肝炎患者の多くはB型肝炎にしろC型肝炎にしろウイルス駆除をすれば

それで、完治したと思っている方も意外に多いのでしょうか?

はっきりいってそれは間違いです。

 

B型肝炎ではS抗原というものが問題で、これが陽性だと完治とは

いえません。C型肝炎ではケンシュツセズ24継続で著効といういいかかたをしますが、

これは完治を意味するものではありません。

 

ではどういう状態ならば完治あるいは、完治までどれくらいの期間がかかるのか?

残念ながら、そういうことは肝臓専門医でもあまり教えてくれません。

そもそも完治という表現を医者は使わず寛解とか著効といういいかたをします。

 

 

 

よく肝機能検査のALT,AST  γGTPが正常値であれば問題ないといわれています。

しかしこれは、現在肝臓自体がどのような状態になっているかを表しているものでは

ありません。

血液検査によって臓器が出す破壊酵素を計測することで、間接的に臓器の状態を

推定するだけの話です。

 

ウイルス駆除時点で、繊維化が進行していない場合ならば回復が早いので

問題はありません。C型肝炎は最近でこそ経口剤でウイルス駆除が簡単にできるように

なりましたが、それまではインターフェロンを使ってもウイルス駆除すらできず

患者は感染期間が長く、肝臓の繊維化が進行している場合が多いのです。

ところがエコーでは、線維化で臓器がどの程度痛んでいるか

どれくらいで正常な状態まで回復可能なのかすらわかりません。

5年で元通りのきれいな肝臓に戻るなどというのはまずありえないです。

よほどの軽症の患者だけです。

極論すれば血液検査でが正常であっても、針をさしてみたら脂だらけとか肝臓自体

ボコボコになっているなんてことが珍しくないのです。

 

肝臓という臓器はすごいもので3分の2を切除しても、数年後にはかなり回復するという

ことは間違いないです。

しかし傷んだままで臓器が再生していくのでよほどのことがないと元にはもどりません。

高齢で線維化が進行していた場合はその再生スピードもさらに遅くなります。

仮に可能だとしても、最低5年どころか10年以上かかるかもしれないのです。

しかしウイルスを駆除すれば、肝炎の進行はなくなるので線維化の進行は

なくなります。ではなぜ治療後10年してから発癌してしまうことがあるのか。

それは傷んだんだままで再生してきますから、ガンの元である遺伝子エラー

も残ったままだと、免疫が低下してしまったり、糖尿病を併発したりして発癌してしまう

ということです。

つまりウイルスを駆除しただけでは、肝炎が進行しないということになりますが

臓器が傷んだままだと、発癌リスクを放置していることになります。もちろん

リスクの度合いは症状に応じて、違ってきます。

 

 

私の主治医によると

「一度C型感染した人は、そうでない人に比べて、肝臓癌になるリスクが高いんです。

だからエコー検査と血液検査を治療後も継続して6か月ごとにおこなう必要があります。

10年してから発癌してしまったという例もあります。」

(つまりSVRを達成してから10年後にどうなっているかが重要ということで

なぜ10年かというとインターフェロン治療後に高齢で糖尿病などの併発により免疫低下により

発癌したケースあり)

 

経口薬ハーボニーの治験終了2年後の追跡調査で発がん率はまだ数パーセントしかないと

ありますがまだ経口薬が普及してからまだ数年しかたっていないので、数字がつかめていない

ということです。

患者にはインターフェロン何回も治療している人もいれば、経口剤が初回だという人もいる

わけで治療前の状態が肝硬変のひともいれば感染してして数年、年齢も30~40代

いえ大半は60代から70代という患者が意外に多いのが実情。

たしかに「ケンシュツセズ」という次元では、みんな同じですが、臨床の状態はさまざまです。

したがって患者に応じた対応をすべきはずなのですが、実際どうなのでしょうか?

数パーセントだから心配する必要はないと思うのは早計すぎませんか?

治験後2年目の話で、しかも追跡調査ができている人のみ。10年後にはたしてこの数字

になるかどうかです?

 

 

私はSVR24になってからもうすぐ2年になりますが、まだ繊維化はまだ解消していません。

血液検査はまったく正常。肝硬度自体は高くはない。

(肝硬度が低くてもそれは線維化が解消されているとは限らないのです)

(つまり肝生検査をしないかぎり線維化の実態はわからないのです。)

到底100%安心できる状態などではありません。だからといって悲観的になることも

ありません。

癌がみつかれば即座に対処すればいいのです。もうひとつ重要なことは肝臓に負担を

かける行為をしないことです。まあ線維化を解消する薬も研究中ではありますが、

こんなものに期待しないほうがいいでしょう。まだまだ先の話ですし、いつ臨床で

使えるすらわかりません。そんなものを待つより日常生活を改善したほうが

よっぽど効果があるでしょう。

 

ウイルスを駆除するということは肝炎治療、とりわけC型肝炎治療にとっては意義が

大きいことはたしかです。少なくとも肝炎が急激な悪化はしないわけですから

しかし6か月の定期検査を逃して、ガン治療が遅れてしまったという例があると

私は主治医から聞かされました。

 

やはり一度C型肝炎に感染してしまった場合、SVR24、を達成し著効であっても

定期検査、とりわけ画像検査では早期発見、早期治療をおこなうことが肝臓癌撲滅

につながることは間違いないと思う次第なのです。エコー検査では線維化の程度

はわかりませんが、ガンがあるかないかはわかります。

初期ならばラジオ波治療で完治も可能です。2センチくらいだと切除となります。

一番怖いのは発見が遅れること。

 

「今回の検査でガンはみつかりませんでした。」

今回の私の診察結果。

 

「あなたはもう治りました」ではないのです。