モンゴルだるま@モンゴル語通訳・エコツーリズム普及仕掛け人兼業遊牧民です。

N.エンフバヤル前大統領が自宅で4月12日夜20時の「汚職対策庁」捜査官に「強制捜査」の旨を拳銃を突きつけられながら、勧告された時の状況について、TV9の自宅インタビューで受けている、という報道映像が出ていました。

しかし「汚職対策庁」の捜査官を名乗るものの、捜査令状もなければ、身分証明書の提示もせず、いきなり拳銃を突きつけてきたという状況は違法捜査といわざるを得ない。ほんまかいな?

EAGLEテレビで、前大統領の自宅周辺を警察官が取り囲んでいる状況を中継している、という画面を見ながら、TV9のインタビューを、自宅の中で受ける・・・というシュールさ。

容疑としては、なんなのでしょう?

1:2008年7月1日におきた「市民デモ⇒暴動化」に対して、機動隊が市民に発砲、市民の中に死亡者が出たこと?(機動隊への発砲命令が誰からどのような根拠で出されたか、未だに不明)

2:暴動に対して3日間の「非常事態宣言」で市内を武装警官・武装兵士が巡回パトロール、国会議事堂・モンゴル銀行・発電所等主要機関を装甲車で警護したこと?

3:暴動犯行分子といわれた市民の大量逮捕?

4:総選挙の不正?

5:オユートルゴイ・タワントルゴイに対する何かしらの収賄容疑?
(エンフバヤル前大統領は、主要石炭炭鉱の利権・中国への石炭輸出等について、相当の利権を保有しているとの噂)

別に語学力が不足している、というよりはニュースソース自体が不足しています。

インタビュー中に踏み込んできた「当局」は顔を隠し、逮捕状も捜査令状も身分証明書も提示することなく、報道陣をなぎ倒しながらつっこんできました。

武装警官がシールドをしながら入ってきました。

報道陣ももみ合いの中、撮影を禁止され、何がおきたかわからなくなりました。

外にはなんと600人余りの警察・兵士・汚職対策庁捜査官・機動隊などが取り囲んでいました。
空身の元国家元首という人に対して、どんだけ大掛かりな逮捕?

オウム真理教のラスボス・松本智津夫死刑囚の逮捕劇の時は、毒ガス散布や爆弾による自殺・攻撃・武装信者の攻撃などの危険があったから、機動隊出動もわかったのですが・・・なんだかわかりません。

とにかく、捜査令状も何もなく、まるで「浅間山荘」に立てこもった学生運動の過激派分子を逮捕するときのような(といっても私は映画でしか見たことないんだけど)大騒ぎでした。

民主主義国家でこんな逮捕劇が起きたということがかなりショックです。

逮捕直前までのインタビューでエンフバヤル元大統領は「私は何も心配していない。怖がってもいない。しかし、令状も身分証明書の提示もなしに、どこの誰とも確認が取れない人間に対して「逮捕」という名目で拘束され、どこに連れて行かれるのかもわからない、という状況になるわけにはいかない。もうじき、私は逮捕されることになるだろう。責任があるというならば、司法の場で闘う。しかし、私以外にも、2008年7月1日の事件については、多くの人間がその責任を厳しく追及されるべきだろう」と話していました。

真相が明らかになる日がくるのでしょうか?
2008年7月1日は、モンゴル国の歴史を汚す、本当に恐ろしい事件でした。

何が起きたのか?あのときもよくわからないまま、デモ行進が暴動へとエスカレートし、気がついたときには、革命党本部ビルは焼け落ち、文化宮殿や子供図書館、国立ギャラリーなどにも暴徒が押し寄せ、貴重な国宝や芸術品が壊され、盗まれ、めちゃめちゃにされました。

同じように、今回もどこがどういう権力を行使して、こんな大騒ぎにしたのか?

このような状況が選挙前におきた、ということは残念ながら、まだまだモンゴルの民主化は発展途上中であり、何かしらの「裏の権力」支配が行使されている、という気がしてしまいます。

とはいえ、私はモンゴル国の独立と今の発展は、民主化の賜物であると信じ、大国に囲まれながら、100年の独立を維持しすぎているこのモンゴル国とモンゴルの人たちを尊敬し、愛しています。

あわてず、冷静に状況を見つめながら、この国と共に歩んでいきたいです。

どうか、モンゴルの人たちも冷静に、誰かを糾弾したり、誰かを弾圧したりすることなく、理性的に対応してほしいです。

もう二度と、モンゴル人同士のいさかいで血が流れたり、命を落としたり、怪我をしたりしてほしくないです。

にほんブログ村 海外生活ブログ モンゴル情報へ
にほんブログ村