広重ぶるう を見ました | 意外と儚のブログ

広重ぶるう を見ました

先月ではありますが、NHK-BSで放送された

「広重ぶるう」という時代劇を鑑賞しました。

 

江戸後期の浮世絵師「歌川広重」を描いた作品で

夫婦愛を中心に、人生を浮き彫りにするという内容でした。

 

北斎の人生はドラマ、映画、舞台で何度か拝見した事が

ありますが、広重は全く知らなかったので、見てみました。

 

主演の広重を阿部サダヲさん、奥さんを優香さんが

演じてました。

 

内容は、火消しの下級武士だった安藤家の広重さんは

歌川一門の浮世絵師であったが、地味な画風で売れず

もがいて、家では肩身の狭い思いをしていたが、

妻は励まし、質屋通いを続けていた。

ある日、ベロ藍に出会い、その魅力に憑りつかれ、

そのベロ藍を工夫し、名を上げようとするがうまく行かない。

しかし、決心し、火消しを義理の息子に譲り、武士を辞め、

退路を断った武士としての最後のお勤め、

京都行きを元に描写した「東海道五十三次」で名を上げ、

そして、描きたい絵を追い求め続け、ついに見つけたが

支えてきた妻は倒れてしまいっという感じだったと思います

 

お話としては、決して新味がある感じではなく、

普通のありふれた人間だった広重さんが、

普通のありふれた人々の生活の可笑し味を

名所絵に滑り込ませ、

普通のありふれた人々の人気を得ていくという

数百円程度で買えた浮世絵ならではの

ありふれた話だったのかもしません。

しかし、浮世絵という庶民芸術を生み出していく

職人さん達の熱気が十分味わえる作品でした。

 

役者さんとしては、北斎役の長塚京三さんは良かった。

彼は以前「北斎の娘」という作品で、北斎を演じていたが、

その北斎としてのエッセンスを十分に熟成させ、

抽出したように思えました。

シワクチャなお顔ドアップで、絵師から画家への脱皮を

吐露し宣言するシーンは凄かった。

 

また、広重を成功に導く版元・保栄堂の主人を演じる

髙嶋政伸さんも良かったです。

慇懃無礼な微笑みの中にある目の奥の表情が変わる。

鈍く光って、広重を値踏みし、叱咤する。

鋭く光って、広重を褒め、喜ばす。

やさしく光って、優香さんを見る。

涙にぬれて、優香さんの死を純愛で表す。

高島さん、不気味な役ばっかりだったけど、

ついに大成したって感じがしました。

 

阿部さんは、いつも通りの飄々とした感じで、いい感じかな

優香さんは、三屋清左衛門の息子婿役で演じているように

芯の通った穏やかで出来た妻が堂に入っている。

国貞役の吹越さんの世間ずれした不気味さも良かったな。

 

芸達者な方々の気合の入った演技合戦が見れる

ちょっとワクワクしたドラマでした。

 

機会があったら、馬頭町の那珂川町馬頭広重美術館に

行ってみたいと思ってます。