宮城県仙台市宮城野区榴岡2丁目2−12 アーバンライフ橋本 1F
仙臺 くろく
濃厚どろ味噌(辛味噌)
 冬季限定麺です。そろそろ終売が近いかもしれません。【どろ味噌】の終盤に提供される裏メニューですが、誰でも注文できます。

 【仙臺くろく】は、【ラーメンWalker2025宮城】銀賞受賞店です。銀賞受賞作の【黒醤油】の味噌バージョンとも言える個性を放つ、【濃厚どろ味噌】の辛味噌バージョンを、本日は、紹介していきましょう。

 ちなみに、僕は、ほぼ毎年、リリース当初に【濃厚どろ味噌】を、終盤に辛味噌バージョンが提供された頃に【濃厚どろ味噌(辛味噌)】を食べるような流れで、食べているラーメンです。

 自家製の味噌を、【濃厚どろ味噌】のリリース10ヶ月前から仕込むところから始まっている(!)限定麺です。

 「味噌ラーメンに風穴を」というコンセプトだけあり、個性的な1杯です。

 味噌の旨味で食べ進める感じで、テンションは醤油の旨味で食べ進める【黒醤油】に近い、と僕は勝手に解釈しています。
 また、周年限定麺の【極上豚骨】もこっち方面で、豚骨スープの素のままの味に塩気を付けるような構成だと感じています。

 どうしても【味噌ラーメン】は定型パターンが決まっている側面が大きいため、好みは分かれると思いますが、リリースされてから約10年を迎えようとする今でさえ、新鮮な驚きがある1杯であることは確かです。

 表現が難しいですが、「時代がラーメンに追いついた」感のある、リリース当初の約10年前より今の方が受け入れられそうなラーメンです。


 さて。結構、前置きで、説明が終わっちゃった感もありますが、『仙臺くろく』の『濃厚どろ味噌(辛味噌)』、いきましょう。【食券制】です。

 トッピングから見ていきます。デフォルトで、九条ネギ、長ネギ、おろし生姜、豚バラチャーシュー、極太メンマ、もやしナムル、糸唐辛子が乗ります。

 炒め野菜ではなく、もやしナムルが乗るところに、「ちょっと違う…」と思う方もいるかもしれませんが、僕的には、先入観なしで食べると、結構なじんでいるようにも感じるんですよね…。スープが濃厚なので、箸休め的にもなりますし。これは、僕が贔屓目で見過ぎですかね(笑)?

 2種のネギは、ネギの切り方、風味感から、【仙臺くろく】らしさを演出。

 おろし生姜は、後半の味変に良い感じ。生姜によるポカポカ感と、さっぱりさせてくれる味変として機能します。

 極太メンマは、ある意味で、【仙臺くろく】の代名詞的で、師匠である渡辺樹庵さんの系譜を継ぐ、逸品。甘めの醤油がしっかり染み込んだ、タケノコの食感が良い感じに残った、存在感のあるメンマで、「メンマ食べたぞ!」という満足感も高い、"This is 仙臺くろく"な象徴的なトッピングです。

 豚バラチャーシューは、角煮にも近いところがあり、柔らかく、肉の旨味を生かした構成で、味付けの醤油感に、【黒醤油】の風味感がある、これまた、【仙臺くろく】らしいトッピングの一つです。【黒醤油】を頼まなくとも、トッピングから【黒醤油】を感じさせる構成には、メニュー構成全体における、細部へのこだわりを感じます。

 続いて、麺について。【黒醤油】の麺かな?
 やや太めに切ったものかな?
 ちょっと正確なところは分かりませんが、存在感のあるモチモチ感と食べ応えがある、小麦の風味が豊かな太麺です。味噌の強さ、濃厚スープの強さに負けない、しっかりとした麺の存在感が光ります。

 スープについても見ていきましょう。

 ちょっと分析が難しいですので、多少の間違いは、温かい気持ちでご容赦下さい。

 おそらく、ベーススープは、【黒醤油】と同じ清湯系スープで、そこに、穀物系ポタージュやラード、自家製味噌などを合わせて、ブレンダー乳化させたものだと思います。

 というわけで、タレと油、スープの境目は、分かりにくい構成のようにも感じます。

 この書き方をすると勘づく方もいらっしゃるかもしれませんが、どろどろなポタージュ状という点を除いては、結構、まっすぐに【札幌味噌】の方向性に向いている、創作的要素はありつつも、意外に、【味噌ラーメン】の枠内に収まっているラーメンだと、僕は、認識しています。ラーメンの向こう側に行かないぎりぎりいっぱいを攻めている印象で、ちょっとスリルがある1杯です(笑)。

 というわけで、主に、胡椒によるスパイス感がメインだと思いますが、スパイス感と生姜感に、味噌、とレトロ感のある【札幌味噌󠄀】に近しい概形があります。
 不定期限定麺の【白河ラーメン】もですが、【仙臺くろく】は、胡椒を有効活用して、レトロ感を演出するのが巧いと思います。

 味噌󠄀感ですが、リリース当初のできたての自家製味噌󠄀の頃から4ヶ月ちょっと経過し、熟成が進み、塩カドは取れ、風味が増しました。麹感がまろやか、かつ、香り高くなったように感じます。

 また、【辛味噌】には、自家製辣油が入り、スパイス感がより複雑になります。辛さの程度は、【旨辛】くらいだと思います。過激にビリッと辛い系ではないです。最初の方は、【担々麺】にも近いテンション感がありました。辣油にナッツ系か何かの要素があるのかなぁ?

 そして、スープのどろどろ感は、やや抑えめになっていました。味噌󠄀の熟成の度合いに合わせて、変えているかもしれません。結構、繊細な仕事が、ところどころに垣間見えるラーメンです。

 例年、【辛味噌】は終盤のみなのも、やはり、味噌󠄀の熟成の度合いとの兼ね合いもあるのかもしれません。

 『仙臺くろく』の『濃厚どろ味噌(辛味噌)』、大変、美味しく頂きました。僕は、結構、初めて食べた時から、【濃厚どろ味噌】に関しては、素直に美味しく感じた人でした。個性はビシビシ感じましたが。

 ブログにするのは難しいですが、食べては普通に美味しい1杯です。ただ、【札幌味噌󠄀】へのこだわり、【炒め野菜味噌󠄀】への愛情が深い方には、初めて食べると、「何だこりゃ?」となる可能性は否定できない1杯でもあります。


麺:自家製麺。存在感のあるモチモチ系太麺。食べ応えがあって、小麦の風味感もしっかりな麺です
スープの方向性:ポタージュ状のスパイス味噌󠄀方面のスープ
タレ:スープと一体化されている自家製味噌󠄀です。麹感が強い、味噌味噌しい味噌です
油:スープと一体化しているラードだと思います。油に関しては、違っていたらすみません。辛味噌だと、仕上げに自家製辣油が入ります