがフラワーパークプラザで上演された

「初恋」という舞台を観劇して参りました。

 

足利市民プラザ演劇祭2024のオープニングとして

「PPP45°」という市民劇団の第22回公演として

上演された作品でした。

 

PPP45°は、以前「おい乱」という舞台を観劇した事があり

価格の割に、舞台装置等、とってもお得な体験をしていて

機会があれば、観劇したいと思っており、

今回のテーマが、若年性認知症という事だったので、

見応えある作品が期待できると思い、観劇に行きました。

 

 

 

お話としては、幼馴染の二人は結婚するが、

妻には若年性認知症を発症した親族がいて、

プロポーズを受ける時、自分もなるかもしれないと告白し

その際は、捨ててくれと言って、妻はOKをする。

時は流れ、仲睦まじい二人には二人の子供ができるが、

やがて、やはり妻に若年性認知症が発症してくる。

しかし、夫は懸命に介護するが、しきれない様になり、

長男に打ち明けて、手助けしてもらうが、

ついに親子は妻に暴力を振るうようになってしまう。

その父の姿を、小学生の娘が見て、警察に連絡し、

そして、裁判が始まり、夫は犯罪者になり、

妻は、施設に収監されてしまう。

それから、28年後、妻が入居している施設に

年老いた夫が入居してくるが、その目的とは

という感じだったと思います。

 

お話は、2部構成になっていましたが、とにかく見応え充分

第一部は、裁判シーンから入って、

その裁判の中での、被告人である夫の独白から、

なぜ、被害者である妻に暴力を振るったかという事が

明らかになるという、サスペンスタッチの展開でしたが、

とにかく、夫を演じたじゅんさんがうまくて、

彼が、第一部のハードな展開を引っ張っていました。

 

この舞台の本題は、

第二部での高齢者施設の話になると思いますが、

まず、施設の入居者達の高齢者の有り様が凄くリアル。

親族が、認知症で施設に入居して、度々、面会に行くので、あの方々の雰囲気はよく見るのですが、

少し、誇張はあると思いますが、まったくあの通り。

親族の施設と入居者の方々を思い出して、

涙が出てくるのが止まりませんでした。

演じるのは、客演のシニア劇団「燦」の方々、

脚本、演出の村松さんの話では、

実際に看護婦で施設の経験もある村松さんの指導と

本当の高齢者である燦の方々の、

実際の体験と見聞きから出てきたモノで

特別に、施設等で、取材や訓練をした訳ではないとの事。

入居者特有の雰囲気や振舞いに目が釘付けになり、

本筋が、あんまり入って来なかった気がします。

 

お話は、この入居者達と、施設の施設長と介護士達の

ふれあいの中、あるキーワード以外の反応のない妻との

ある病気で弱っていく夫が記憶の奥でのつながりを探し、

断絶していた娘との和解をきっかけに、

家族の最後の時間をより良い形で過ごす

という様に進んでいきます。

 

期待していた以上に、お話もしっかりしていて、

仕掛けも多くて、とても楽しめる作品でしたが、

なんといっても、皆さん演技がうまい。

前回、おい乱を見た時は、若い方々が??という

部分があって、市民劇団だから仕方ないかな

って感じだったが、まったくそういうストレスはなく集中できた

ちょっと、より良い施設と介護士は、こういうもんだよ

って、押しつけがましい面もあったような気がしますが、

これは、介護のプロとしての村松さんの想いが

詰まっての事だと思われるし、悪い感じはしなかった。

 

子供の頃、茨城の海岸で見た若年性認知症の

女性の思い出から出発して、構想していったという

村松さん入魂の、「初恋」という舞台の観劇は

素晴らしい体験でした。

1500円は本当にお得。

 

 

ホント、ありがとうございました。