恐れていた4月1日の入社式は、私の願いとは裏腹にすぐに目の前に訪れた。

 

スーツを着て、その一年前に内定式をした体育館に私たち新入社員は集合した。

そこでこれから執り行われる入社式についての説明、そしてそれから数カ月にわたって行われる新人研修についての説明を受ける。私は目の前を止まることなく流れていく現実にただ翻弄されるように、その説明を聞いていた。

 

 

 

これから先、終わりの見えない毎日を生きなければならないのか。

 

そんな思いが自分の中でうごめていた。

小学校は6年間我慢していればいずれ卒業にたどり着ける。中学校は3年、高校も3年。そして大学は4年。いずれも期間が決まっていて、その期間内どんなに苦しくても、息をひそめて頭の上を吹き荒れている暴風雨をじっと耐え忍んでいれば、いずれその暴風雨は終わってくれていた。

 

だけど、これからは終わりは無かった。

終わりがあるとしたら定年という終わりか、転職や退職というように自分で終わりを作る必要があった。ただ、定年までとなるとそれから40年近くこの場所で働きつづけなければならないことになる。その40年という長さに、私は心の底から絶望した。

 

 

 

 

入社式は、その体育館から少し歩いたところにある事業所内のホールで執り行われた。

いつの間にか選ばれていた新入社員代表が舞台上に上がり、そしてこれからの意気込みを語っていく。

 

「これから私たちは・・・・」

 

新入社員代表の言葉を聞きながら、私はどこか別の世界での出来事のように舞台上の同期を見つめていたような気がする。