モンゴルだるま@ウランバートルです。

昨日は、翻訳作業のための下調べや洗濯・掃除などで家に閉じこもっていたので、テレビでモンゴルのニュースもよく見てました。

その中で強烈だったのが、「オルチロン学校(小中高一貫校)の学食で赤痢菌が検出された」というもの。10月10日に給食を食べたあとにまず3名が具合が悪くなり、「すわ、食中毒か!」と国立感染症リサーチセンターに運び込まれて検査を受けたところ、明らかになり、感染源を調査した結果として発表されたもの。

ちなみに赤痢というのは、モンゴル語でツォスニィ ソールガ (Цусны суулга)といいます。

国立感染症リサーチセンターが学食のキッチンの検査で見つけたそうです。

現在、4名の子供が赤痢感染ということで治療中。(すでに退院して自宅療養中。法定伝染病でもあり、キャリアになってしまわないよう完全に病原菌が体内から排出、完治するまで1ヶ月間、医師の経過観察が必要)

給食のおばさんの手から赤痢菌等病原体が検出されたとのこと。

この調理スタッフからの感染ってよくある話。
実は、ワタクシも同様のケースで赤痢にかかったことがあります。

1995年に某ホテルで独りで金曜日の昼間に生キャベツサラダなるものを食して、この赤痢にかかりました。
金曜日の夜には既に「ちょっとおかしい」感じになり、下痢が止まらず、熱があがりまくり、口にしたものがそのまま20分もかからず、まったく消化吸収機関が働いていない感じで、固形物(トマトなんか歯型がそのままついてた)がビャンビャンと排出されるのです。

お尻に穴も使いっぱなしだから痛いわけですが、とにかく七転八倒。首から下の内臓器官、いりません!!っていう感じでほんとにねじ切られるような痛み。消化器官が一切機能していないので、食べたものは上からも嘔吐しちゃうし、上から下からそりゃもうピーヒゃラドンドンお祭りさわぎ。
異国でのこういう派手な症状に襲われるとそりゃ不安になるってもんです。

おまけに、そのホテル、やたらと故障が多くて、金曜日の夜に「Don't disturb」の札をドアの外にかけたものの、室内の電話が壊れて内線も外線も繋がらなくなり、おまけにホテルの人も札がかかってるから、ノックすらしてくれない・・・。

そんな孤独な状況で、何が起こっているのかわからないまま月曜日の朝までのたうちまわっていました。

で、それって無償援助ミッションで3ヶ月間くらい滞在する大きなプロジェクトだったのですが、コンサルチームの団長さんが、集合時間になっても現れない私にブチ切れて「部屋まで迎えに行って来い、何様のつもりだ!!」と部下の方をよこしてくださいました。

そこで初めて、室内電話が壊れていることがわかったのです。
また、私がはいずるようにドアにたどり着き、這い蹲りながら、ドアをあけたところ、そのコンサルさん、一瞬にして私の状況を理解してくれちゃったのです。

アフリカ諸国でのお仕事が多かったコンサルさんは百戦錬磨。いろんな伝染病に対しての予防策を持っておられます。

「とりあえず、この抗生物質、飲んでください。今日は仕事行かなくてもいいですよ。でも、病院でお医者さんに見てもらったほうがいい」


当時、できたばかりの韓国系総合病院「ユンセイ(友情)病院」に運び込まれ、そこには、日本語ができる韓国人のおじいさん先生がいらっしゃって、「舌見せろ」だ「ここは痛いか」だの触診・問診をしたあと、「まずは精密検査だね。」といわれ・・・女医さんにお尻から綿棒を突っ込まれました。

そして、結果はわりとすぐにわかり・・・

「赤痢菌検出」

通常だと法定伝染病の赤痢感染者なので、即、隔離措置なのですが、当時の感染症リサーチセンターの入院施設は、食糧難ゆえ「入院中の食事は、患者の関係者が運ぶ」というシステム。
おまけに、そこは感染症患者がうじゃうじゃうごめいている場所なのです。

即座に「すでに3日間隔離されてました。空気感染がないようですし、部屋の消毒をしていただいてホテルの自室でおとなしく療養することを希望します」とお願いしました。

外国人患者なんか受け入れしたことのない病院としても「喜んで、そうしましょう」ということに。

で抗生物質などのお薬を処方していただき、コンサルチームの皆様からはポカリスエットとか梅干など貴重な救援物資を差し入れしていただきました。

結局、若かったし、もともとの体力とか免疫力は悪くなかったおかげで、2日ほどで元気になっちゃいました。菌さえやっつけちゃえば、あとの回復はわりと早い病気です。
感染症リサーチセンターで、ふたたび恥辱にまみれた綿棒での腸内サンプル接種の検査も、きれいさっぱり赤痢菌もなくなり、無罪放免となりました。適切な処置でわりとすぐに治っちゃう病気ともいえましょう。

とはいえ、オルチロン校といえば、モンゴル随一の企業グループMCSが創設した、エリート養成学校。25mプールや完璧なジム機器を備えたフィットネス・ボディビルディング施設をもつ高級ヘルスクラブも隣接しているのです。

こんなエリートセレブ臭プンプンの施設でも赤痢菌という恐ろしい伝染病の病源となりうる、というところにモンゴルの学校環境の難しさというか危なさがあるんですね。

日本からいらっしゃる方の子女は、こういうモンゴルの私立学校ではなく、インターナショナルスクールとかアメリカンスクールのような授業料も高額だけど、校内は「ここはモンゴルじゃありません」といった感じの運営体制のところに通っています。

どこなら、安全、というのはよくわからないけれど、ある意味、正解なんだろうな、と。

モンゴルで赤痢はわりとポピュラーな伝染病。
ちなみに1990年代前半はほかに腸チフス、コレラなどもポピュラーでした。

20年弱がたった今でも、まだまだモンゴル人の衛生観念、公衆衛生に対する管理システムは脆弱なまま。

これは、施設うんぬんだけではなく、人の意識の問題ではないか、と思われます。

外から帰ったら、手洗いうがい。
食事をするときは、できれば自分がちゃんと洗浄管理できるマイ箸、マイカップを使った方が安心かも。(あんまり神経質にならなくてもいいとは思うけれど)

そうそう。インフルエンザの季節になりました。
モンゴルでもワクチン接種が始まっているそうですが、外国人が接種してもらえるのは、メンバーズになっている人限定でSOS(ソースって地元の人はいってる。英語圏やフランス語圏の医師団がいる海外旅行保険対応の病院)ぐらい。あとは韓国資本のソングド病院もやっているそうです。

といいつつ、日本に帰って接種するのが一番安心ですよ、とのこと。

私、インフルエンザのワクチンでアレルギーを起こしてしまうため、小学校3年生以来、ワクチンって打ってない。多分、日本脳炎と破傷風が最後のワクチンです。(実は種痘痕もついてない。バイオテロで天然痘ウィルスがばらまかれたら、真っ先に死ぬタイプ)

赤痢菌検出!といっても、今、モンゴルは政局混乱や経済混乱の兆しがあり、それほど大した扱いでもないストレートニュース。
暇でテレビをつけっぱなしの環境でなければキャッチできなかったニュースです。

ちなみにネットニュースでもモンゴル語だと、いろいろ出ています。

http://www.montsame.mn/index.php?com=news&id=2012101866
http://society.time.mn/content/19893.shtml
http://niigem.zaluu.com/index_med.php?id=3016 などなど

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