本日は、N.thorelii Lecomte.forma rubraです。

①自生地   :カンボジア、ベトナム等のサバンナ性湿地、1909年記載種
②入手時期 :2009年10月
③入手元   :うつぼかずらの郷殿
④成長度合 :早い
⑤栽培難度 :簡単、低温、高温、乾燥に強い
⑥挿し木    :水挿しで100%
⑦嚢の大きさ:我が家ではMax12cm前後
⑧雌雄     :♀、10月頃

N.thoreliiにもバラエティーが沢山がありますが、本種は全体的に赤身の強くなるタイプで、八丈島の日の出花壇殿由来の品種です。ロアーはとても発色が良くぽっちゃりとしていて、とても美しいと思います。アッパーは完全に二形性を示し、とても細長くなります。時期によっては葉身も赤く紅葉したようになる様です。
2012年には主茎が2m程度伸長した後に雌花が開花しましたので、最初の交配、次年に頂芽挿しの挿し木苗に開花しましたので、二度目の交配を実施しました。何れも花自体数は少なく、少量の種子しか採れませんでしたが、結実は比較的良かったようです。2013年の1月と2014年の3月に採取した種子も、無事に発芽成長している状況です。
種子を採取後に長く徒長した枝を切り詰め、2013年本種では初めての挿し木に挑戦しました。節間枝×2、頂芽枝×1の3本水挿ししましたが、2ヶ月程度で発根しました。その後鉢上げし、二株は里子へ、頂芽挿しは予備として暫く我が家に置いていましたが、置き場所の問題もあり里子に出ました。又、2017年の5月にも2本水挿ししましたが、無事に発根しましたので8月下旬にビニールポットへ鉢上げしました。
昨年も6月に2本(頂芽枝×1、節間枝×1)挿しましたが、本種では初めて鹿沼土に挿してみました。何れも発根活着していますが、節間枝の方は途中で芽が枯れてしまいました。その後下節の潜芽が動き始め事なきを得ました。N.thorelii系は挿し木が容易な種が多い様ですね。親株が老衰してきている様ですので、この挿し木苗を更新株とする予定です。下段写真左から、

1.2011年9月7日に撮ったもので、腋芽の最初のころに出来たロアー
2.2011年11月29日の草姿。親芽から二芽程腋芽が発生し、それについたロアー。
  色合い及び、斑模様がとても濃くクッキリと表れていてとても美しい
3.2011年9月21日に撮ったもので、親芽に出来たミドル当たりの嚢。徐々にホッソ
  リとしてくる感じ
4.こちらは2011年10月10日、親株にできた別のミドル
5.2012年5月19日、親株に出来たアッパー寄りの嚢。心なしか色合いが薄い
6.2012年9月9日に撮ったもので、手前がロアー、左奥がミドルからアッパー寄りの
  嚢。こうして並べてみるとその形が随分異なり、二形性である事が実感できる

1.2012年10月10日、一寸ぼやけて見辛いが、本種の花序(雌花)、N.vikingと見
  合わせた所、無事に結実したので播種。現在大きな個体は20cm以上成長中
2.2012年11月27日に撮ったアッパー寄りの嚢。ロアーと比べ襟が大きくなり色合
  いも濃く、ストライプがとても目立つようになる
3.2013年2月26日、腋芽に出来たロアー
4.2013年9月20日、腋芽に出来たミドル辺りの嚢。この頃には既に細長くなってい
  る

1.2013年7月5日、節間枝×2、頂芽枝×1の3本水挿ししたが、この節間挿しはと
  ても発根状態が良く、結構伸びてきたので早速ビニールポットへ鉢上げすることにし

  た。頂芽挿しはカルスばかり大きくなり未だ発根していない
2.根部をアップしたもの。とても発根状態が良い
3.2013年7月12日、新葉が展開してきており、無事に活着した様子、この二株は後
  に里子へ送り出した
4.2013年12月12日、頂芽挿しもその後発根しビニールポット上げしたところ、急
  に徒長を始め開花した。二度目の交配をしたが、無事受粉した様で子房が膨らんで

  きた様子。確かこの花序はN.Fukakusaで、他の花序のお相手はN.Noboriryuだった

  ような・・・・
5.2014年11月17日に撮った挿し木苗に出来た嚢で、既に1m以上伸長しアッパー
  になった
6.同日の11月17日に撮った挿し木苗の最新の嚢で、間もなく開きそうな感じ

1.2015年1月1日、親株に出来たアッパー。リップの色合いがピウティフル~
2.2015年3月13日に撮ったアッパー
3.2015年5月21日、一寸色合いの薄い平凡な嚢
4.2015年6月5日、こちらのアッパーも色合いが薄い
5.こちらから三枚は2015年10月9日に撮ったもので、こちらはひとつ前にできた嚢
6.こちらは最新の捕虫嚢
7.指で撮んでみた。これ位の大きさで大分ショボくなってきた。ボチボチ植替え及び、挿
  し木をして株のリフレッシュをしないといけない

1.2015年11月12日、随分スレンダーになったアッパー
2.こちらから二枚は2016年8月26日に撮ったもので、5月に水挿しした1枝の状態。
  発根量はやや少なめだがこの後ビニールポッとに鉢上げした
3.こちらは2枝芽の発根状態。やや根量は多い。今回は何れの挿し穂も根がとても細

  い。日陰で挿し木をするとこんな感じになる事が多い様だ
4.こちらから二枚は2016年10月13日に撮ったもので、こちらは最新のアッパー
5.こちらは主茎の一つ前に出来たアッパー。リップが色濃くなってストライプが目立たな
  くなってくる
6.こちらから三枚は2016年11月8日に取ったもので、こちらは最新の嚢で未だロア
  ー辺りだが、日照条件の悪い場所で着袋しているので、色合いがとても悪い
7.こちらは同じ枝に出来た一つ前のロアー
8.こちらは別の枝に出来たロアーだが、これも日陰で色合いが悪い。本種はバンバン

  陽に当てる事で、より良い色合いになる

1.こちらから二枚は2017年5月2日に撮ったもので、こちらは一つ前に出来たロアー
  からややミドル寄りの捕虫嚢
2.こちらは最新のロアーからややミドル寄りの捕虫嚢
3.こちらから四枚は何れも2017年10月16日に撮ったもので、こちらは2m程伸長
  した枝に着いた最新のアッパー。何かバナナみたい
4.こちらは一つ前に着いたアッパー
5.2017年8月30日に、本種としては5年ぶりに交配を実施したが、鞘は殆ど膨らん
  でいない感じ。唯、本種は結実しても大して鞘は大きくならないので、結実可否は

  最後まで判らない
6.こちらは最近発生した腋芽に着いたロアー。できが悪くなってきたので、来春には

  挿し木をして株の更新が必要かも

1.2018年4月29日、2m以上徒長した枝に出来つつあるアッパーの赤ちゃん
2.こちらから六枚は2018年5月1日に撮ったもので、こちらは2m以上徒長した枝に
  完成した最新のアッパー
3.1つ前に着いたアッパー
4.2つ前に着いたアッパー
5.こちらは次に成長途中のアッパーの赤ちゃん
6.地際から発生した腋芽に出来つつあるロアーの赤ちゃん
7.こちらも地際から発生した別の腋芽に出来つつあるロアーの赤ちゃん。左奥に見え

  る2つも本種のもので、生長途中のロアーの赤ちゃん。暖かくなってきたせいか急に

  ボコボコ着袋し始めたよ~(^^♪

1.こちらから二枚は2018年6月14日に撮ったもので、2m以上徒長した枝に着いた
  一つ前のアッパー
2.こちらも同様に2m以上徒長した枝に着いた最新のアッパー。ロアーと比べ結構リッ

  プのストライプは目立つよね
3.こちらは地際からの腋芽が徒長を開始した枝に着いたミドル寄りの補虫嚢だが、一

  寸ショボい大きさ(^^;
4.こちらから五枚は2018年11月1日に撮ったもので、こちらは地際から発生してき
  た腋芽に着いたロアー
5.こちらのロアーは下腹部の膨らみが結構大きいよ(^O^)
6.別の腋芽に着いたロアー
7.既に3m程徒長した枝に着いた最新のアッパー。アッパーになると結構色落ちする

  せいか、リップのストライプは鮮明になる
8.この10月18日に交配したが、花粉の載っていない子房と花粉の載った子房とでは

  明らかに大きさは異なる様だが、未だ結実したか否かは判断つかない。2m程徒長

  した枝にも開花しており、別の花粉を載せたがこちらも同様な感じ。無事に結実した

  ら年の1、2月には採取できるであろう

1.こちらから二枚は2019年5月8日に撮ったもので、こちらは徒長枝に着いた最新の
  アッパー
2.こちらは徒長枝に着いた一つ前のアッパー。とてもスレンダーでロアーとは随分色形

  が異なり、完全な二形性を示す
3.こちらから三枚は昨日2019年6月16日に撮ったもので、親株の勢いが随分衰えて
  きたので、挿し木にして更新する事とした。従来瓶挿しが主流であったが、今回本種

  では初めて鹿沼土挿しとした
4.左写真の挿し穂に着いていた最新の出来立てアッパー
5.こちらは次に成長を開始したアッパーの赤ちゃん
6.こちらから三枚は2019年6月17日に撮ったもので、こちらは親株の地際から発生
  した腋芽に着いた一つ前のロアー
7.こちらも地際から発生した腋芽に着いた最新のロアー。大分株が老化してきた様で、

  今回更新株に後を譲るために挿し木を実施
8.親株の別の徒長枝に着いた最新のアッパー

1.こちらから三枚は2019年11月17日に撮ったもので、こちらは親株の2m以上徒
  長した枝に着いたアッパー。未だ多少色合いは残っている様である
2.左写真の捕虫嚢の次に着いた最新のアッパー。嚢表面の色合いは殆ど無くなった
3.2019年12月3日、親株の徒長枝に着いた最新のアッパー。口以上に蓋が大きめ

  ね
4.こちらから三枚は2019年12月6日に撮ったもので、こちらは地際から発生した腋

  芽に着いたロアーだが、めっちゃショボい^^;
5.この6月16日に、本種では初めて鹿沼土に挿した。無事に発根したようで、上節の

  潜芽が動き始めたのだが、暫くして急に枯れこんだ。その後下節の潜芽が動き始め

  葉が展開してきた。我が家では挿し穂は最低2芽以上付けて挿し穂としている。1芽

  枯れても良い様に保険にしているのであるが、今回は保険が良かった様だ(^_-)-☆
6.こちらは頂芽枝の挿し木苗。みるみる内に徒長してきた。日陰に置いているのでモ

  ヤシ状態(^^;

1.こちらから四枚は本日2020年9月27日に撮ったもので、何れも挿し木苗のもの。
  こちらは一つ前の捕虫嚢で、大分スレンダーな感じになっている
2.最新の補虫嚢。左写真の捕虫嚢と比べ若干ポッチャリぎみかな
3.こちらは次に成長してきた捕虫嚢の赤ちゃん。少しずつ色合い模様が付いてきた様

  だ
4.最新の補虫嚢の赤ちゃん。完成するまでには未だ時間がかかりそう。親株は入手し

  て11年近く経過し大分老化してきているので、この挿し木苗を将来に託そう(^_-)-☆

 

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