ヒランヤと利き酒秘法 | さるいわの日記

ヒランヤと利き酒秘法

 統合失調症の陽性状態のときには。幸せな夢はあまり見なかった。見たににしても(苦しい夢が多かった)、新興宗教団体にいるときに、こういう夢を見ていたら勘違いしていたに違いない。もっとも、こういういい夢は「増長魔に陥る」とか言って、とたんに支部長にマークされそうな気もする。

 ちなみに、私が入っていた新興宗教団体は、秘法というイニシエーションみたいなものをやるが、集団催眠と常連さんによる感想の披露が主だった。「お酒や水の味が変わる」なんていう秘法をやっていたが、用意してあったお酒や水はいつも最低ランクの水であった。


 あるネットの掲示板で、この宗教に夢中になってしまった娘を説得しようとしているお父さんから「オウム教のように薬は入れてないのか?」と聞かれたが、この教団は本当に薬を入れてなかった。支部でも本会場でも用意のご奉仕を随分やっていた私がいうのだから本当だ。お酒も水もいつも最も最低値の値段のものを選んでいた。本当にこういうことにお金はかけない主義の教団のようであった。

 ヒランヤだったかな、昔ラジオや雑誌でピラミッドを組み立てて、その中に水を入れる。おいしくなるという人もいれば、変わらなかった人もいる。この仕組みによく似ていた。変わったという人しかラジオで取り上げられないところがそっくりだった。


 この教団では「水の味が変わった人は手を上げて」と教祖が聞いて、手を上げた人から教祖自ら選び、変わった味の様子を聞く手法をとっていた。水の味が変わらなかった人は永遠に教祖様と話せない。阻害感を味わう。新入会員は必死に自分自身に「味が変わったように自己暗示をかける」ようになっていく。自分もそうだった。今、思えばどちらもずいぶん上手いやりかだったように思う。