抗ウイルス剤というのは、ウイルスを殺すだけである。

発癌抑制をしたり、組織線維化を解消したりはししません。

「C型肝炎はのみ薬で治るようになりました」

こんなCMがありました

これはのみ薬で、ウイルスは排除できるようになりましたという話ではあるが

肝硬変や肝臓癌になっていた場合すぐ治るという意味ではなく、肝硬変にならないように

することは可能というほうが適切。ではウイルス排除はぬか喜びかというとそんなことはないです。

ただ薬だけですべてを解決しようと思ってもそれほど甘くはないということはいえます。

実はそこがいやな点で、ウイルスを排除すると体感的に血液検査上も

肝機能が改善していくことが多いので、もうC型肝炎はすべて完治したと思ってしまうのです。

(たしかに肝炎は進行しなくなるのでかウイルス性肝炎は治癒したと言える)

だがよく検査してみると、肝臓組織は脂肪だらけ、線維化も解消されていないというケースが結構あります。

SVRになってもいっこうに体調がよくならないというケース

もあります。免疫体系の構築が変わるという説があるが、はっきりとはしていません。

 

私もSVR24すなわち治療後6か月目に原因がはっきりしない激痛になやまされた部類。

さいわい緊急点滴で事なきを得ましたが、かつて体験したことのない痛みではありました。

私は肝炎の炎症は治まったが、線維化の完全解消にはいたっていない状態。

血液検査は良好だが、あと10年くらいは経過観察要であるそうです。

肝臓は再生をしていく臓器なので、傷んだ肝臓も傷を残しながら新しくなっていく

運が良ければきれいになるが、完全元どおりにはならないことが多い。やけどや盲腸の

手術跡は消えないのと同じ。

あまり気にしすぎるのもよくないが、血液検査だけを見てよろこんでいてはいけないのです

 

ウイルス駆除は肝炎症状が進んでいなければ、たしかに治癒するのは速い。

だからこそ進行しないうちにウイルス駆除することは大きい意味があります。

しかし感染期間が長い場合は必ずしもそうともいえない。駆除しただけでは

まだ発癌リスクは消えないことが多く、どうなるか予測することは難しいのです。

そこを医者がはっきり説明しないのか、患者が勝手にウイルス駆除をすれば

これでバンザイと思いこんでしまっているのか。このあたりが実にあいまいで誤解を生んで

しまっているのではないでしょうか。

 

ウイルス駆除すれば肝炎は進行しないのでその発癌リスクは低下します。

しかしこのリスク低下は肝臓ガンリクゼロではないという意味でないことに注意する必要があります。

 

一番いけないのはウイルスがいるのに、抗ウイルス薬を使わず民間治療したり、

様子をみましょうなどと、薬をつかわずにいつの間にか肝硬変になってしまうケース。

C型肝炎を治療するには、インターフェロン治療もしくは経口剤しかありません。

肝臓癌の予防薬なんてありません。早期発見、早期治療がもっとも大切。

 

 

このグラフはインターフェロンでウイルスを駆除するといかに肝硬度が変化

するかというもの。これを見るとインターフェロンでウイルス駆除後2年後にかなりの数、

肝硬度が正常値に近くなっているケースが多いかがわかります。しかしそれでもkpa10以上

の患者がまだ存在するということは見逃してはいけないのです。