本日は、N.clipeata×ventricosaです。

種子親のN.clipeataは、ボルネオ島の西カリマンタン、シンタン近くにあるケラム山の600~800m辺りの花崗岩塊の崖にへばり付く様に自生していましたが、乱獲と近年の山火事でその場所はほぼ絶滅したと聞いています。しかし、他の場所で新しく発見されたとの情報も聞きます。N.clipeataの地下部は半ばミズゴケに埋もれた状態ですので、根部は通気性の良い環境になっているのだと思います。補虫嚢の形も独特なもので、とても興味をそそられる品種ですが、高価で手が付きません。又、栽培についてもいささか難物の様で、私の様な未熟者には無理でしょう。(ノ_・。)
一方花粉親のN.ventricosaはフィリピンの固有種で、シブヤン島、ルソン島ボントックバナウェ地方やマヨン山等の高地に自生する品種で古くから知られています。低温、乾燥にとても強く耐暑性もある強健な原種です。補虫嚢も種小名の通りいびつな形をしていますが、クリーム等は自然の芸術と称してもおかしくないほど素晴らしいものです。
この独特な2品種が親の本種も、とても独特な雰囲気を醸し出してくれる逸品だと思います。色・柄、形が何とも言えない『はんなり』とした感じがたまりません。草勢も非常に強く良く伸長します。腋芽の発生もとても良い様です。
本種は、中肋、蔓及び新芽の辺りが真っ赤に色付きますが、時間の経過と共に落ち着いた色合いになるようです。最初の腋芽は既に80cm程度に伸長しており、既に親芽を凌駕しています。又、昨年の6月には地際から二番目の腋芽が発生してきました。今年になって既に三番目と四番目の脇芽が発生して生長中です。そこで、主茎をこの5月16日にカットし、頂芽枝×1、節間枝×2の3本水挿ししました。挿し木も容易な様です。又、最近になって挿し木の頂芽枝と一番目、二番目の脇芽から花序が上がってきました。咲き始めたばかりですが雌花のようです。開花中のお相手がいないので一寸残念。冷凍花粉で交配を試みてみようと思います。下段写真左から、

1.2014年2月23日に撮った株姿全体。両種の、とりわけN.clipeataの雰囲
  気が良く出ている
2.同日に撮った先端部分の茎と芽。非常に色合いが濃く真っ赤になるが、時間の
  経過と共に徐々に薄れていく
3.こちらは葉身の先端と蔓を撮ったもの。中肋の裏側が赤くなるのは他の品種で
  も見られるが、この種は表も赤く染まり、且つ、蔓も真っ赤になる。
  唯、N.clipeataの様に葉の中肋途中から蔓が伸出する事はなく、一般種と同様
  にほぼ先端から伸出している。ボチボチ徒長の気配があり、徒長すると途中か
  ら伸出してくるのだろうか?
4.2014年8月12日に撮った草姿全体。現在2芽立ちだが嚢が長持ちするの
  で、結構鈴なりに近くなり見応えがある
5.こちらも同日の8月12日に撮ったもので、6月に腋芽が地際より発生し、徐
  々に成長してきた。着袋は未だだがもう少ししたら超ロアーが拝めるだろう
6.2015年2月15日に撮った株姿。真中が主茎で、右端が最初に出来た腋芽
  既に親芽を凌駕しており80cm程度に伸長した。今年は本茎をカットして挿
  し木に挑戦しようと思う。左の茎が二番目に発生した腋芽
7.2015年5月6日、地際より三番目の脇芽が発生してきたところ
8.2015年7月6日、主茎の途中から発生してきた四番目の脇芽。主茎は挿し
  木の為この5月16日にカットしたが、その以前から発生していたもので、カ
  ット後生長速度が増してきた
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1.2014年2月23日に撮った未開の補虫嚢と出来て間もない補虫嚢、色合、
  柄はN.clipeata、形はN.ventricosa似だろうか。中々良い雰囲気である
2.こちらは別の嚢。下腹部がぽっちゃりとして歪な感じはN.ventricosaに良く似
  ている
3.これは未開の嚢を側面から撮ったもの。中々面白い形で、N.clipeataもこんな
  形になる事が多いが、側面はN.clipeata似?
4.2014年3月8日に撮ったもので、次々と嚢が成長している。この状態では
  さほど特長的ではないが、出来あがるととても美しくなる
5.こちらは出来たばかりの嚢で一寸歪。大きさは直線で21cmだが曲がってい
  るので、伸ばしたらもう少しは有るかもしれない。結構大きな嚢になる様で見
  ごたえは十分
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1.2014年3月30日に撮った成長中の嚢で、結構赤みが強い
2.2014年4月5日、結構色合いが薄くなってきた感じ
3.2014年8月8日、開き始めたばかりの嚢
4.2014年8月12日、3枚目の画像の嚢が開いたもの
5.これも同日の8月12日に撮った出来て1ヶ月程度経過した嚢
6.こちらは既にミドル辺りだろうか、大分ほっそりとして色が抜けてきた感じ
7.こちらは2015年2月15日に撮ったもので、最初の腋芽に出来た嚢
8.これも同2月15日に撮った二番目の腋芽に出来たロアー。この頃は未だ襟の
  角張は殆ど無い
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1.2015年5月10日、オォォーー!! w(゚ロ゚;w(゚ロ゚)w;゚ロ゚)w オォォーー!! スクープ画像
  朽ちかけた先輩の嚢ができつつある嚢を飲み込んでいるではないか。正に共食
  いではないか、何という事じゃ。まあ、こういった光景は良く見かける。
  (^m^)
2.2015年5月21日、食い殺そうとしていた嚢を少し破って救出したら何と
  か成長してくれた。だが、一寸小さめなのは生気を吸い取られたためだろうか
3.2015年6月23日に撮ったもの
4.2015年7月11日、できかけの嚢。先端部分がキョイ~ンとしてる('ω'*)
5.2015年7月22日、左のできかけの嚢が完成した状態
6.こちらから三枚は2015年8月29日に撮ったもので、こちらは最初の腋芽
  についた花序。未だ開き始めたばかりなので一寸見辛いが、雌花
7.こちらは三番目の腋芽に出来たロアーだが、めっちゃスレンダーで、色合いも
  薄い
8.この5月16日に挿し木(水挿しで、頂芽枝×1、節間枝×2)をしていたも
  ので、随分発根した状態。何れも節間枝で、頂芽枝は未だ2~3mm程度の発
  根状態。節間枝の2本はこの日ビニールポットに鉢上げした
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1.2015年9月25日、鉢上げして1ヶ月弱経過した節間枝×2の状態。何と
  か活着してくれたかな(・・? この内1個体はこの後に里子へ出た
2.2016年1月1日、冬場でもボチボチ着袋してくれる
3.こちらから六枚は今朝2016年3月4日に撮ったもので、こちらは昨年末に
  地際から発生した五番目の腋芽のその後の様子。気温が低いのでやや緩慢だが
  今春以降でかくなってくれそう
4.三番目の腋芽にできたもので、左が最新の嚢、右は二つ前の嚢
5.昨年5月に挿し木した節間枝の1個体。こちらも今春には里子に出る予定。な
  んか居なくなると寂しいな~(´;ω;`)ウッ…
6.左写真の挿し木苗に出来た最新の嚢。めっちゃショボイね!
7.こちらも昨年5月に挿し木したもので、頂芽枝の1個体。何時まで経っても発
  根量が少なかったのでほったらかしになっていた。瓶から取ってみるとゴワゴ
  ワ根が凄い状態になっている。\(◎o◎)/!
8.左写真の全体。昨秋未だ発根したての状態で開花した。徐々に暖かくなってき
  たのでこの週末には鉢上げを予定。これで既に50cm程度あるので、我が家
  の予備としよう。又、親株の腋芽も大分伸びてきているので、5月頃にカット
  して挿し木の予定
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