本日は、N.gracilis Bau Black×gracilis var.nigropurpureaの交配‐その9について紹介します。
①交配番号 :NO.88
②交配親 :N.gracilis Bau Black[♀]×gracilis var.nigropurpurea[♂]
③交配日 :2020年9月29日
④採取日 :2021年2月25日
⑤播種日 :2021年2月28日
⑥発芽確認日:2021年4月11日
種子親のN.gracilis Bau Blackは2012年11月にJCPS殿にて入手しました。このBau Blackはボルネオ島サラワク州クチン近郊のバウ地区に自生しているバラエティーの一品種で、非常に濃い色彩で黒に近いdark brownの個体になります。草姿は他のN.gracilisと比べると細めで華奢ですが、地際から良く腋芽を発生させ一寸したブッシュ風になります。
一方花粉親のN.gracilis var.nigropurpureaは2017年4月にブログでお世話になっているれおん6000さんよりお譲り戴いた物になります。このnigropurpureaも黒に近い濃紫色の袋を着けるタイプの個体です。草姿はBau Blackと比べ心持大きいかなというレベルで殆ど遜色は無い様です。最大の特徴である捕虫嚢は、Bau Blackはアッパーになっても色落ちが少ないのですが、nigropurpureaは殆ど色落ちしてしまいます。唯、ロアーは両個体共にとても濃い色合いをしています。
以上の両親が運よく同時開花しましたので、我が家のN.gracilisで二度目のsib-crossを実施しました。nigropurpureaを入手した当時から是非このsib-crossを実現させたいと思っていたのですが、その当時Bau Blackは一度も開花したことがなく雌雄不明でした(^^;。本種は中々開花しなかったのですが、2m以上徒長した茎の頂芽枝を挿し木したものに運よく開花しsib-crossすることが出来ました。唯、稔性は悪く3鞘しか結実しませんでした。しかも1鞘内の種子の量も少なかったのですが、種実はとても充実している様でしたので、一寸期待しながら播種に至ったのでした。
前回最初にsib-crossしたN.gracilis spot×gracilis greenは、播種して半年以上経過して発芽しましたので、本交配種もそれ位かかるのかと思いきや、1.5ヶ月程度で発芽してきました。最終的には80%前後の発芽率になった様です。
この7月12日に最初25個体をセルトレイに、そして7月23日に残りの20個体をセルトレイに各々植付けました。現在の状況は後で植付けた方が少しだけ生長が良い様です。
現在捕虫嚢はボチボチ着けており、最初にビニールポットに上げたNO-1~NO-5個体はそれなりの色合いになってきました。更に殆どの個体で地際から腋芽も発生してきています。現在は未だ2号ビニールポット植えですが、今春にはプラ鉢に鉢上げしたいと思います。これから作り込んでいくとどんな感じになってくれるでしょうか。更にブラックに近い色合いを期待しているのですが、取り敢えずはここ1年でチョンボ無く何とか生長できるレベルにまで育て上げたいものです。
最近は地際から発生してきた腋芽がぼちぼち生長してきています。又、2023年に2個体で雌花が咲きました。写真下段左から、
1.種子親のN.gracilis Bau Black。株姿もそうだが、捕虫嚢もnigropurpurea
よりスレンダーである。色合いはとてもシックで濃い
2.花粉親のN.gracilis var.nigropurpurea。N.gracilis Bau Blackよりも若干
ぼっちりぎみ。ロアーはとても色合いが濃いがアッパーはほぼ色落ちする
1.2020年9月30日、N.gracilis Bau Blackの雌花。他品種のそれと若干
雰囲気が異なり、本種はガク片が雌蕊を包み込んだ状態で水平に展開しない
様だ
2.2020年10月23日、僅かに鞘が膨らんできた様子。一寸淡い期待が…
3.2020年12月23日、大分膨らんだ鞘。淡い期待が現実味を帯びてきた
4.2021年2月25日、やっと完熟し採取したもので蒴果と種子の様子。交
配から5ヶ月も経過したが、交配から結実迄こんなに時間を要した品種は初
めてだ。結局3鞘のみであったが、種実は結構充実しているようで期待大で
ある(^_-)-☆
1.こちらから四枚は2021年4月16日に撮ったもので、こちには播種鉢内
の様子。ボチボチ発芽してきているのだが一寸小さ過ぎて見えないかもしれ
ないね^_^;
2.少し拡大した様子。真中の種子は既に双葉が展開した状態で、その上下は発
芽が始まったばかりで背虫状態^^;
3.こちらは3芽双葉が展開しており、1芽は発芽が始まったばかり
4.1芽は双葉が展開しており、他2芽は発芽し始めた状態
1.2021年7月12日、先ずは25個体をセルトレイに上げたところ。こち
らをNO-1セルとして管理する。果たして何個体生き残るだろうか。
2.こちらから二枚は2021年10月19日に撮ったもので、こちらは左写真
のこの時点での様子。生長はまちまちであるが、何とか育ってくれている様
である
3.1個体をアップしたところ。この時点ではこんな感じで草体全体がグリーン
一色である
1.2021年7月23日、残りの20個体をセルトレイに上げた様子。こちら
をNO-2セルとして管理する
2.こちらから二枚は2021年10月19日に撮ったもので、こちらは左
写真のこの時点での株姿様子。後から移植したのだが、NO-1セル個体よりも
少し出来が良さそう(^o^)/
3.1個体をアップしたところ。現在はこんな感じで草体全体がグリーン一色で
捕虫嚢の形はslenderになりN.gracilisの雰囲気が僅かに出てきただろうか
1.こちらから六枚は何れも2022年5月29日に撮ったもので、この3月下
旬~4月上旬に取り敢えず5個体をビニールポット上げしたもの。こちらは
NO-1個体。気温の上昇にともにいやっとリーフジャンプし生長が勢いづいた
感じ
2.NO-2個体のこの時点での株姿。葉身の色合いも若干darkticになりつつある
様だ
3.こちらはNO-2個体に着いた最新の捕虫嚢。今までは殆どグリーン一色だった
がやっと色付き始めた。翼が臙脂色になり斑模様も浮かんで来たところ
4.NO-3個体。こちらは茎が少し伸び始めた雰囲気だ。これから一挙に生長して
欲しいものだね~
5.NO-4個体のこの時点での株姿。こちらも生長に勢いが増してきた感じだ(^_-)-☆
6.NO-5個体のこの時点での株姿。若干茎が伸び始めた様だ。これ以降も少しず
つビニールポット上げしているので、一鉢に数株寄せ植えしてワサワサ状態
にしてみたいものだ
1.こちらから六枚は2022年11月24日に撮ったもので、こちらは最初に
ビニールポットに上げたNO-1~NO-5個体の一部で、左下からNO-3個体、左真
中がNO-4個体、左上がNO-5個体。何れも生長度合いはほぼ同じで、やっと徒
長が始まり20cm程度になった
2.NO-3個体の地際を確認すると既に腋芽が発生し着袋が始まっている。他の数
個体も脇芽が発生してきている様である(^_-)-☆
3.こちらは約一ヶ月後にビニールポット上げした2個体。こちらの捕虫嚢も大
分色合いが濃くなってきた
4.こちらは更にその1ヶ月後くらいにビニールポット上げした2個体。こちら
の1個体は結構色付いてきているが、手前の個体は一寸色付きが悪い。何れ
他の個体程度にはにるだろう
5.こちらから二枚はNO-5個体のもので、こちらは最新の捕虫嚢。大分slender
ではあるが結構darkticになってきた
6.次に生長してきた捕虫嚢の赤ちゃん。この時点では結構赤味が強いが、完成
すると左写真の捕虫嚢と同じ様な色合いになる
1.こちらから六枚は2022年11月24日に撮ったもので、こちらはNO-4個
体に着いた最新の捕虫嚢
2.こちらはNO-5個体に着いた最新の捕虫嚢。これは結構寸胴なスタイルだがこ
れからどう変化するだろうか
3.上段写真の左から四枚目写真の上の個体に着いた最新の捕虫嚢。結構赤っぽ
い色合いになった
4.上段写真の左から四枚目写真の下の個体に着いた最新の捕虫嚢。これは結構
色合いが薄い。このままでも一寸渋い感じだが、何れ生長してきたら濃くな
るだろう
5.こちらから二枚は更に後からビニールポット上げした個体に着いたもので、
色合いは更に薄い
6.同じく別の個体に着いた最新の捕虫嚢。こちらはちょいポチャの雰囲気で色
合いは薄い。何れdarkticになるだろう
1.こちらから六枚は2023年9月27日に撮ったもので、こちらはNO-1個体
に着いた最新の捕虫嚢。ややポチャで色合いは濃い様である
2.NO-2個体に着いた最新の捕虫嚢。大分徒長してきているせいかややslender
で色合いも若干掠れぎみ
3.NO-3個体に着いた最新の捕虫嚢。こちらも徒長枝なので色合いは薄い様だ
4.NO-4個体に着いた最新の捕虫嚢。こちらは一寸小さめだが大した変わりはな
い様である
5.NO-5個体に着いた最新の捕虫嚢。こちらは一番小さな捕虫嚢だが、色合いは
やや濃い目だ
6.こちらから3ポットは最後にセルトレイから鉢上げしたもので、めんどくさ
かったので1ポットに2個体を植付けた。そのせいか一寸賑やかである
1.こちらから六枚は2024年3月20日に撮ったもので、こちらは徒長枝に
着いた最新の捕虫嚢。色合は大分薄くなってきている感じ
2.別の個体に着いた最新の捕虫嚢。こちらはslenderだが色合いはやや濃い目か
3.更に別の個体に着いた最新の捕虫嚢。こちらは結構色合いが濃い様だ(^^
4.左写真の捕虫嚢の次に出来つつある捕虫嚢の赤ちゃん。これから徐々に大き
くなり色合いも濃くなってくれるだろう
5.別の個体の地際から発生してきた腋芽が生長した枝に着いた一つ前の捕虫嚢
6.左写真の捕虫嚢の次に着いた最新の捕虫嚢。色合が徐々に掠れてきている様
である(^_^;)
1.こちらから六枚は2024年9月10日に撮ったもので、こちらは徒長した
枝に着いた一つ前の捕虫嚢。異常な暑さによるものか色合いは全く良くない
2.左写真の捕虫嚢の次に着いた最新の捕虫嚢。これも色合いが悪いね~(;^ω^)
3.左写真の捕虫嚢の次に出来つつある最新の捕虫嚢の赤ちゃん。ボケ気味で見
辛いのはご容赦の程m(_ _"m)
4.こちらは左写真の個体の地際をアップしたもので、腋芽が発生し着袋が始ま
っている。ボコボコになってくれれば良いのだが…(*^^*)
5.こちらは別個体に着いた最新の捕虫嚢。これも色合いは何かぼやけた感じだ
6.左写真の捕虫嚢の次に出来つつある最新の捕虫嚢の赤ちゃん。多少は色合い
が良くなるかな(・・?。いずれにしても早く夜温が下がって欲しいものだね
1.こちらから六枚は2025年2月24日に撮ったもので、こちらは新温室内
で管理している個体の徒長枝に着いた一つ前の捕虫嚢。色合いは未だ良い様
である
2.左写真の捕中嚢の次に着いた最新の捕虫嚢。急に色合いが薄くなった
3.こちらは別の実生個体の徒長枝に着いた一つ前の捕虫嚢。一寸Squatなこの
個体が一番darkticだ
4.左写真の捕中嚢の次に着いた最新の捕虫嚢
5.こちらは更に別の個体の徒長枝に着いた一つ前の捕虫嚢。この個体が一番色
合いが薄い
6.左写真の捕中嚢の次に着いた最新の捕虫嚢。更に色合いは薄くなってきた様
だ。どの個体も昨夏の猛暑で大分ヘタっていたが少しましになってきた。梅
雨明け迄は良い調子でいてくれる筈だ
1.こちらから六枚は本日2025年7月17日に撮ったもので、こちらは徒長
を開始した枝に着いた一つ前の捕虫嚢
2.左写真の捕虫嚢の一つ前に着いた捕虫嚢(左側)と最新の捕虫嚢(右側)
3.別の個体に着いた一つ前の捕虫嚢。一寸しみったれた感じ(;^ω^)
4.左写真の捕虫嚢の次に着いた最新の捕虫嚢。徒長枝のもので色合いは少しず
つ掠れてきている様だ
5.左写真の捕虫嚢の次に生長してきた最新の捕虫嚢の赤ちゃん。完成までには
もう少し掛かりそうだ
6.地際から発生してきた腋芽に着いた最新の捕虫嚢。若干色合いが薄い様だね
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