モンゴルだるま@モンゴル国で兼業遊牧4回目の越冬中です。
おととし(2011年)から家畜の世話をまかしていたローヤ・オラーナ親子の計画的な不正行為の数々が発覚し、結局、法的手段に訴えるしか紛争解決の方法はない、という判断にいたりました。

昨日、「家畜泥棒・詐欺撲滅対策協会」(NPOだか国家プロジェクトでできてる相談窓口)に電話で相談をしたり、地元のバグ長(モンゴルの行政は県=アイマグ、郡とか村って訳されてる=ソム、村とか集落とか訳されているソムの下の行政単位=バグ)に相談したりしながら、陳情書を準備しました。
本日1月15日にバグ長さんが私たちのベースキャンプが所属しているエルデネソムの関係機関の人たちと合わせてくれることになり、オラーナ親子と一緒に村役場で事情聴取をすることになりました。


新モンゴルまるかじり☆旅と暮らしの生情報☆-2011年オラーナくん
ちなみに2011年7月ナーダムのときのオラーナくん。うちの種オス馬(このときはチェリーボーイで若かった)を調教してテレルジのナーダムに出走させた時。この頃は、奥さんともラブラブで好青年だったんですよ。素朴な爽やか青年でしょ?最初から悪人だったとは思いたくない。まさか、28歳の奥さんを捨てて、44歳3人の子持ち人妻と浮気した挙句、奥さん追い出したり、家畜をうっぱらってトラック買っちゃうとかいう暴挙に出るとは想像もつきませんでしたよ。目を覚ませーって言いたいけど、モンゴル人の皆さんにいわせると「そういう話でもない」らしいっす。


委託遊牧民の不正問題は、結局、彼らが悔い改めることもなく開き直り、「種オスヤギはモートンだ」との主張を繰り返し、挙句の果てに「自分たちの土地から外国人に追い出されようとしてる」的な陳情を村にするというびっくり仰天な行動に出たとのこと。

「追い出されようとしている」という主張がどっから出てきたんだ?
今、オラーナ親子は本妻だったムーギーさんがお兄さんからもらいうけたゲルで暮らしています。ムーギーさんを「お前が家畜売却のこととかをガナーやモンゴルだるまにちくったせいで、俺たちの評判がガタ落ちになった」といじめた挙句追い出しちゃったのです。そして、浮気相手の女(44歳くらい3人の子持ち 主人は現在傷害罪で拘置所暮らし)と父親と一緒に本妻ムーギーさんのゲルで暮らしているのですが・・・

旦那や姑たちに追い出されたムーギーさんは実家のお父さんは肝臓病の闘病中、実のお母さんは亡くなっているという状況で、ひとりぼっち。唯一の財産であるゲルをの新しい生活立て直しのための費用にしたい、と私たちに「買い取ってくれ」と相談してきたのです。後任の委託遊牧民用ゲルも必要だから買い取ることにしたよとオラーナくんたちにはあらかじめ伝えたことをひね繰り返しているのです。

ムーギーさんは連日連夜、オラーナくんから「お前をみかけたらぶっ殺してやる」という脅しの電話や携帯メッセ攻撃を受けてもうぐったり状態。

私としては、ホントのことを言うと、こんな「愛憎問題がごちゃごちゃにこじれた呪われたゲルなんかいらないよ」というスタンスなのでどうでもいいのですが、オラーナ親子がうちの冬営地にいたら、またいつ馬を群ごと盗まれたり、種牛を売られたりしないとも限らないからとっとと出ていってほしい。
できれば、これまでの委託遊牧報酬は全部オラーナくんが使っちゃってるときいていたので、せめてお兄さんからもらいうけたゲルだけでも彼女の財産として守ってあげられたらいいな、ぐらいの気持ちだったけど、そのへんは家畜問題とは別の男女間のもつれによる財産分与ってことでぶっちゃけ関係ないといえば関係ない話。

「俺がオラーナたちを極寒の地に宿無しにして追い出す外道扱いされている」と電話で相談してきたガナーくんには、「あれこれゴチャゴチャ言われてめんどくさくなったら、ゲルの話は当事者に任せて私らは権利放棄してもかまわないよ。ムーギーさんにあげたお金は、彼女への退職金って思うことにすれば私は腹もたたないから」と伝えました。

バグ長さんの前で、ガナーくんのことを「外国人の犬」と罵倒したり、「ムーギーみたいな身持ちの悪い性悪女の言うことを誰がまともに受け取るもんか」とか「きさまら全員、「家畜泥棒呼ばわりしやがった貴様らを名誉毀損で訴えてやる」とか「チカに合わせろ」とか「ムーギー(追い出した本妻)にだって半分弁償責任があるはずだ」とかすごい威勢良かったらしい。


が・・・今のところ、オラーナ親子の主張は村のバグ長(いわゆる公的な町内会長さんみたいな人)や警察では通らず、私たちの主張が優勢。写真判定では「こりゃ、どう考えたって違うだろうよ。いくらなんでもこれを同じといっちゃうモンゴル人いたらお目にかかりたいよ」と。
村の警察官と法務担当者、家畜登録担当者に「オラーナ、いいかげんにしなさい。今なら、本当のヤギを返して、ほかの勝手に売却したり、食べた分については、弁償で済ませると言っているんだ。このままお前たちが、嘘を主張していると刑事事件にするしかなくなるぞ。詐欺に盗難・違法売買・恐喝(私に対しても電話で脅しをかけてきたから)などの罪がかさんでいるから、罰金だけじゃすまなくなる。ヤギの血液検査をすれば、子ヤギがいるからDNA鑑定ができてしまうんだぞ」と言われ、オラーナ親子、もうビビリまくっているんだそうです。そりゃそうだよね。
一昨日は「そんなに疑うなら血液鑑定でもなんでもしてみろよ」と自信満々だったけど、まさかほんとに私たちが法的手段に訴えて徹底抗戦するとは思ってなかったんだろうしね。
大事なモートンさえ帰ってくれば、あとはお金で解決でも私は全然かまわないんだけどなぁ。

刑事事件になると裁判にいたるまでの取り調べまで時間がかかるし、私たちも事情聴取を何度もうけることになるだろうし、せっかくウランバートルで就職できたムーギーさんが事情聴取に応じられるかって問題もあるし、とっても面倒になってしまいます。

それに、お金で解決ってことで合意した1月10日の段階では、私たちは、オラーナくんたちが無理のない範囲で払えるだろう額として、羊は1頭あたり100,000tgという格安で評価していたのですが、今日の市場相場だと、その3倍以上に跳ね上がっているのですから、法的措置となると、その負担はかなりのものになります。

問題は種オスヤギ「モートン」をちゃんと取り返すこと。これが最優先事項という感じなのです。
あとは種オス羊ツートンがいなくなってしまったことがとても残念。もう自分の娘に「のっかる」っていう状態になりつつあったから、そろそろ交代していただかなければ、と思ってフフホツを購入したけれど、ツートンはツートンで去勢したあともまだおっきくなってもらいたかった。

モンゴル人にとって、繁殖用の種オスってすっごい重要なんだなぁということが、村の関係機関の人たちの反応であらためて実感できました。

私はてっきり「たかがヤギじゃん。こんな写真じゃよくわからないよ。同じ毛色なんだし、あきらめたら」って地元のお役人さんたちも地元住民のオラーナくん親子側についちゃうんじゃないかって心配してたのですが、やっぱりモンゴル人にとっては、個体識別は一目瞭然で「違う」ってわかるし、「繁殖用の種オス」を勝手に処分したり、交換したりすることは重罪なんですね。

昨日1日がかりで陳情書作りをがんばった甲斐がありました。

まずは第一ラウンドはガナー(モンゴルだるま)側ポイント優勢ってところでしょうか。

まだまだ先は長いです。

ちなみに「モートンと偽モートン どこが違うか比べてみよう」という方は
こちらの記事をご笑覧ください。



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