モンゴルだるま@モンゴルです。
モンゴル語通訳・ODAや学術調査のプロジェクトコーディネーター兼業遊牧民です。
モンゴル各地の遊牧民有志と一緒にエコツアーを作り続けて10年が立ちました。
今年、日本のお茶の間に流れたという東京エレクトロンのコマーシャル映像をYouTubeで発見。
日本の方々は、もしかしたら、CMの中だけの架空のお話って思っていらっしゃるかもしれません。
一部の「ススンデル」遊牧民や地方居住者の間では既に現実になってるんですよ。
実際、モンゴル国内の携帯電話の普及率はすごいことになってます。
既に、MobiCom、SkyTel、Unitel、G-mobile、TelecomMongoliaなど複数の携帯電話会社がしのぎを削り、人里があるところはほぼ全域、携帯圏内に。
360ほどあるソムセンター(行政単位 村とか郡みたいなもの。英語だとSoumとかって表記されているけれど、USAのど田舎暮らしだった私の感覚からするとCounty)の定住地域は全ていずれかの携帯電話がカバーしています。
ソムより上の21あるアイマグ(県みたいな行政単位)の中心部は全てインターネット回線が繋がっています。
鉄道沿線は光ケーブルになってたり、ウランバートル市内はWiFi、光ケーブル、ADSL、LAN回線などがインターネットが張り巡らされているのです。市内の路線バスやトロリーバスにはWiFi付きってのも走ってますからねー。
スマホもブラックベリー、サムソンのギャラクシー、iPhone、アンドロイド搭載型などバラエティーに富んでます。
私なんかより、モンゴルの皆さん、断然進んでます。
首都・ウランバートルや、鉄鋼の町ダルハン、銅鉱山の町エルデネットなど3大都市それぞれに火力発電所があり、集中暖房配管が繋がっていないゲル地区といわれる集落では冬は石炭に頼っています。
首都・ウランバートルは、大気汚染のひどい首都世界No.1という不名誉を獲得しております。
テレビでは天気予報、為替相場情報と共に、都市のモニタリングしている地域ごとの大気汚染度が示されますが、ほぼ全域が、「非常に悪い」か「危険」のレベルに達しています。
日没後、6時過ぎぐらいからは、ゲル地区での暖房と食事の用意が始まるため、ガンガンに石炭の煙が吐き出されます。8時過ぎには目がしょぼしょぼ、南にそびえているはずのボグド山が見えなくなるほどのスモッグに覆われるのです。
そうはいっても、遊牧生活だけで安定的な現金収入を得るのは難しく、また最近は「学歴社会」となっているとか、衛星パラボラアンテナでテレビが見られるようになったため、娯楽にあふれる都会にあこがれ、職を求める若者たちがウランバートルに流入するケースはあとを絶ちません。
このCMに出てくるようにかっこいい遊牧民青年も、職を求めてウランバートルに出ちゃったり、韓国あたりに出稼ぎにいっちゃったりするのです。
遠距離恋愛・出稼ぎ夫の単身赴任などでの恋や愛を繋ぐ頼りは、インターネット。
回線は激遅いのですが、一応、3.5Gまでってことで、スマホなら田舎でもインターネットできる・・・らしい。(私は未だ、スマホの本領発揮が出来てないんだけど)
SMSを駆使している姿は、20年ちょっと前の田舎の高校生が、プッシュホン公衆電話の光速連打でポケベルにメッセージを打ってたときみたい。
家庭用でも使えるインターネット用パラボラアンテナの設置会社なども出来てきてて、地方の人たちのインターネットインフラも導入はかなり容易になってきています。
私が兼業遊牧民を目指すのも、インターネット普及を期待してのこと。
もうちょっとインターネット回線が安定して、通信教育制度も普及すれば、遊牧民の都会流入も抑止できるんじゃないかなぁ、と思っております。
そして、何よりも現金収入が安定的に確保さえできれば、田舎での生活のほうがよっぽど快適です。
畜産品である、皮革・毛・肉という原材料の売上は、季節的に限定されるし、相場はいつも低いのです。人口の6割が都市部に集中しているため、「消費者」というと「都会定住者」が想定されてしまい、消費者にとって、「買い求めやすい価格」に相場が支配されやすい。
そして、「国内産業保護」といえば、「軽工業」の保護をさします。国内メーカーが原材料を調達しやすいように、やっぱり相場は頭うちにされちゃう。
現金で買いつけにくる中国の業者などに原材料を買い取られてしまい、いつも国内メーカーの原材料は品薄気味。
中国からの買い付けに対抗できる有力な、国内メーカーがないことや常に現金が足りない遊牧民の懐事情がモンゴルの第一次・第二次産業を圧迫しています。
本来、遊牧生活というのは、厳しい自然と共存共栄・自給自足ができるライフスタイルだった・・・はず。
でも、私が家畜を預けている委託遊牧民夫婦も、彼らのリクエストに応じて、委託飼育料を支払い、冬の餌や家畜の世話に必要な材料・資金は提供しているにも関わらず、冬もまだ始まったばかり、というのに、既に「お金が足りなーい」って状態になっているのです。
とはいえ、委託遊牧民夫婦は去年の冬は、ウランバートルで越冬していたのですが、「草原の暮らしのほうがよっぽどいい」といいます。その言葉は私にとっては、ちょっとした救いです。
草原の暮らしは「欲しい物」は手に入らないけれど、「生活に必要なもの=食べ物」はすぐ手に入る。
そして空気は綺麗だし、燃料・水はタダで手に入る。
うちは太陽光電パネルとバッテリー充電器を導入しているので、夜の灯りや携帯電話の充電、PC作業は可能なのです。
私にとっては、あとはスマホでネットができるようにさえなれば、いうことない!
遊牧文化はモンゴル民族の心の核であり誇りだ、と私は思うのです。
都会の便利さの取捨選択をしながら、草原に踏みとどまれるモチベーションとしては、情報格差がなくなり、現金収入源の安定化が鍵。
これらを解決してくれるのがインターネットであり、エコツアーだと信じて10年間やってきました。
あとは、Mスマホがネットに繋げられれば、草原IT化の実践という次のステップに上がれるんだけどなぁ・・・
WiFiも電話回線でのネットも繋がるのに、そっから先のGoogleアカウント登録でいつもネット接続が安定しません、って切れちゃうのです。
早く、CMのカップルみたいにインターネットを草原で使いこなせるようになりたいです。

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モンゴル語通訳・ODAや学術調査のプロジェクトコーディネーター兼業遊牧民です。
モンゴル各地の遊牧民有志と一緒にエコツアーを作り続けて10年が立ちました。
今年、日本のお茶の間に流れたという東京エレクトロンのコマーシャル映像をYouTubeで発見。
日本の方々は、もしかしたら、CMの中だけの架空のお話って思っていらっしゃるかもしれません。
一部の「ススンデル」遊牧民や地方居住者の間では既に現実になってるんですよ。
実際、モンゴル国内の携帯電話の普及率はすごいことになってます。
既に、MobiCom、SkyTel、Unitel、G-mobile、TelecomMongoliaなど複数の携帯電話会社がしのぎを削り、人里があるところはほぼ全域、携帯圏内に。
360ほどあるソムセンター(行政単位 村とか郡みたいなもの。英語だとSoumとかって表記されているけれど、USAのど田舎暮らしだった私の感覚からするとCounty)の定住地域は全ていずれかの携帯電話がカバーしています。
ソムより上の21あるアイマグ(県みたいな行政単位)の中心部は全てインターネット回線が繋がっています。
鉄道沿線は光ケーブルになってたり、ウランバートル市内はWiFi、光ケーブル、ADSL、LAN回線などがインターネットが張り巡らされているのです。市内の路線バスやトロリーバスにはWiFi付きってのも走ってますからねー。
スマホもブラックベリー、サムソンのギャラクシー、iPhone、アンドロイド搭載型などバラエティーに富んでます。
私なんかより、モンゴルの皆さん、断然進んでます。
首都・ウランバートルや、鉄鋼の町ダルハン、銅鉱山の町エルデネットなど3大都市それぞれに火力発電所があり、集中暖房配管が繋がっていないゲル地区といわれる集落では冬は石炭に頼っています。
首都・ウランバートルは、大気汚染のひどい首都世界No.1という不名誉を獲得しております。
テレビでは天気予報、為替相場情報と共に、都市のモニタリングしている地域ごとの大気汚染度が示されますが、ほぼ全域が、「非常に悪い」か「危険」のレベルに達しています。
日没後、6時過ぎぐらいからは、ゲル地区での暖房と食事の用意が始まるため、ガンガンに石炭の煙が吐き出されます。8時過ぎには目がしょぼしょぼ、南にそびえているはずのボグド山が見えなくなるほどのスモッグに覆われるのです。
そうはいっても、遊牧生活だけで安定的な現金収入を得るのは難しく、また最近は「学歴社会」となっているとか、衛星パラボラアンテナでテレビが見られるようになったため、娯楽にあふれる都会にあこがれ、職を求める若者たちがウランバートルに流入するケースはあとを絶ちません。
このCMに出てくるようにかっこいい遊牧民青年も、職を求めてウランバートルに出ちゃったり、韓国あたりに出稼ぎにいっちゃったりするのです。
遠距離恋愛・出稼ぎ夫の単身赴任などでの恋や愛を繋ぐ頼りは、インターネット。
回線は激遅いのですが、一応、3.5Gまでってことで、スマホなら田舎でもインターネットできる・・・らしい。(私は未だ、スマホの本領発揮が出来てないんだけど)
SMSを駆使している姿は、20年ちょっと前の田舎の高校生が、プッシュホン公衆電話の光速連打でポケベルにメッセージを打ってたときみたい。
家庭用でも使えるインターネット用パラボラアンテナの設置会社なども出来てきてて、地方の人たちのインターネットインフラも導入はかなり容易になってきています。
私が兼業遊牧民を目指すのも、インターネット普及を期待してのこと。
もうちょっとインターネット回線が安定して、通信教育制度も普及すれば、遊牧民の都会流入も抑止できるんじゃないかなぁ、と思っております。
そして、何よりも現金収入が安定的に確保さえできれば、田舎での生活のほうがよっぽど快適です。
畜産品である、皮革・毛・肉という原材料の売上は、季節的に限定されるし、相場はいつも低いのです。人口の6割が都市部に集中しているため、「消費者」というと「都会定住者」が想定されてしまい、消費者にとって、「買い求めやすい価格」に相場が支配されやすい。
そして、「国内産業保護」といえば、「軽工業」の保護をさします。国内メーカーが原材料を調達しやすいように、やっぱり相場は頭うちにされちゃう。
現金で買いつけにくる中国の業者などに原材料を買い取られてしまい、いつも国内メーカーの原材料は品薄気味。
中国からの買い付けに対抗できる有力な、国内メーカーがないことや常に現金が足りない遊牧民の懐事情がモンゴルの第一次・第二次産業を圧迫しています。
本来、遊牧生活というのは、厳しい自然と共存共栄・自給自足ができるライフスタイルだった・・・はず。
でも、私が家畜を預けている委託遊牧民夫婦も、彼らのリクエストに応じて、委託飼育料を支払い、冬の餌や家畜の世話に必要な材料・資金は提供しているにも関わらず、冬もまだ始まったばかり、というのに、既に「お金が足りなーい」って状態になっているのです。
とはいえ、委託遊牧民夫婦は去年の冬は、ウランバートルで越冬していたのですが、「草原の暮らしのほうがよっぽどいい」といいます。その言葉は私にとっては、ちょっとした救いです。
草原の暮らしは「欲しい物」は手に入らないけれど、「生活に必要なもの=食べ物」はすぐ手に入る。
そして空気は綺麗だし、燃料・水はタダで手に入る。
うちは太陽光電パネルとバッテリー充電器を導入しているので、夜の灯りや携帯電話の充電、PC作業は可能なのです。
私にとっては、あとはスマホでネットができるようにさえなれば、いうことない!
遊牧文化はモンゴル民族の心の核であり誇りだ、と私は思うのです。
都会の便利さの取捨選択をしながら、草原に踏みとどまれるモチベーションとしては、情報格差がなくなり、現金収入源の安定化が鍵。
これらを解決してくれるのがインターネットであり、エコツアーだと信じて10年間やってきました。
あとは、Mスマホがネットに繋げられれば、草原IT化の実践という次のステップに上がれるんだけどなぁ・・・
WiFiも電話回線でのネットも繋がるのに、そっから先のGoogleアカウント登録でいつもネット接続が安定しません、って切れちゃうのです。
早く、CMのカップルみたいにインターネットを草原で使いこなせるようになりたいです。

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