本日は、N.trichocarpa×viking var boatform ×sib(Red系)の交配‐その11について紹介します。
①交配番号 :NO.35
②交配親 :N.Trichocarpa斑点系[♀]×viking var boatform ×sib(Red系)[♂]
③交配日 :2013年10月25日
④採取日 :2014年2月28日
⑤播種日 :2014年3月5日
⑥発芽確認日:2014年4月19日
種子親のN.Trichocarpaは、インドネシアの島々の低地(海抜0~300m)に自生する自然交配種です。元々は独立種として扱われていたそうですが、現在では、
N.ampullariaとN.gracilisの自生する場所に限って生育すること、その草姿、補虫嚢が種子親に非常に良く似ていること、襟の部分はN.gracilisよりやや内側へ巻き込み
N.ampullariaの形質が発現されていること等を勘案した結果、原種ではなくN.ampullariaとN.gracilisの自然交雑種と同定されている様です。本種は、グリーンや斑点系等のバラエティーがありますが、この交雑親は斑点系になります。
一方、花粉親のN.viking var boatform ×sib(Red系)は、boatform同士のシブクロスで、ぷりんさんが作出されたものです。赤みの強い個体で、特に耐暑性があり、非
常に着袋し易く、根部の発達が良く、腋芽もどんどん出て株立ちになります。特に陽を好みますので、十分な日照と水、気温があればバンバン生長し鈴なりに着袋してく
れる品種です。
この両親を交配してみました。小型のN.vikingの風貌に、斑点とリップにストライプが入ってくれる様なイメージは虫の良い話かもしれませんが、そんな子ができればと
思っています。唯、結実は悪く僅かな量しか採取できませんでした。採取した種子は概ね発芽してくれましたが、連結ポットに植えてから成長が悪く、結果的に4芽しか
残っていません。唯、4芽とも何時お迎えが来てもおかしくない状態でしたが、ビニールポットに上げてからやっと少しずつ大きくなり、生長の早い2個体は縦長ブラ鉢
に、その後1個体は4号ブラ鉢に鉢増ししました。3個体の内唯一1個体(NO-1)のみ斑点及びリップにストライプが発現してきていた様に思います。又、(NO-2)は花粉親
にとても良く似ている様で、最終的にこの二個体を残していましたが、現在確認できるのは今回記事にした1個体で当初のラベルが欠損してしまっていたのでどの個体か
同定できません(ノД`)・゜・。下段写真左から、
1.種子親のN.trichocarpa斑点系。この嚢はアッパーで、嚢の表面は殆ど色彩が無
いが、内班が透けて見えるのと、リップのストライプが良い感じ。本種は両親に
似て高温多湿の環境で良く着袋、生長してくれる
2.こちらは花粉親で、ぷりんさんが作出されたN.viking boatform同士のsib-cross
で、赤みの強い個体。大変耐暑性があり、非常に育てやすい品種
3.蒴果と種子。鞘は比較的沢山出来たが、種子は殆どカスで充実した種子は僅かで
あった
4.発芽確認から1ヶ月弱の2014年5月13日に撮った実生。種子は少なかった
ものの、発芽はボチボチ良い感じ
1.2014年11月9日に撮ったもので、10月31日にセルトレイからビニール
ポット上げした個体。4芽生き残った内の一番成績が良い個体
2.2014年12月21日、やや大きめの葉身が展開してきたので、活着している
模様
3.2015年1月6日に撮ったもの。気温が低いので成長度合いはイマイチだが、
何んとかなりそうな雰囲気
4.こちらも同1月6日に撮ったもので、セルトレイの様子。右から2番目の縦一列
が本種のものだが、一番下の苗は潰えた。週末辺りビニールポット上げをしよう
と思う。何んとか生き残って欲しいもの
1.2015年3月20日、上段写真のビニールポットに上げた個体のその後で僅か
ながら大きくなってきている感じ
2.2015年5月13日に撮った株姿
3.2015年6月7日、調子はイマイチだが縦長ブラ鉢に鉢増しした
4.2015年7月16日、やや大きめの葉身が展開してきた。なっなっ何と捕虫嚢
にスポットが発現しているではないか
5.こちらから二枚は2015年8月10日に撮ったもの。徐々に光線量を増やして
おり、葉面がテカテカ艶々になってきた。やや革質な感じで種子親に雰囲気が似
る
6.捕虫嚢をアップしたもの。未だショボイ嚢だが、しっかりとスポットが入ってく
れそうな感じ。後は形が花粉親にどれ位似てくれるかだが・・・・
1.2015年5月20日、ビニールポットに上げたばかりの二番目の個体
2.2015年8月9日、気温が高いせいか、二番目の個体があっという間に大きく
なってきたので、前日縦長ブラ鉢に鉢増しした
3.この二番目の個体の捕虫嚢をアップしたもの。雰囲気的にこの個体はスポットが
なさそうな感じ
4.2015年6月4日、三番目にビニールポットへ上げた個体
5.2015年8月10日に撮った三番目の個体のその後。徐々に大きくなってくれ
ている様子
6.2015年6月4日、四番目にビニールポットへ上げた個体
7.2015年8月10日に撮った四番目の個体のその後。こちらも徐々に大きくな
っており、もう二週間程度したら縦長ブラ鉢に鉢増しできそう。この個体は後に
里子に出たよ~;つД`)
1.2015年9月19日、一番最初に鉢上げした個体(NO-1)で、生長もある程度早
い様である
2.2015年10月20日に撮った(NO-1)のその後の様子
3.(NO-1)に出来た捕虫嚢で、種子親にやや似ている様で斑点が目立つようになって
きた
4.こちらから三枚は2016年1月30日に撮ったもので、こちらは(NO-1)のその
後の様子
5.こちらは(NO-1)に出来た最新の捕虫嚢。斑模様とリップのストライプが目立つよ
うになってきた。これは雰囲気的にほぼ当初のコンセプト通りかな
6.こちらは(NO-1)に出来た二つ前の捕虫嚢。この時点では未だリップのストライプ
は目立たなかった
7.こちらは2015年11月14日に、ビニールポットから4号ブラ鉢に鉢増しし
た個体(NO-2)
8.この個体(NO-2)の色合いは花粉親のN.vikingに良く似る。NO-1とこのNO-2の
個体を選別して育てていこうと思う
1.こちらから八枚は何れもNO-1個体。こちらから三枚は2016年8月1日に撮っ
たもので、これは草姿。大分大きくなりボチボチ徒長が始まった。地際から腋芽
も発生してきている
2.主茎に出来た捕虫嚢。中々濃い色合いになってきた。又、リップのストライプも
比較的目立つ様だ
3.こちらは腋芽に出来たロアーで、スポットが良く目立つ
4.2016年8月22日、ロアーの最後辺りだろうか
5.こちらは2016年9月7日に撮ったもの
6.2016年9月29日、脇芽に出来たロアー
7.2016年10月22日、雌花が咲いた様子
8.こちらは2017年2月22日に撮ったもので、既にミドルからアッパーぎみに
なってきた雰囲気
1.こちらから五枚は全てNO-1個体。こちらは2017年5月27日に撮ったもの
で、やっと発生した地際の腋芽に出来たロアー
2.こちらからね二枚は2017年6月16日に撮ったもので、主茎に出来たアッパ
ー
3.こちらは左写真の嚢の口部をアップしたもの。リップのストライプは比較的はっ
きりと表れる様で、種子親のN.Trichocarpaに良く似る
4.こちらから三枚は2017年8月27日に撮ったもので、こちらは地際に発生し
た腋芽に出来たロアー
5.こちらは主茎に出来たアッパー。奥に写っている捕虫嚢も本種のもの。
6.7月下旬に開花した雌花の残骸。頂芽は既に温室の天井を這い回っている状況。
腋芽も少し大きくなってきたので、ボチボチカットしよう
7.こちらは2018年9月11日に撮ったもので、腋芽が徒長した枝に着いたミド
ル辺りの捕虫嚢
1.こちらから八枚は何れもNO-2個体。こちらは2016年8月21日に撮った草姿
2.一つ前に出来た補虫嚢
3.最新の補虫嚢。出来たてなので艶々している。N.vikingに良く似てとても発色が
良い
4.こちらは2017年2月22日に撮った株姿。徐々に成長はしてくれているが、
温室に入るスペースが無く、夜間6~7℃程度の部屋で管理しているため状態は
良くないし着袋もない。今暫くの辛抱だ
5.こちらから四枚は2017年8月27日に撮ったもので、こちらはこの時点での
株姿。2017年5月にドライアウトさせてしまい、地上部が全て枯れてしまっ
た。ダメ元で暫く灌水していたら地際から腋芽が発生してきたよ
6.枯れこんだ主茎をカットしてすっきりとした。腋芽は二芽発生している
7.最初に出来た超ロアーだが、色合いはまあまあ赤味が強いかな。右下に僅かに見
えるのはもう一つの腋芽に出来た超ロアー
8.次の捕虫嚢の赤ちゃん。これから少しずつ色付いて大きくなってくる
1.こちらから八枚は何れもNO-3個体。2株しか残していなかったと思ったのだが、
後1個体出てきた!(^^)!。これをNO-3個体として暫く経過観察しようと思う
2.2016年9月7日、補虫嚢は結構赤味が強い感じだが、NO-2個体ほどではな
い。スポットが入るのはNO-1個体のみ
3.2017年1月3日、このシーズンでは最後の補虫嚢。色が殆ど抜けてしまった
よ~
4.こちらは2017年2月22日に撮った草姿だが酷い状態だ。この個体も温室に
入るスペースが無く、夜間6~7℃程度の部屋で管理している。着袋もないが、
地際から腋芽が二芽発生してきているよ~!(^^)!
5.2017年4月12日、地際から発生した腋芽のその後。気温の上昇と共に少し
ずつ成長し着袋しつつある
6.こちらから三枚は2017年8月27日に撮ったもので、こちらはこの時点での
株姿。戸外で終日直射に当たっているので結構葉が赤い。
7.こちらは地際から発生した腋芽に出来たロアー。結構赤いね~!(^^)!
8.腋芽は三芽発生しており、少しずつ着袋してきているロアーの様子
1.こちらから八枚は何れもNO-3個体。こちらは2017年9月27日に撮ったもの
で、こちらは地際から2芽発生した腋芽に着いたロアー。出来て間もないので艶
々としている(^^♪
2.こちらから三枚は2017年10月10日に撮ったもので、こちらはこの時点で
の株姿
3.地際の腋芽に着いたロアー
4.こちらは主茎に着いたアッパー。殆ど色は無くなった感じ
5.こちらから四枚は2018年9月11日に撮ったもので、こちらはこの時点での
株姿で、花穂が上がってきた。未だ開花していないがこの蕾からして雄花だろう
6.主茎に着いた最新のアッパー。開いて間もないので、襟は完全に反り返っていな
い
7.地際に発生した腋芽に着いたロアー
8.こちらも地際の腋芽に出来つつあるロアーの赤ちゃん
1.こちらから五枚は2019年8月14日に撮ったもので、何れもNO-2個体。特に
赤味の濃いこの個体を残すことにした。こちらはこの時点での株姿。主茎は力尽
きたが二番目に発生した腋芽が少しずつ成長してきた
2.こちらは最初に発生した腋芽に着いた最新の捕虫嚢。と云っても何か色合いが悪
いネ
3.最初に発生した腋芽に出来つつある補虫嚢の赤ちゃん。本当に赤子の名に恥じな
い色合いになりそうだ(^J^)
4.こちらは二番目に発生した腋芽に着いた最新の捕虫嚢。結構良い感じに色付いて
いるね
5.生長を開始したばかりの蔓の先端部分。これから徐々に大きくなり捕虫嚢を形成
する
1.こちらから五枚は2020年9月17日に撮ったもので、こちらはこの時点での
株姿。冬季も温室外での管理なので大して大きくならないが、一応二芽共に生き
ている(^^;)
2.最初に発生した腋芽に着いた最新の捕虫嚢。結構濃い色合いだ
3.最初に発生した腋芽に出来つつある捕虫嚢の赤ちゃん
4.二番目に発生した腋芽に着いた最新の捕虫嚢。少し時間が経ったせいか黒ずんだ
赤色って感じ
5.同じく二番目に発生した腋芽に出来つつある補虫嚢の赤ちゃん。間もなく完成し
そうだ
1.こちらから五枚は2021年8月13日に撮ったもので、何れもNO-2個体の筈だ
が…。こちらはこの時点での株姿。2芽発生した腋芽の生長はチマチマ状態が続
いている
2.こちらは先に発生した腋芽に着いた一つ前の捕虫嚢。色合いの悪いショボくれた
捕虫嚢(^^;
3.同じく最初に発生した腋芽に着いた最新の捕虫嚢。未だ赤味はあるが一寸掠れた
感じになってきている
4.二番目に発生した腋芽に着いた一つ前の捕虫嚢。こちらも色合いは大分薄い様だ
5.二番目に発生した腋芽に着いた最新の捕虫嚢。若干色合いは濃くなったかな
1.こちらから六枚は本日2023年11月3日に撮ったもので、新温室内で管理し
ている個体。唯、ラベルが欠損してしまっていたのでどの個体か同定できない
こちらは現在の株姿。主茎は朽ち2芽ヒョロヒョロと伸びており、株元から次の
腋芽が発生・着袋している
2.地際から発生してきた最新の腋芽に着いた一つ前の捕虫嚢。結構色合いは濃い
3.左写真の捕虫嚢の次に着いた最新の捕虫嚢。N.viking寄りかな
4.ヒョロヒョロと伸びた腋芽に各々着いた一つ前の捕虫嚢
5.左写真の左側捕虫嚢の次に着いた最新の捕虫嚢
6.左から四枚目写真の右側捕虫嚢の次に着いた最新の捕虫嚢。何れもアッパーは口
がやや大きくなる傾向にある様だ
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