昨日、早乙女貢の歴史小説「おけい」読み終えた。この小説は1968年の明治新政府を樹立した薩摩藩・長州藩などの新政府軍と、旧幕府軍の会津藩との戦い戊辰戦争を時代背景とし、会津を舞台にした物語が展開する。


明治元年、雪深い会津で暮らす15歳の桶屋の娘おけいのもとに、江戸詰め藩士に嫁いだ姉のような存在の松乃が体調を崩したという知らせが届き、おけいは一人で江戸に向かう。

薩長軍が江戸に攻めて来るというので、江戸の会津藩邸は逃げ支度でごった返していたが、鳥羽伏見の戦いで夫が討死にした松乃を連れて会津に戻る。

会津軍劣勢の戊辰戦争は、籠城した藩重臣の妻子の自害や、少年たちで編成した白虎隊の全滅など壮絶な戦さとなり、おけいが想いを寄せていた会津藩士笹沼金吾もこの戦さで亡くなる。

おけいは戊辰戦争の火の海を生き延び、生き残った会津藩の武士たちと若松コロニーという農業移民団としてアメリカ・カリフォルニアへ渡る。

カリフォルニアでの農業開拓は困難を極め、2年で頓挫するという結果となり、おけいも19歳という若さで異国の地で亡くなった。そんなおけいの過酷で数奇な運命を辿る物語だが、これは小説の形をとっているが、実在した人物とその話である。

 

この小説は1974年に単行本が出版され、文庫本が1981年という古い本だが、10年くらい前から知っていた。と言うのは15年来の付き合いで、このブログでも何回か草津や八ッ場への旅行、南越谷での飲み会にSさんとして登場する飲み友達が、おけいの想い人笹沼金吾と同姓なのである。栃木県宇都宮の出身である彼が文庫本が出版された頃にこの小説を読んでおり、

そんな彼が2010年から会津下郷町が地域振興で作った農園付き貸別荘クラインガルテンを借りて滞在していた時に、下郷町のホームページで笹沼金吾の墓が大内宿の正法寺にあるのを見て、「おけい」で読んだ笹沼金吾が実在の人だった事を知る。これをきっかけに彼が「会津藩士(笹沼金吾)と(おけい)さんを訪ねて」と題した私本を作り、それを頂いて小説(おけい)を知った。

 

この私本には「会津藩藩士系譜」などの各種資料を、会津若松市図書館や下郷町図書館などで調べ、笹沼金吾の八代前まで遡った調査の内容が書かれているが、栃木県氏家笹沼家との繋がりまでの発見には至らなかったようだ。ただ大内宿の正法寺にある笹沼金吾のお墓は見つけ、墓参りはしたようだ。

 

私本で笹沼金吾と並んで「おけいさんを訪ねて」と題したのは、彼が以前勤務していた会社の知人女性が、ご主人の転勤でサクラメント(カリフォルニア州)に引越した。その連絡を受け(おけい)さんの事を伝えたら、その翌々日(2014年1月2日)にサクラメントに近いゴールデンヒルの(おけい)さんのお墓へ元旦にご主人と行ったとのメールがあった。

お墓はしっかり手入れされ、入口脇には石碑があり「WAKAMATSU TEA AND SILK  FARM COLONY」と書かれ、日本人移民が来て農場を作ったことが書いてある。1969年当時のカリフォルニア州知事だったレーガン大統領がこの地を歴史的史跡とした。

以上の情報が知人女性から、お墓を訪れ感慨深かったとの思いと、写真が送られてきた。

 

飲み友達の私本「会津藩士笹沼金吾とおけいさんを訪ねて」はなかなかの力作だが、小説「おけい」を読んで私本の作成を思いたつその発想と、調査に対する実行力に敬服する。

八ッ場のクラインガルテンに遊びに行った時に、地元の人と接する彼の姿を見て、明るく飾らない人柄が社交性を生んでいるのだろうと感心していた。


(私本からの写真)

 

 

 

 


10年くらい前に頂いた私本の元になった「おけい」/早乙女貢を手にする事がなかったが、最近になって読んだのは、同じ戊辰戦争の会津を舞台にしたテレビドラマ(八重の桜)をNHK BSの再放送で見ているのと、現在放送中のNHK朝ドラ(風薫る)に会津戦争で生き残った幼女山川さき、後の大山捨松が出てくることから、「おけい」/早乙女貢を思い出し読むことにした。


先月に4か月に一回の南越谷での定例飲み会で会った時に、この話をしたら(貸そうか)と言われたが、次回会う定例飲み会が12月なのと、図書館で借りるからと遠慮した。そして読み始めようと図書館の蔵書検索をしたら無かったのである!

市の図書館に無かったら、埼玉県内の図書館の蔵書を検索出来るようになっており、深谷市の図書館にあったが、それを取り寄せてもらうのも• •と思った。それからBookOffオンラインストアで検索したら在庫無しで、Amazonで探したら中古本があった。中古本とはいえ送料を入れると上下2冊で1300円となった。その金額は問題ではなかったが、届いた本を見ると紙が焼けたような茶色がかっており、文字も小さく読みづらかった。最終ページを開くと1981年9月25日第一刷とあり、定価350円だった!そんな本を電車・バスでの時間がたっぷりあるだろうと、蝶ケ岳登山に持って行ったら、あの大雨で(水ぶくれ)になってしまった。

 

そんな「おけい」を読んでいると、数奇な運命の展開とは別に興味深い箇所が幾つかあった。

一つはおけいの母の故郷である檜枝岐村に関するくだりがあり、平家落人伝説や標高1000mの秘境であること、檜枝岐歌舞伎や星、平野、橘の三つ姓しかないことが書かれている。檜枝岐村に関する興味は「おけい」を読む前からあり、2013年会津駒ヶ岳に登った時に訪れており、その時のブログが↓である。


『桧枝岐村から大内宿へ』会津駒ヶ岳から下山しキリンテ登山口に着いたのが13時。いつもは下山してからキャンプ場にテントを張り、一泊するというのが多かったが今回はバンガローにした。翌朝か…リンクameblo.jp


 「おけい」の話から枝葉の部分にずれてしまったが、10年くらい前に頂いた私本から端を発して、読み始めた「おけい」は、単に小説としてだけに留まらず、色々な関心を呼び起こしてくれた。

ネットで(若松コロニー)に関する検索をしていたら、(ディスカバー•ニッケイ)というサイトに当たった。4回シリーズとして(おけい)や(若松コロニー)について書かれている。

 

 

 そして飲み友達の私本の再読と、「おけい」を読むきっかけになったもう一つが、現在NHK BSで月曜日18:00〜再放送中の(八重の桜)だ。

戊辰戦争で会津藩が敗退し、綾瀬はるかが演じる主人公八重が、兄山本覚馬(西島秀俊)を母親、覚馬の娘と共に訪ねるところで終わっているが、明日の放送では山川さき(大山捨松)が初めて登場する。

新たに分かったのは、早乙女貢が八重と兄山本覚馬を主人公にして「明治の兄妹」を著しているのを知り、図書館に予約し昨日受け取ってきた。来週は大雨の日が続くらしいので、この本を読んで過ごそう。



檜枝岐村や大内宿に関する関心は今でも続いているが、なにせ檜枝岐村は秘境と言われるくらいなので、車以外のアクセスが悪い。大内宿から会津西街道を歩いて会津若松までは17km。

距離からすると歩けないこともないと思い、彼にメールで尋ねたら、会った時に詳細な資料を持ってきてくれた。先月会った時には(誘われても乗らないなぁ)と言われてしまった(苦笑)。

熊の出没情報もあるらしいので冬眠する12月から2月頃なら安全か?

群馬県境にある檜枝岐村については電車•バスでのアクセスをもう少し詳しく調べてみよう。