本日は、Nepenthesの捕虫嚢形成について紹介します。

食虫植物の中で、Dionaeaに次いで有名なのはNepenthesではないでしょうか。昔は特に初夏の頃になると園芸店でN.alataひょうたん種(当時はN.hibridaの誤名で流通していた)が軒先にぶら下げられて販売される光景を良く見かけました。

当時販売されている品種は殆どがN.alataひょうたん種で、偶にN.ventricosa在来種が販売されているに過ぎませんでした。その後はN.Ventrataが主流になり、現在では高値の花だった高地性種等沢山の品種がネットでも販売される良い時代になりました。

私自身最初に手掛けたNepenthesは、当然の如くN.alataひょうたん種でした。かれこれ40年程前でしょうか。年がばれてしまいますが)^o^(。
Nepenthesは何と云っても葉身の先端から蔓が伸出しその先端に壺状葉の捕虫嚢(pitcher、monkeycup等と呼称される)を着けることで、その風体がエキゾチックで何とも言えぬ興味をそそられますよね~(^^)。
扨て、前置きはこの位にして、本日はこの独特なNepenthesの捕虫嚢の形成について記事にしました。と云っても全然大したことではないのですが…。Nepenthesの捕虫嚢は葉身が変化したものだと言われますが、捕虫嚢そのものを見ても中々理解しがたいかもしれません。販売店で入手した個体はある程度大きくなったものが殆どで、形態は既に蔓の先端に捕虫嚢が着いているからです。実はこれ等個体を家で栽培し、成株等大きく成長すると、地際から腋芽が発生してきます。この腋芽を良く観察されている方は気付くかもしれませんが、一瞬のことで直ぐに本来の形態になってしまいます。しかし、実生苗の場合は、品種によっても異なりますが、最初の本葉から概ね10~15枚程度の葉身でその形態を観察する事が出来ます。これを見れば成る程葉身から変化して徐々に捕虫嚢が形成されていくのだと理解できるでしょう。

厳しい生存競争の過程で生き残った知恵でしょうか。植物でありながら動物の疑似的形態を獲得した素晴らしい仕組みですよね。捕虫嚢は動物で云えば一種の胃袋に例えることが出来るでしょう。この捕虫嚢も地上部のできる位置(lower、middle、upper)で形態が異なるなど色々な仕組みを携えていますが、本日は取り敢えず捕虫嚢の形成過程をご紹介することにします。

1.発芽して本葉から既に10枚以上葉身が展開した状態。最初の頃は5mmにも満た

  ないので判り辛いため、これ位の大きさのものを撮った。この時点でも見た目は未だ

  葉身そのものであるが、既に葉身の先端部分が壺状葉を呈していて、既に蓋も良く

  判る。この蓋の先端部分が葉身先端だと云われている

2.上写真の葉身の次に展開した葉身。未だ葉身と捕虫嚢は一体で、見た目は葉身そ

  のものといったところだが、捕虫嚢は寝そべった状態から若干立ち上がってきた

3.次に展開したもので、葉身と捕虫嚢の境が徐々に細くなってきているが、未だ合着し

  た状態である

4.次に展開した葉身。一寸判り辛いいのはご容赦の程m(_ _"m)。葉身と捕虫嚢が分離

  したが、基部は未だぴったりとくっついた感じ

5.次に展開してきた葉身と蔓の先端部分。捕虫嚢は未だ成長途中であるが、完全に分

  離し超短い蔓が形成された。これ以降はご存知の通りの形態となるので割愛させて

  いただく

6.被写体は我が家で交配したN.Prosperity×(N.mirabilis-winged×veitchii)。花粉親の
  N.mirabilis-winged×veitchiiはN.mirabilisの翼(wing)が蔓の部分に良く発現した品種。

  未だ進化の過程で蔓が完全化していないのだろう。他の写真は上記五枚を結合した

  ものである

 

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