先日12月2日、国立国府台病院で肝臓病教室が開催されました。
前半の講演は是永先生のお話で「肝炎ウイルス治療後も通院は必要?」
というタイトルで、説明がありました。
今回一番関心があったのは、インターフェロン治療
ならびに経口剤治療後に発癌例が実際どうであったのかということです。
残念ながら、ウイルスは消えて数年してから発癌してしまったという
ケースがインターフェロン治療、経口剤治療ともにいくつかあるようです。
特徴として、70歳以上の高齢者群、繊維化がF3以上進んでいる場合、
飲酒歴がある場合などに発癌例がいくつかあり、ラジオ波治療
もしくは肝切除の治療をおこなっっているようです。件数的には
インターフェロンだろうが経口剤治療だろうが、発癌ということに関してはそれほど
違いはなく両方ともに治験後半年もしくは2年くらいで、インターフェロンフリーで
338人中8人インターフェロン治療310人中5人発癌と割合で比較してもそれぞれ2.3%、1.6%
若年で再生力があり、線維化が進行していない場合治癒(完治ではない)が早く
高齢で感染歴が長いと線維化が進行していることが多く、若年者より
年齢がリスクファクターに。さらに年齢とともに免疫力の低下の問題があり
繊維化が進んでいる場合、遺伝子のエラーによる傷も多いわけで
、治療前に発癌している場合などは再発がおこりやすいということです
。それと年齢に関係なく飲酒歴がある場合に、発癌例がいくつかあるのも
注意すべき点です。(個人的疑問として線維化が解消しないままで高齢になると
発癌リスクはどうなるのか)
経口剤にしろインターフェロンにしろケンシュツセズSVR24を達成しても、
発癌してしまうことがあるだけに、定期的な検診の重要性が高いのは当然のことです。
発見が初期であればあるほどガン治癒効果が高いので、ケンシュツセズになったから
病院にいかないというのでは手遅れになってしまいかねません。
C型肝炎の治療をするにはやはり肝硬変にならないうちにウイルス駆除を
しておくことが望ましいといえます。
ただしそれはあくまでに肝硬変やガンになるリスクを減らすということであって、
ウイルス消える→ガンにならないという意味ではありません。
(B型肝炎は肝硬変にならなくてもウイルス量が多いだけで発癌することがある)
さすがに今回SVR後に肝生検をしたほうがいいなどという話はでませんでしたが、
やはり早期発見をというお話でした。
後半は久留米大学の川口先生のお話で、前半の話との関連を考えますと
肝炎治療の普及の効果もあり、C型肝炎が要因の肝臓がんは2010年以降
減少しているものの、ノンBノンCの発がんが増加しているという話。
これはウイルス性肝炎は減少しても、脂肪肝や糖尿病からくる肝臓がんが
増えているからで、もともとウイルスの有無に関係なく、発癌因子があったのか
ウイルスが消えて脂肪肝が進行したのかまでは区別できていません。
さらに糖尿病の患者は、肝臓の糖代謝がよくないために、肝臓癌の要素となりやすい
ことは確かで、なおかつ脂肪肝でウイルスがいたとなると、組織破壊がウイルスに
よっておこなわれて、線維化が進みそこが癌化しやすくなってしまったということは
あります。したがってウイルス駆除後もやはり脂肪肝を解消して、糖尿の要素を
減らすことが必要になるわけです。
そのためには
1)食事に炭水化物をとりすぎない
2)青魚を摂取すようにする
3)コーヒー摂取(ミルク、砂糖なし)
4)運動をかならずおこなう (歩くだけでも糖尿病予防)
ここで酒は飲んでもいいのかということに関して、積極的に禁止であるということは言われませんでした。
ただ仮に飲むのなら、これくらいという限度がすこし紹介されていました。
ただ私が思うにF3以上の線維化のある人が、アルコールを摂取してよいとは到底思えず、
F1での発癌患者の多くが、飲酒歴ありだった事実をどう解釈するかです。
運動は大腸がんやすい臓ガンのリスクを下げるだけでなく乳がん、子宮たい癌にたいする
予防効果もあるということは強調されていました。毎日6000歩+週1回の運動が奨励されて
いました。さすがにこれを毎日励行することは無理だとしてもこれが、がんの予防や糖尿病の発症予防
につながることが発表されていますので、これは重要なポイントでしょう。



