君たちはどう生きるか を見て来ました | 意外と儚のブログ

君たちはどう生きるか を見て来ました

先日、「君たちはどう生きるか」を鑑賞してきました。

 

ジブリ映画は、ナウシカ、ラピュタ、もののけ姫等、

結構好きでしたが、ポニョが期待外れで、

その後、期待外れの気持ちを感じたくなかったので、

鑑賞を避けてきました。

しかし、ロングヒットしてるし、

ゴールデングローブ賞を受賞したとの事で、

重い腰を上げて、今回、鑑賞して参りました。

 

ともかく、映像があっけにとられる程、素晴らしかった。

丁寧で緻密に描かれた流れていく鮮やかな風景画の上に

2Dの生き物や事物が活動し、完全に動く絵画芸術作品。

そして、オープニングの火の粉が舞うシーンは圧巻、

チリチリ熱さが伝わってきて、痛いほど。

さらに、人が車に乗るとずっしりとスプリングが

反応するシーンなど、細かく揺れて舞う演出は

まさに世界に誇れるジブリの映像技術。

それが、じっくり堪能できました。

 

お話としては、戦時中、火事で母親を失った主人公が

軍需工場の社長である父と母の実家のお屋敷に引っ越し

後妻になった母の妊娠している妹と暮らすようになるが、

当然受け入れる事ができず、新しい同級生ともなじめず

鬱屈していると、屋敷に巣食っているアオサギに導かれ

広大な庭の森にあった朽ちた塔に入り、

別の世界に落ちていくという感じの内容だったと思いました

 

母が亡くなった事を受け入れられない主人公が、

すでに子を宿している母の妹の後妻を

受け入れようとする為の覚悟を決心する話だったのかなあ

という風に自分は受け取りました。

別世界の大叔父との話は、主人公自身のの汚い心を

主人公がはっきりと自覚して、現実と折り合いをつける

主人公の脳内での話だと思いました。

 

鑑賞していて、黒澤明の「夢」を思い出しました。

巨匠と言われる監督に許された

自分自身の脳内を贅沢な予算と時間で具現化した作品

であると感じました。

 

唯一欠点は、父役の声優さん。

軍需工場で成功して、幅を利かせるイケイケ役までは

彼で良かったと思うが、失踪した後妻と子供を探して、

右往左往し、焦るところは彼では荷が重かった。

もっと情けなさを出せる方を配役すべきだった。

まったく笑えなかった。

 

それと欠点ではないが、あまりにも背景が素晴らしいので

それが邪魔して、人物の言動に集中できない点もあった。

 

それでも、この格調高き動く絵画芸術作品は

2Dアニメーションの到達点ともいえる美しい映画だと思う。

 

アカデミー賞も受賞して、来年ぐらいには

特別賞も取れるといいなあっと思っています。