モンゴルだるま@モンゴル語通訳・エコツーリズム普及仕掛け人兼業遊牧民です。

弊社オフィスは、国会議事堂の北側という超最高の立地条件にあります。(宝の持ち腐れ状態なんだけど)

とはいえ、本日は14時から、早朝5時40分から6時過ぎまでの間になんと逮捕要員が500人以上(600人とか1000人とか350人とかいろんな説がありますが、まぁ、間をとりつつキリのよいところで)が動員され、武装も何もせず、テレビのインタビューを受けていた第三代大統領(モンゴル国元首という要職)であった50がらみのおじさんが、よってたかってぼこなぐり状態で拘束され、靴を履くことも、外出用に着替えることもできないまま、簀巻き状態で担ぎ出され、護送車に押し込まれた・・・というショッキングな動画を、このブログ記事でご紹介しました。

実は、エンフバヤル容疑者の顧問弁護士が知り合いだったりするので、これまでの経緯みたいなものもなんとなく総選挙出馬に絡む話をきいて、「なんかきな臭いこと起きそうだから、気をつけてね」なんて、世間話をしたばかり。

それ以外にも去年の末から年明けぐらいにかけても捜査当局とか国会内部とかいろんなところから、「春に暴動が起きる可能性がある」という噂が流れていました。

私自身は、モンゴル国民の理性を信じているし、民主化と公明正大にして機能的な法整備を行うには、20年は長いようで短く、まだまだモンゴル国は発展途上の国なんだ、ということを考慮しながら、見守っていくしかない、と思っています。

2008年7月1日に起きた抗議デモが暴走した挙句、6名の犠牲者を出した暴動、警察・機動隊の市民に向けての発砲事件の真相は、なんど裁判をやったところで闇の中で、誰一人責任をとった人がいない、というモヤモヤが残ったまま、あと3か月足らずで再び総選挙を迎える・・・

こういうタイミングで、野党になったとはいえ、かつての盟友である前大統領を、深夜からの包囲網、新聞には発表が載せられないタイミング(=5時40分に踏み込み、そして、実際に拘束・護送車に押し込むまでは約1時間がかかっていたようです)で逮捕。

顧問弁護士すら接見ができない状況、という以上に、そもそも「どこの拘置所に護送されたのか?」すらお昼ぐらいまでハッキリしていなかった、というところに捜査当局の対応がいかに厳しいというか不当なものであるか、が明らかであります。

逮捕時に、同席していた国会議員のCh.オラーン(元財務大臣)やテルビシダグワ、シンバヤルらも、暴行を受け、脳震盪を起こしたり、首を絞められたため、声がつぶされたり、頬骨の上を殴打されたらしく、ほっぺ腫れてる状態(たぶん、明日は青タンだ)という状態で、抗議の記者会見を行っていました。

エンフバヤル容疑者側からの報道ばかりだったのが、一転、午後は検察・汚職対策庁の記者会見となりました。

14時からの抗議デモに合わせての発表、という感じでした。

抗議デモ自体は、エンフバヤル容疑者が党首をしている人民革命党(Монгол Ардын Хувьсгалын Нам)の党員らが24時間以内の保釈を要求し、、一般シンパ市民以外に、人権保護団体や、緑の党(Ногоон нам)、イルゲニィゾリグノゴーン党(市民の勇気(意志と訳されることも)党と緑の党の合併政党Иргэний Зориг Ногоон Нам)、モンゴル民族民主党(Монгол Үндэсний Ардчлалын Нам)などが、情報公開と基本的人権・尊厳の尊重・モンゴル国法令順守を求めての、シュプレヒコールの声を合わせる抗議集会となった模様。

そろそろほとぼりもさめたであろう16時くらいに、明日14日に開催する日帰り乗馬ツアーで使う備品の安全確認や、ゲル建て体験で必要なものが何かの確認、準備などがあるので、会社に出勤してみました。

ちょうど広場での集会が終わり、その後、国会議事堂に入る東西の門近辺でのシュプレヒコールも一通り済んで、時計回りに国会議事堂周辺をぐるぐる行進する、というそろそろエンディング?というところに居合わせてしまいました。

新モンゴルまるかじり☆旅と暮らしの生情報☆-交差点のデモ


私自身はとってもノンポリ、できる限りモンゴル国の政治関係には、中立・無関係な立場でいたいタイプなのに、エコツーリズム関連の活動などで一緒になることが多い、緑の党のおじさん達とか、貧困対策関係とかでつながったことがある人権団体のおばさんとか、まぁ、いろんな知り合いがウロウロしていて焦りました。

オフィスに向かう裏口に行ってみたら、今度はやっぱり知り合いの治安部隊とか普通のパトロール警官が手持ち無沙汰にタバコを吸ってダベリングしているところに遭遇。

無関係でいたいのに・・・新聞報道とかネットニュース・テレビを頼りに情報仕入れるか、ぐらいで気楽な気持ちでいたのに、皆、それぞれにいろんなことを教えてくれるのです。

とりあえず、平日のデモということもあって、いつもの抗議デモに比べると、若干高齢者中心気味。
そんなに興奮しても、暴徒化しそうな感じはありませんでしたが・・・

たまった新聞をとりに郵便局にいったところで、ついに遭遇。

国会議事堂と自然史博物館の間にある交差点をデモ隊が占拠。
ただでさえ渋滞しているところに、デモ隊行進のおじいちゃん、おばあちゃんがど真ん中に侵入し、牛の大群のように動かなくなっちゃいました。

「座り込もうぜ!座り込もうぜ!!」とおじいさんがあおるわけです。

でも、おばあちゃんたちはさすがに車の往来がある交差点のど真ん中で座り込みなんて、アナーキーなことができるわけもなく、アワアワと立ちすくむのみ。
新モンゴルまるかじり☆旅と暮らしの生情報☆-交差点に立ちすくむばあちゃんデモ隊



交通警察も弱々しい、「田舎から駆けつけました」といった様態のデール姿(民族服)のおばあさんを力づくで排除するわけにもいかず、警官も交差点のど真ん中で集合。
新モンゴルまるかじり☆旅と暮らしの生情報☆-警察も立ちすくむ

(ノックダウン寸前のピッチャーに群がる野手一同、みたいな?)

シビリアンコントロールって、こういうときにも使っていいのかな?

ちなみに、午後になって、汚職対策庁が発表したエンフバヤル容疑者の容疑内容は、複数の収賄・マネーロンダリングのようであります。その複数の中には、日本の信仰宗教・阿含宗の「火の祭典(阿含の星祭)」に参加した際に受け取った巨額のわいろも含まれています。

阿含宗は、1990年代からモンゴル国内に入り込んでいて、ガンダン寺の高僧たちとの関係も深く、ガンダン寺に建立されたジャナライスク像(屋内にある立ち姿の仏像としては世界一の大きさなんだそうです。)の建造費を寄付したり、開眼式にも参加し、祈祷をしたりしています。
まぁ、モンゴル国の政財界と仏教の高僧との癒着も相当なものなので、(おかげでキリスト教徒はもう風当りが強い、強い)阿含宗が、ガンダン寺との関係を通じて、大統領とか政府高官と懇意にし、布教活動そのほかで便宜を図ってもらっている、ってのも「あると思います」(エロ詩吟の木村さんぽく)。

にしても、別にテロ集団のリーダーってわけでもなければ、カルト集団の宗主で信者をあおって集団自殺があるっていうわけでもない、しかも丸腰のおっさんに対して、と考えてもやっぱり、あの逮捕劇はとんでもない茶番というか、惨劇でありました。

とりあえず、逮捕部隊にボコ殴りにされたり、踏みつけられたり、首をしめられたりした国会議員が死んだりしなくてよかったですね。

逮捕劇がどんだけひどかった、といっても、だからといって、「容疑者が全くシロ」ってことはないと思います。「推定無罪」の原則は尊重すべきだと思いますし、外国人な私にとっては、エンフバヤル容疑者が「白」でも「黒」でも別に関係ない。

誰に対しても公平に執行される、という最低限の民主主義国家の三権分立の原則にのっとった正当なプロセスで、透明性を持った正当な司法手続きが行われることを期待します。

汚職対策庁の発表によると、収賄・マネーロンダリング・横領などの罪状はあっても、7月1日暴動に関わる話が出ていなかったのが、また不思議であります。

むしろ、そっちの責任追及が先だろうよ!と。

ともかく、民主主義の法治国家として恥ずかしくない落とし前をつけていただきたいものです。

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