転職サービスDに掲載された求人に対する応募。
企業HPに掲載された求人に対する直接の応募。
応募に際して必要な書類(履歴書、職務経歴書)を作成した私は、基本的にはその二つの方法で応募していった。一度作ったそれらの書類は応募する企業ごとに微修正は加えてはいたのだけど、基本的には同じものを使いまわした。
だけど、それらの企業への中途採用の応募に対して、書類選考すら通ることはほとんどなかった。
それまでの私は企業Aというメーカーに勤めていて、同じ「メーカー」という括りで応募していたのだけど、企業Aと業種が違うメーカーに応募した際は、ほぼ100%の確率で書類選考で落ちた。
もしかしたら、履歴書や職務経歴書の作り方が悪かったのかもしれない。
ただ、その時の私は、その理由を私自身の年齢だと考えていた。
その時点で私は39歳になっていて、同じ「メーカー」という括りだとしても全く違う業種を一から始めるには歳をとり過ぎていた。もっと若い時点で転職活動をしていればまだ別の展開もあったのかもしれないけど、そればかりはどうしようもなかった。
「やっぱり、39歳での転職は簡単ではないのかもしれない」
そんな思いに駆られながらも、相変わらず、企業Aでの仕事では苦しい毎日が続いていた。
どうすれば目の前の暗闇を抜けられるのか、それが本当に見通すことができなかった。日々のストレス、長期間における長時間勤務。その影響でそのときの私は冷静な思考すらできなくなっていたのだと思う。
私は、
「この苦しみから逃れるためには、この会社から出るしかないんだ」
そこの一点にしか希望を見出すことができなくなっていた。
私は転職についての戦略を少し変えることにした。
それまでの私は、それまで仕事として関わってきた製品群とは全く別の製品群を作っているメーカーに応募していた。
「一般家庭で使われるコンシューマー製品を作りたい」
という思いと同時に、それまで企業Aで製品開発で携わってきた製品とは全く別種の製品の開発をしてみたいという思いも心のどこかにはあった。だけど、それでは「私の年齢」という壁をどうしても越えられなかった。
それならば、「私の年齢」を逆に武器にできるような方法に変える必要があるのではないのか。
そのように考えたのだ。
それまで私が勤めていた企業A。
その企業Aと同じ製品群の製品を製造販売している、同業他社である企業Bと企業C。
企業Aは企業向け製品を主力にしていたのだけど、企業Bと企業Cはコンシューマー製品も主力の一つとして保有していた。
私は、企業Bと企業Cに転職候補の範囲を広げることにした。
それであれば「私の年齢」という点も、逆に「その製品群を開発してきた経験」としてプラスのものに転じられると思った。
その時の私は、何よりも「企業Aから離脱すること」、そのことが最優先だった。
もうなりふりを構ってはいられなかった。