右手首の怪我で2017年全米オープン欠場後
1年半近いリハビリを経て復活し、
今年に入って前哨戦となるATP250
ブリズベン大会で優勝を飾り勢いに乗った状況で
全豪オープンにチャレンジした錦織圭選手。
グランドスラム初制覇を期待し連日応援。
ベスト8までの4試合、対戦相手は全てランキングが
格下なれどタフなゲームの連続でした。
もともとスロースターターのイメージはあっても
最後は自分のペースに引き込む粘り強さが
真骨頂の錦織選手。
それは解っていても、全豪の勝ち上がりは
正直、あぁここで終わってしまうのか…
と諦めかけた試合が続きましたが、
錦織選手のネバーギブアップ力はやはり超一流と再認識。
1回戦はVSマイシュジャク(ポーランド、ATP176位)。
2セットダウンの背水の陣からイーブンに持込んで
ファイナルセットへ。最後は、
いいプレイが続いた故に飛ばしすぎた感じの若き対戦相手が
手足の痙攣でプレイ続行できずに棄権という顛末の辛勝。
緒戦からこんなに苦しめられるとは…
2回戦はVSカルロビッチ(クロアチア、ATP73位)。
身長211cmの大ベテランビッグサーバー。
累積データではウイナーポイントの8~9割は
サービスエースというプロファイル。
この試合も2セット先取後2セット落としイーブン、
ファイナルセットはタイブレークへ。
今年の全豪から導入された10ポイント先取の
タイブレークを何とか制しこれまた辛勝。
相手は看板とおりサービスエース一発で
ポイントを取るシーンが多く
手に汗握るような長いラリー応酬が少ない試合でしたが
錦織選手のストローカーとして面目躍如。
3回戦はVSソウザ(ポルトガル、ATP44位)。
唯一錦織選手が主導権を握ったまま相手を圧倒し
ストレート勝ちした試合。
左右ストロークの打ち分けやネットプレイ等
錦織選手らしさが随所に見られました。
そして、4回戦VSカレーニョブスタ(スペイン、ATP23位)。
5時間超の痺れる好ゲームで感動的勝利。
錦織選手は2セットダウンからイーブンに戻し
いつもながらのメンタルのタフさを魅せてくれました。
ファイナルセットは先にサービスゲームブレイクされるも
再び追いつき、お互い譲らないまま
またまた10ポイントタイブレーク勝負へ。
通常のタイブレークなら5-7迄で敗退のところ、
錦織選手はここから魂の5連続ポイント奪取。
テニスマッチではワンプレイで勝負の流れが
逆転する瞬間をしばしば目にしますが、
この試合では最後の最後にその局面が来ました。
錦織選手が3ポイントダウンの5-8となり
あと2つ落としたら…というネガテイブな考えが
私も含めた殆どのサポーターの頭を過ぎった
であろうと想像します。
この次のポイントが勝負の分かれ目でした。
錦織選手にサーブ権が移り、ファーストサーブ。
ワイドへ逃げるサーブをリターンされ、
再びそれを逆サイドに打ち込んでウイナーかと思われた
ボールをブスタ選手がぎりぎり食らいついてストレートに返球、
これがコードボールとなり、サイドラインの外側に
落ちたと判断した線審が「アウト」のコール。
その刹那、コールに惑わず錦織選手が相手の
ストレートを破るショット。
主審は錦織選手のポイントを宣言し、ビデオ判定でも
ラインにかかるイン・ボールを映し出しました。
ブスタ選手は、錦織選手のショットがアウトコール後の
プレイで無効だと訴えポイントのやり直しを求め
猛抗議するも判定は覆らず6-8。
ここが大きく流れが変わったポイントでした。
もう1ポイントサービスをキープした錦織選手は、
相手にサーブが移った後どちらにポイントが
行ってもおかしくないラリーをミスせぬよう我慢強くリターンし
相手のミスで2ポイント連続ブレーク、ここで初めて
9-8と優位に立ち、最後はワイドへのサービスエース
で感動的な勝利を掴みました。
錦織選手にサービスエースを決められ敗れたブスタ選手は
憤懣やるせなくマナーに違って主審と握手せずに
足早にコートを去ろうとしましたが、
途中で踵を返し錦織選手とはお互い肩を叩き合って
リスペクトを表していました。
このシーンには少しうるっとしました。
捨て台詞を吐いて会場を後にしたカレーニニョブスタ選手
の冷静でいられなかった悔しさはわかりますが、
少し後味が悪くなってしまいました。
後で「あれは自分ではなかった。申し訳ない。」
と公式に謝罪されたようです。
この錦織選手の奇跡の逆転劇は
一球入魂の集中力を体現したグランドスラム史に残る
ベスト オブ ベストゲーム言っても過言ではないと思いました。
稀に見るメンタルのぶつかり合いを見せてくれた両選手に感謝!
TVに齧り付いて応援したライブの5時間もあっという間でした。
マイケル・チャンコーチが涙目だったのにももらい泣きです。
試合後お互いをたたえ合うMr.錦織とMr.ブスタ (from WOWOW)
中継カメラに勝利者サインのMr.錦織 (from WOWOW)
しかし、次の準々決勝、VS天敵ジョコビッチ戦は
1stセットを落とした後右太腿痛で途中棄権。
4回戦後1日休息日はあったものの、
ここまでの4試合中3試合がフルセットの激戦を
勝ち抜いてきた錦織選手に比べ、
ジョコビッチ選手はトータル2セットしか落としておらず
気力体力とも余裕ある状況での対戦ですから、
錦織選手は疲労度で相当ハンデを背負っていたのは明らか。
試合前は驚異の粘りで天敵に雪辱を期待しましたが、
既に満身創痍、体力気力とも限界だったのでしょう。
錦織選手の無念のクオータファイナル敗退を見て、
5セットマッチのグランドスラム大会を制するには
気力体力を温存しながらここぞという場面に
1発で確実にポイントを決める集中力と
極力ロスなく勝ち上がってファイナルにピークを合わせる
大会期間を通してのマネジメントが
大切であることを感じずにはいられませんでした。
Mr.ジョコビッチやMr.ナダルといった
トップランクをキープしている選手は
それを常に出来ているからこそのトップなんでしょう。
そしてやっぱり終わってみればジョコビッチ選手の
優勝で幕を閉じた全豪オープン。
決勝まで1セットも落とさず勝ち上がった
ラファエル・ナダル選手は珍しく粘りが感じられず
淡白な試合で残念したが。
錦織選手のプレイはバリエーションが多彩で
テニスの魅力を充分に表現して観ていて面白い。
プレイの華麗さだけではなく
派手目のパフォマンスで観客にアピールしたり
大声で吼えて自分を鼓舞する選手が多い中、
小さなガッツポーズを作り静かにクールに
燃えている感じが好きです。
試合後のインタビューでも勝敗に拘らず
おっとりした語り口の冷静なレスポンスに
温厚で懐が深そうな人となりが感じられ
国内外に多くのサポーターがいるのもその人柄
の好感度ゆえでしょう。
ほんの稀にラケットに怒りをぶつけることもありますけど、
感情のセルフコントロールも一流の選手だと思う。
4回戦の苦闘の末の勝利インタビューでも
「2セットダウンの厳しい状況の時点、感情的になることで
エネルギーを無駄に使いたくなかった。」
とコメントしていました。
さて、全豪オープン女子では
大坂選手がグランドスラムV2となりましたが、
錦織選手も今年中のグランドスラム初Vに期待です。
チアアップ\(^o^)/ 錦織圭選手&大坂なおみ選手!

