東京にあった国立工芸館が金沢に移転して5周年としてこの「ルーシー・リー展―東西をつなぐ優美のうつわ」が開催されていた。東京にあった時、そんな海外の作家の企画展ってそんなやっていたかな?と思っていたので、全く期待せず見に行った。それと、移転したということでこのルーシーリ-より常設展があれば見たいと思って見に行った。
先に書きますが、常設展示がないです。
さて、このルーシー・リーはオーストリア・ウィーンで生まれてイギリスで活躍されて陶芸家。正直、日本だけでも膨大な陶芸家がいて、まだまだ勉強中で、海外の陶芸家なんて数名しか知らない。ルーシー・リーは名前は知ってはいたけど、どのくらいの陶芸家なのか知らなかった。けどね、本当にこの展覧会はよかった。バーナードリーチに作風を批判され、ハンス・コパーと出会って彼女の作風が確立されたようだけど、このバーナードリーチに批判されたのがよかったと思う。もしここで批判されなかったら、従来の「枠」の中でしかなかったのだろうけど、自分のものにはならなかった事を経験した事で、ハンス・コパーに以前のようにと言われて、そこでうまく化けたのだろうと思う。ルーシー・リーは、その後、浜田庄司との交流もあったようなので、きっとバーナードリーチの言われてことを、どうにか自分のものにしたく、理想は浜田庄司だったのかなと思いながら見ていた。
しかし、彼女の作品は浜田庄司のような民藝的なものではなく、ヨーロッパ風の洗練されたデザイン性の高い作品に仕上がっている。日本のクラフト運動のようなデザイン。ルーシーリーの掻き落としのカップなどは、本当に1つ欲しくなる。
この展覧会で展示されいるルーシーリーの作品のほとんどが国立工芸館所蔵のものばかりだった。1人作家の作品をこれだけ展示できるだけコレクションしているというのは、本当に国立工芸館の懐の深さを見せてくれる。これが、東京で見ることができなくなったのはとても残念。東京で、近代日本の工芸をいちどうに見れる美術館がないので、これだけのコクションがあるのであれば分館として都内に設置してほしい。