本日は、Nepenthesの奇形について紹介します。

植物や動物の世界では突然変異や奇形が沢山報告されています。私は無知なので良く理解できていませんが、突然変異とはDNA或はRNA上の塩基配列の物理的変化によるものや、染色体の数や構造に変化が生じる染色体突然変異がある様です。
奇形は主に生物が先天的な異常を持っていることだそうです。この遺伝形質の異常は発がんや機能不全などの原因になることもありますし、かたや進化の原動力ともなっている様です。
植物に限って言えば、突然変異なのでしょうか(・・?、斑入り植物やクロトンの飛葉などが有名で、遺伝形質が固定されている品種が沢山あります。又、帯化も良く報告されています。分裂組織の突然変異や遺伝的な原因によるもの、細菌の感染や昆虫、ダニなどによる傷害を受けることで生じる事が多いようです。特にグラム陽性菌の一種であるロドコッカス・ファシアンスの感染により、多くの植物で帯化を引きおこす原因として知られているそうです。
扨て、本題に戻りましょう(^^♪。我が家のNepenthesにおいても時折その様な奇形が発生しています。時折発生することもある奇形や、今までに一度しか発生していないものもありました。今回新ためてご紹介することにしました。何か不思議ですね。補虫嚢の観察以外にも一寸した楽しみが…(^_-)-☆。

1.chimera pitcher(色違い補虫嚢)
たまに発生する様で、補虫嚢の左右の色素が異なる。そもそもchimeraとは一個
体内に同種或は異種の別個体の組織が隣り合って存在する現象だそうで、ギリシ
ャ神話でライオンの頭・ヤギの胴・ヘビの尾をもち口から火を吐く怪獣キマイラ
からきているそうな。猫のキメラ等が有名である。我が家のNepenthesでは何種
類かで観察したが、膨大な量の写真から見つけ出せたのは下記二品種であった。
写真左から、N.Attractive Fuso、N.alata Luzon系
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2.Immature pitcher(未成熟補虫嚢)
これも時折発生する現象で、「早く嚢になりた~い!♪♪」がまともな嚢になれ
なかった補虫嚢である。嚢が合着せず葉身のままでその先端に襟が僅かばかり形
作られている。構造は異なるが、雰囲気的にクロトンの飛葉に似た感じである。
写真は、N.viking var boatform他
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3.small lid(矮小蓋)
この奇形は時々発生しているのを見かける為か、殆ど写真に撮っていなかった。
下記写真三枚は何れもN.×hookeriana vittataオールドタイプで、この種は環境
の変化(特に晩秋から冬にかけて気温の低下時期)で出やすいので、ある程度形
質が固定化されているのかもしれない。他の品種ではグラム陽性菌の感染や昆虫
ダニ等の傷害によるところが大きいのではないかと推断する
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4.double lid(二枚蓋)
葉身には特に異常がない様で、補虫嚢はややワイドな感じで蓋が二枚付いている
ケースである。2011年11月に我が家で交配したオリジナル品種のN.Mixta×
Noboriryuで、2016年4月に一度だけ確認した。写真は同じ補虫嚢でアング
ルを少し変えて撮ったもの
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5.double pistils(二重雌蕊)
花軸の同一場所から花柄が二本展開し各々開花するものや、花軸から花柄が一本
展開し途中で枝分かれして各々開花する品種は良くあるが、この写真では花柄、
花托は一つで雌蕊が二つ付いている。一般的にガク片は4枚であるがこれは七枚
あった。他の花を隅々観察したわけではないので、今まで観察できていなかった
だけかもしれないが…。写真はN.gracilis spot
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6.double pitcher(二補虫嚢)
我が家ではNepenthesを数十年栽培しているが、今回初めてdouble pitcherが着い
たよ~\(^o^)/。葉身は普通であるが、蔓が若干帯化している様である。この極
めつけの奇形はとても珍しい様で、海外では一例報告があり国内では昨年の3月に
HFC殿で報告があった。我が家で発生するとは思いもよらなかった(^^♪。写真
はその成長過程を撮ったN.gracilis sportのdouble pitcher
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尚、HFC殿の報告について、下記ネットで配信された神戸新聞NEXT殿の記事
を転載させていただいた
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