今日は地元岐阜県の羽島市で開催された神田松鯉・伯山親子会に行ってきました。

 

主催であるMugeプランニングさんは岐阜県を中心に良い会を開いていただけるのでありがたいです。チケットのもぎりに旭堂鱗林先生がいらっしゃってご挨拶できました。

 

前講は三遊亭こと馬さん。確認してみたら昨年令和4年八月の大垣での松鯉・伯山師弟共演の際の前座さんも同じ三遊亭こと馬さんでした。聴きやすく会場の雰囲気をつくる「子褒め」を披露されました。

 

そして松鯉先生による「谷風の情け相撲」の一席。江戸時代の人気力士について解説をしてからの本編で、途中、勝ち名乗りをあげるときに、釈台から張扇を落とすものの、まったく動じることなく自然に拾い上げて高座が続き、伯山ティービーでみる講談よりも細かい解説をしてわかりやすくお話しされたのが印象的でした。

 

続いて神田伯山先生。枕では「今日は物販が売れてうれしい」「稀勢の里は満身創痍で頑張ったカッコいい力士だった」と相撲の話をいろいろされた後に照明を落として「四谷怪談~お岩誕生」という最高に怖い怪談を一席。

時間が25分と少し短くなっており、金貸しの伊勢谷重助の女房おふみが殺される場面が短くなっていたり、伝助が重助の家に行って待つ場面がカットされていました。

 

しかし悪人である高田大八のキャラクターがより凄味があり、まるで畦倉十四郎のような脅しっぷりが印象的でした。そして伯山先生の話に出てくる「伝助」は必ず訛っているというお約束を生で聴くことが出来ました。

 

中入り

 

中入り後は「中入り後は携帯が鳴りやすい」ということで、講談の会で大事なシーンで客席から携帯が鳴って酷いことになったという枕を面白おかしく盛り上げてから、「怪談の後ですからパーパー騒ぐ明るい子供が出てくる話」ということで伯山先生の「小政の生い立ち」。これは今年4月に上野広小路亭で聴いて感動したお話で、のちに清水の次郎長の子分として名を上げる小政が初めて次郎長に出会う一席です。

背丈は小さいが口が達者で、次郎長も舌を巻く啖呵を切る子供の生意気さと、病に伏せる母親を心配させまいとする優しい健気さが、伯山先生の舌足らずな子供のキャラクターで鮮やかに表現されて、また目頭が熱くなってしまいました。

なお次郎長で知られる清水湊が、神田愛山先生の故郷だというのも紹介されており、侠客ものの愛山先生は生まれも次郎長に所縁があって納得です。

 

最後は松鯉先生の「河内山宗俊~松江侯玄関先の場」。なかなかお目にかかれない演目で初めて聴く一席でわくわくしながら聴くことが出来ました。枕では天保六歌仙についての説明をされ、昔の講釈師「泥棒伯圓」と呼ばれた神田伯圓が盗賊の黒幕に間違えられたエピソードを楽しく話されてから、詐欺師としての河内山宗俊のお話を初められました。クライマックスで身元が割れて絶体絶命の場面でも、最後まで一枚上手の宗俊の悪い感じを存分に表現されていたのが、さすが人間国宝という感じでした。

 

酷暑の岐阜に来て熱の入った4席を披露していただき、講談好きとしては大変満足する会でありました。来年は8月3日JR岐阜駅前じゅうろくプラザということで、来年も会に来たいと思います。