先月逝去されたスティーブン・ホーキング博士。
車椅子の天才を見事に演じたMr.工デイ・レッドメインが
第88回アカデミー主演男優賞を受賞したのは2年前でしたが
まだ記憶に新しい。
ケンブリッジ大学院在学中の21歳の時にALSを発病、
余命2年の宣告を受けるもその後
数々の障害を乗り越え76歳で逝去されるまで、
理論物理学の最先端を走り続け、
「宇宙を完全に理解する事が生きる目的」という
自身の言葉を貫いた生涯だったと思います。
相対論と量子論の統合を目指すアプローチの
宇宙を支配する究極法則の解明は
博士の手では未完となってしまいましたが、
宇宙とは、人類とは、自分とは…
生きている限り人間が問い続ける素朴な問いに解を与えるべく
一般人に理解できる言葉で宇宙論に誘ってくれた
「宇宙の語部」ホーキング博士に感謝!
ということで、追悼のおもいを抱きながら
博士の伝記映画「博士と彼女のセオリー」
(原題: The Theory Of Everything)をじっくり観賞。
氏の人間味を身近に感じることができる秀作です。
それと、和訳版出版時の1989年に購入して途中読みかけのまま
放ってあった博士の初出版本
「ホーキング、宇宙を語る」(A Brief History Of Time)
を本棚の奥から引っ張り出して最初から読み直しています。
論文の最終章は、「結論-人間の理性の勝利」
というタイトルで、その最後の締めくくりフレーズは、
「人間が完璧な理論を発見でき、
我々と宇宙が存在しているのは何故かという問への答えを見いだせれば、
その理論は人間の理性の究極的な勝利となるだろう。
なぜならその時人間は神の心を知ることになるのだから…」
本編のあとに、偉大な先達である
A.アインシュタイン、ガリレオ・ガリレイ、A.ニュートンの
政治やとりわけ宗教との柵を少しアイロニカルな
タッチで寸評している記述があり、
博士自身は神仏を信じないと公言し宗教関係者から
中傷されるような事実もあったことを思い出すと
興味深い結び方だなと思いました。
1988年出版 累計1,000万部と言われる博士の著書
それにしても、博士が生前予想していた100年以内に起こりうる
ネガディブな人類の運命…
核戦争や素粒子実験、人工ウイルス、環境破壊、
地球外知的生命との遭遇、AIの暴走等の脅威の中、
(どれもこれもすでに映画ではみたような世界ですが…)
地球を脱出し系外惑星へ移住、コロニー形成を模索するような
未来が次世紀には本当に訪れるでしょうか?
先日、「コズミック・フロント」で紹介していた興味深いテーマ。
太陽に一番近い恒星、赤色矮星のプロキシマケンタウリの
衛星ケンタウリbまでは地球からたった(?)4光年の距離で
人類の入植が可能と考えられるハビタブルゾーンに存在する
系外惑星の候補だという。
極小さなカメラを積んだ薄い膜のような構造の探査機に
地球からレーザー光を照射する技術を使い
高速の2割の速度で約20年で到達可能という研究が進行中らしい。
このような系外惑星の探査が可能になり、
太陽系から移住できる科学技術を手にする頃には、
ホーキング博士が追い続けた
宇宙を支配する究極の原理が解明されていることを期待したい。

