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何とかしよう!

1 12人もの甲状腺がんは原発事故の影響はないと、なぜウソをつく

「甲状腺がん診断確定12人に 放射線の影響否定 県民健康管理調査検討委で座長」、福島民報新聞記事の見出し(2013年6月)だ。甲状腺がんが2月には3名だったものが9名も増えて4倍の12名となり、疑いが15名と増加し疑いも含めて27名となった。

 だが、原発事故の影響ではないのだという。元放射線影響研究所理事長の肩書で長瀧重信長崎大名誉教授の談話が載っている。長瀧氏は事故後政府の原子力災害専門家グループや、低線量被ばくに関するワーキンググループ等の重責を務め、重要な局面で専門家として政府の政策にお墨付きを与える。「福島での住民の被ばく量はチェルノブイリ原発事故での被ばく量よりはるかに低く、健康に影響を及ぼすレベルではないことが国連科学委員会などの国際機関でも確認されている」がひとつ。次に、「新たに分かった福島での甲状腺がんは、科学的に見て原発事故の影響によるものではないと考えられる」。第3は「今回の結果について心配する必要はないということを県民に十分に説明しなければならない」である。

 国際機関が確認したという科学的とする見方を背景に永瀧重信氏は、甲状腺がんは原発事故の影響ではないし心配する必要はないと断言する。福島での住民の被ばく量はチェルノブイリ原発事故での被ばく量よりはるかに低いというが、福島県の汚染状況はチェルノブイリと比べても決して低くはない。人口密度が高いだけ汚染地にたくさんの人が住んでいて危険度は高い。

 座長の山下俊一氏が任を解かれ長崎大に戻っても師匠が登場しコメントした。県民健康管理調査検討委員会の体質はやはり変わらなかった。新たに座長に就いた星氏は述べた。チェルノブイリ原発事故に起因するとみられるがんが見つかったのは4~5年後以降だから、「現時点で、放射線の影響とは思えない」と。また、調査主体である福島医大の鈴木真一教授は「検査機器が高性能になり、検査対象も広いためではないか」とし、因果関係の知見を得るには、「時間をかけて調査を継続し、結果を積み重ねていくことが大事」と語った。


2 甲状腺がんは「多発」だ

こうした報道について、東洋経済記者岡田広行氏は「がんの発見率は85~100倍、なのに原発事故と無関係」と疑義を呈している。100万人に一人か二人という鈴木真一教授の説明からすると、85~100倍とかなり大きい数字である。2次検査の対象者のまだ3割にも満たない検診の結果なのだから、実際は患者数はもっと多いと考えられる。

 木野龍逸氏はブログで、がんと確定した人数は2011年度7人、2012年度5人を100万人あたりに直すとそれぞれ171人、28人となるとする。木野氏は2月の段階の3名のがん患者で「多発と言わざるをえない」と指摘する。「科学的に説明しないまま、放射線の影響を否定するだけでなく、多発かどうかの科学的、学術的検証をしない検討委員会の姿勢に疑問を感じざるを得ない」と言う。


3 長瀧氏らへの反論

(1)津田敏秀教授は、環境省が青森県、山梨県、長崎県の子供を対象に行った甲状腺超音波検診の結果と福島県の結果が「同様」だったことを原発事故との関連を否定する材料にする解釈があるが、「原発事故や放射線被ばくと甲状腺がんの発生」の因果関係は検証できないうえに、4500人という数では甲状腺がんをも検証するには少なすぎると述べる。

(2) 岡田氏は、「放射線被ばくによる甲状腺がんの過剰な発現は考えにくい」とする国連科学委員会の見解が前提とする甲状腺被ばく量は、データの寄せ集めに基づく推計値に過ぎないとその見方を否定する。国会事故調報告書はその発言を裏付ける重要な事実を明らかにした。ヨウ素131の実効半減期は乳幼児・小児では5~7日程度であるから、早期に測定を行わないと初期の被ばく実態を明らかにできない。チェルノブイリ原発事故の経験から、放射性ヨウ素の内部被ばくに関する、初期の緊急的な被ばく評価が重要であることは明らかなはずだった。しかし福島原発事故においては初期被ばく評価が不十分であった。原災本部が安全委員会の依頼を受けて、3月26日から30日にかけて、いわき市、川俣町、飯舘村で1080人の子供を対象に実施したが、簡易なモニタリングで、精度が低いものであったと安全委員会自身も認めている。

「本人家族及び地域社会に多大な不安を与えるおそれがある」等の理由で原災本部は調査の拡大を望まず、それ以上の小児の甲状腺被ばく量の検査は行わなかった。また、福島県は当時単独に住民の甲状腺被ばくの検査を行っていた研究者に対して、内部被ばく検査の中止を要請している。このように原災本部も県も内部被ばく検査を実施していないために、「住民の放射性ヨウ素による初期の内部被ばくの実態が明らかになっていない」。初期の被ばく量が不明であることは評価の上で弱点になっている。

意図的に調査しなかったのではと疑うのは間違いだろうか。ないからこそ、国連科学委員会などがしゃしゃり出てきて、福島での住民の被ばく量はチェルノブイリ原発事故での被ばく量よりはるかに低く、健康に影響を及ぼすレベルではないなどと科学的事実に基づかない推測を出すのだ。
(3)
津田敏秀教授はまた、「多発と因果関係―原発事故と甲状腺がん発生の事例を用いて」(『科学』2013年5月)という論考を発表している。有病割合と発生率という医師国家試験に出題されたことのある基本的な式で3例の発症を78・7倍と算出している。その他の式によっても多発という結論を出し、「現段階では多発と考えて次の段階の立案をすべき」と提案する。鈴木真一教授らが原発事故との関連を否定することに科学的根拠は見当たらないと言う。
3 安倍政府と官僚は緊急に対策をとれ

津田教授は、「原発との関連を言葉上否定しても、小児甲状腺がんの多発は残り、いずれにしても拡大調査や対策は必要になる」とする。「日本では、相当の根拠があっても対策がとられず、因果関係の有無が議論されて対策が先延ばしにされる」との津田教授の言葉は過去の公害において政府と官僚が因果関係を認めず犠牲を放置して来た実例を思い起こさせる。「因果関係がない場合にも安全性の証明や根拠が求められるのに、それは行われない例が目立つ」として対策をとることを強く求めている。

検討委員会、政府と環境省、政府寄りの専門家長瀧重信氏らは、甲状腺がんが多発していることを認めない。また、原発事故との因果関係も認めない。長瀧重信氏の言説のとおり原発事故の影響ではないから心配する必要はないとそれこそ科学的な根拠もないことを県民によく説明することが大事だと政府・官僚は先延ばしにする。2次検査対象のわずか3割の検診で甲状腺がんが「多発」している事実に、政府・官僚・県知事ら首長は目をつむるのか。これから爆発的に増える事態になっても、長瀧重信氏のように国際機関だの科学的だのを隠れ蓑に虚偽を言い続けるに違いない。政府・官僚は専門家の言説に隠れて、実は政治的、経済的判断で行った自らの責任を免れようとする。国際機関や科学は実態を伴わない言葉だけの言い訳に過ぎない無責任な言説なのだ。

 原子力や放射線防護学の専門家が、原発推進側に立って、放射線が人体には良い、放射線の影響は少ない、閾値はあるとする研究を電力会社提供の潤沢な資金で日本が世界に先駆けて行ってきた事は島薗進氏の著書『つくられた放射線「安全論」』に詳しい。


4 福島県民は愚か者でいいのか

東電原発事故によって、政府や官僚、医学、科学等の学問、そして国際機関という権威は一挙に地に落ちた。本来なら総退場すべき人々が事故前と同じ位置に座って、例えばこの甲状腺がんの多発を認めないという悪質な役割をいまだに果たしている。福島県民はがまんを強いられ犠牲となっている。それでも黙っているほど、長いものに巻かれろ式の、あきらめが早い、愚か者なのだろうか。

児玉龍彦、武田邦彦、肥田舜太郎氏らは、医学と科学にきちんと立脚した専門家である。しかもフクシマを救出しようと懸命に声をあげ行動する人々だ。山下俊一福島医大副学長やアドバイザー高村昇氏は、金を出し惜しみして避難も疎開もさせず、いい加減な除染でお茶を濁す財務官僚のいいなりの菅=野田政府に魂を売った下僕だ。


 除染が効果がないと言う人もいるが、必ずしもそうではないと確信できる記事があった。「児玉龍彦東大教授と警戒区域を歩く」(朝日ジャーナル3.24)だ。「解決の糸口を探し求めて」とあるように、見通しがないわけではなく、政府がフクシマを見捨てて金を十分に投入した除染を本気で行わないからだ。


 菅政府の根拠のない20キロ同心円に狭く閉じ込めた線引きの弊害は未だに悪影響を与えている。楢葉町の楢葉南小学校周辺の線量は0.15μSvと低いが60キロ圏外の福島市役所の線量は1.05μSvと実に高い。フクイチから2キロ地点では車内で30μSvにもなるのは当然としても、警戒区域だの帰還だのと国民向けに言うセリフが実態に即さぬにもかかわらず歯噛みをするほどの怒りと虚しさを禁じ得ない。


 ニューヨーク・タイムズが福島で始まった除染を費用ばかりかかる無用の長物「ホワイトエレファント」と酷評したという。児玉教授は憤る。「避難した人々には転居先と仕事を保障し」、「残った人々には除染などで、出来る限りの安全と生活を保障する」べきだという。


 「被災者がベストの選択ができるよう環境を整えるのが国の役目です」と誠に正しい。従って「除染か、避難か、賠償かと迫るような議論はナンセンスだ」と。ここをよく噛み締めたい。避難させよと迫る市民に対して、福島市長は除染でいきますなどといった。背後にいるのは知事であり国の官僚だろう。


 官僚は危険この上ない医学でも科学でもない20mSvで勝手に線を引き、そこに住めという。低線量、内部被曝は実に危険であるのは明らかである。避難、疎開、除染は住民ひとりひとりが選択する権利がある。その当然を認めぬ政府を許してはならない。つまり国民の生活などそっちのけの政治が政権交代しても変わっていないことがひどい施策が生まれる一因だ。


 「出来る限りの安全と生活を保障する」という基本的な考えが東電にも政府にも今はない。国民も財政などといい加減な理屈で洗脳されて、金がかかりすぎるなどという知ったかぶりの愚か者が多過ぎる。自分の取り分しか関心がない連中ばかりかとつい高ぶってしまった。


 1 表土を削って撤去した土をステンレスのコンテナに入れ、盛土の下に埋め込む。

 2 汚染された植え込みの木を植え替え、土も全部入れ替えて芝生を植える。

  

 費用はかかる。家に水をかけて洗うぐらいでは1~2割ぐらしか落ちない。除染がまずいのではなく、政府は一戸建ての除染費用を70万円にして費用をかけないからなのだ。60坪の家で1μSvを8分の1まで下げるには、500万円前後かかる。屋根や雨樋、土、庭木を変えるための費用である。30万軒の家をこの方式で除染してもせいぜい1兆5千億円ぽっちだ。決して高い費用ではない。


 リスクと称しておびただしい健康被害にさらすほうが賢明だと官僚は判断しているのだろう。井戸川町長が力説するように、1mSvにするのが東電と政府、官僚の仕事である。植民地フクシマはさらに犠牲になどなってはいられない。


 消費税増税などに政治生命をかけるとは、きっと東電原発犯罪から目をそらすための言い訳に過ぎまい。おびただしいストロンチウム、プルトニウムを含む健康被害はこれからだというのに、何ら本格的な手を打たない菅=野田はいらない。もちろん、自公の原発推進勢力や勘違い独裁者橋下も全く期待できない。

 

 何ら原因を究明せずに再稼働などをいう政府の基本的なセンスを大いに疑う。除染に希望がないのではなく、政府の除染がいい加減なだけなのだ。児玉龍彦氏の言を実行できる政府を激しく求めたい。

 

わたしが何かを考えるとき情報を手に入れるのは本からだ。確かだと思える情報が手に入れば書ける。最近は菅=野田政府が20mSvにフクシマを被曝させ続けることからの救出を必死で訴えている。完全に間違った政策によって棄民となったフクシマ。孤立しているが訴えていかねばならない。


 木村盛世が『厚労省が国民を危険にさらす』(ダイヤモンド社)を出した。厚生労働省の医系技官だ。日本の公衆衛生学を学んだ第一人者であろう。だが、左遷されたままだ。感染症の新型インフルエンザへの厚労省の誤った対応を厳しく批判した本も出している。


 原発事故の健康被害という観点からみると、事態は悪化している。政府の対応が誠にお粗末だというのだ。原発事故という国家の世界の危機に際して、科学的根拠に基づかない危機管理対応をしているからだ。民間事故調がいうような菅首相の対応が悪いというのは、本当の原因を覆い隠すものにほかならない。


 真の原因は厚生労働省にある。厚生行政は国民の健康問題を扱うことにある。だが、国民など一切見てはいず、公衆衛生の専門的な対応など全くできず、素人が声の大きい為政者の思いつきや省益のためにしか働かないのだ。科学的根拠に基づかず、素人が間違った対応をしても決して改めないという官僚の悪質さはがひどい被害をもたらす。


 放射線は安全だと政府はいい募った。「たかをくくっていた日本政府」と木村盛世がいうとおりだろう。合わせて小さく見せよう、健康被害があっても直ちにではないから金はつかわないという思惑が働いた。放射線は安全だとの声が毎日のように聞こえてくる。地位と金に魂を売った山下俊一氏やICRP等国際機関、外国の大学教授等が安全だと大合唱した。

 

 厚労省が300万部も配った「妊娠中の方、小さなお子さんをもつお母さんの放射線へのご心配にお答えします」で、「健康への影響が出ることはありません」というのは全く信憑性がないと木村盛世は断言する。まさか、国民の健康を守る官庁が嘘はつくまいと誰もが思うだろう。しかし、官僚がとことん信頼できないことは身にしみて知らなければならない。特捜などいちいち例をあげないが。


 WHO,IAE,ICRPなどの国際機関も実に怪しい。厚労省のパンフは何ら科学的根拠がないのに安全神話を振り回すとは犯罪的ではないか。一体どんな意図があって多くの国民に健康被害をもたらす嘘をつくのだろう。今放射線の健康被害でわかっていることは、「どんなに低い線量でも安全な量はなく、少量であっても影響がある」ことだ。


 内部被曝が重要であり、妊婦や子供は影響を受けやすいこと、さらに確率的影響として、子どもの奇形、心血管障害、慢性疲労症候群などが起こると言われている。だが、どのぐらいの低線量でどのぐらい被曝するとどのような健康被害が起きるかはわかってはいないのだ。にもかかわらず厚労省は安全だなどという。


 誠に恐ろしい事態である。山下俊一氏は福島県民の健康管理の中心であるが、100mSv偽理論に依拠し、影響は子どもの甲状腺がんのみしか認めないのだ。それ以外の新しい事態を認めず、病気で苦しんでも放射線とは因果関係ありませんとはねてしまうことになる。わからないという立場に立たずに安全だというのは科学的根拠のない姿勢である。それが医師だというから心底恐ろしい。


 また、内部被曝を正確に測ることは不可能だという。放射線は日にちが経過するにつれて減っていくから、ホールボディーカウンターの値からは吸収した放射線を推計できない。空気をどれだけ吸ってどの食べ物を食べ、尿や汗をどれだけ排出したか正確にミリ単位で言える人はいない。そもそもホールボディーカウンターはγ線しか測れずかなり誤差がある機械なのだ。


 国の決める放射線規制値や食品の安全基準は全く科学的根拠はないのである。そもそも放射線の健康への影響はわからないことだらけなのだから、国が決めた基準を守れば安全安心ですなどとは到底いえない。食品安全委員会などは246人もいるというのに、どうまとめるのだろう。これら国の審議会は官僚が「「専門家ないしは学識経験者の意見」という言葉を使って、自分たちの意見を世論に正当化しているに過ぎない」のだ。


 すると100ベクレルとか20mSvなどの数字は科学的根拠のないものだったのだ。安全だという嘘をつかれて国民の健康を大きく犠牲にしながら、官僚はおそらく医薬業界や農業業界や流通業界のために働くのだろう。ストロンチウムやセシウムなど永久といっていいほど健康被害を致命的にもたらす環境を我慢せよというのだ。事は放射線であり、子供たちの未来が本当に恐ろしい。

 

 木村盛世は「最も多くの放射線が降り注いだ3月、4月の時期に、なんの対処もせず、その後の調査も不十分で、今後増加してくると予想されるがん発生などの健康被害に対して、何もしていないに等しい」という。


 よく安全と危険との対立する意見があって困ったなどとマスメディアはとぼけるがその態度は誤りだ。「どの程度までは安心か、あるいは、少しでも危険なのかという議論の終結を待つことなく、できるだけ被曝を避けるという考え」すなわち「予防原則」が危機管理の基本だという。「放射線のように危険だと思われるものに対しては、ちょっとやり過ぎというくらいの対応をするのが、国民を守るために政府がしなければならない」と力強く言う。


 確かに避難範囲についても、経産省保安院の無策というより無作為がおびただしい人々の無用な被曝を招いた。(『プロメテゥスの罠』Gakken)現在までのところ厚労省の誤った政策で内部被曝の被害にあっている。だが、フクシマをはじめとする東電の放出したおびただしい放射性物質の影響は今後長く続く。予防する観点で何とか政策を見直すべきなのだ。政治主導を捨てた菅=野田が政府にいる不幸は計り知れない。


 

 安全だなどという悪質な虚偽を官僚も偽専門家も政治家もふりまくのではなく、まず、20mSv未満は住めなどという言語道断の施策を改め、避難、疎開を希望する者の支援を行うべきなのだ。自分に災難が降りかからなければ、黙殺する国民であってはならない。救出の応援を心から願う。