月に一度の自由に使える時間。今月は一龍斎貞寿先生の勉強会と新宿末廣亭での十月中席を見に行ってきました。

新幹線で東京駅に着いた後は、散策も含めて神田神保町までぶらぶら歩いて向かいます。田舎者の目には高層ビルが新鮮で、キョロキョロしながら写真を撮っていきます。東京にお住まいの方はわからないと思いますが、講談で聴く地名を実際に見かけると嬉しくなるものです。

 

30分程で神保町に到着。お昼前になったので、ラーメン屋さんで腹ごしらえ。

13時からの会はほぼ満席になる盛況ぶり。うまく最前列中央の席を取ることができ、貞寿先生の「錦の舞衣」の序開きから、狩野毬信の死までを堪能しました。踊りの名手、坂東須賀の可愛いところ、嫉妬するところが貞寿先生によって、より魅力的に演じられておりました。

11月24日には高円寺にて貞寿先生と柳家喬太郎師匠で「錦の舞衣ーー俥読みーー」の会があり、悪人をより悪人らしく演じられる喬太郎師匠とのコラボが楽しみです。

貞寿先生も「今日10月14日は都内で講談の会が多く開催されているの」との事でしたので、会の終了後にスマホで検索すると、末廣亭の十月中席を見つけました。出演者を見ると、コント青年団、三遊亭笑遊、三遊亭遊雀、そして柳亭小痴楽!!!

神田伯山先生の「伯山ティービー」で、古き良き寄席を現代に残す末廣亭を一度見てみたかったこともあり、開演まで1時間半。今度は新宿まで歩くことに。グーグルマップで誘導してもらい1時間で到着しました。

しかし東京の町は新宿に向かうと、靖国神社の横とか、坂が非常に多いのが体感できました。

末広通は若者が多く行き交う飲食店が並ぶ街並み。その真ん中に昭和初期のような建物が異色を放っています。

Youtubeで見た憧れの末廣亭、中は味わい深い雰囲気で、演者までが近い!!舞台正面の椅子席に加え、両サイドの桟敷席、二階席まであり、売店ではお弁当や軽食も販売されています。

夜の部が始まり、最初の前座さんは神田伯山先生の3番弟子の神田若之丞さん。伯山仕込みの軽妙な語り口が成長を期待させます。

柳亭明楽さんは不思議な語り口で、失敗も笑いに変える他にない落語を楽しめました。

驚いたのは発泡スチロールをカットする「できたくん」が驚くほど完成度の高いカットを披露することです。お客様からのお題をもらい、「黒柴犬」「将棋の藤井聡太」「ピカチュウ」を実に見事にカットして、観客から拍手喝采でした。

コント青年団では「岐阜の服部」さんが、岐阜なんて誰も知らないでしょ、という定番ネタを披露されましたが、しっかり岐阜県から来てる観客がここに居ました。これも寄席ならではのキレキレのブラックさを含むコントが楽しめました。

Youtubeで自由すぎる高座を披露される笑遊師匠は、やはり自由すぎる高座でした。

そして伯山先生とトリを交互に努めた遊雀師匠は、床屋の好きなところをマクラで話され、そのまま床屋の短い話をされました。これが笑遊師匠より更に自由すぎて笑えました。

俗曲の小すみさんは三味線を伝統芸能の枠を超越した演奏で見る人聴く人をグイグイ引き込むところが流石と思いました。

そして柳亭小痴楽師匠。いつもの口の悪いのは変わらず、しかもその口の悪いのがぴったりな演目で、べらんめい口調の江戸っ子の職人が乗り移ったような高座でした。こればっかりは他の落語家ではしっくり来ないと思います。

末廣亭を出ると、秋の涼しさが感じられ、芸術の秋をたっぷりと堪能する一日となりました。