4月1日       <ペイオフ解禁>
今日からペイオフ解禁です。しかしペイオフ解禁の本質とは一体なんでしょう?かつて土地バブル華やかし頃、銀行は積極的に土地を担保にとっては融資をしました。或いは地揚げによって土地はどんどん買われていきました。あの山この畑に億単位の値段が付き、融資もしくは売却によって得られたお金の多くは、そのまま銀行に「預金」として預けられた訳です。バブルが弾け、土地の値段は下がり、銀行の資産は目減りしましたが、預金の元本額は一切目減りしませんでした。資産側と負債側が平衡を保ちながら目減りすれば「不良債権」問題は起きません。片一方だけが目減りしたので、バランスシートがバランスしなくなった。これが不良債権問題であり、その解法が預金の元本を資産の減り方に応じて払い戻そうという、いわゆる「ペイオフ」の解禁です。家計がバブル資産を高値で売り抜けた例は、世界史的にも日本以外に例を見ません。ある意味でペイオフの解禁は、税金の投入による例外的な解法を原理・原則に戻すことであり、即ち銀行に対する債権者(預金者)のリスクを納税者に負わせないでそのまま通常の会社のように債権者に負わせることですから、必然の流れだと考えています。


4月2日       <わんこメール>
忙しくなってくると、なかなかEメールのチェックが出来ません。返事は書かなくとも、内容だけは目を通そうと努力しますが、それもままならないことがあります。確かモンテーニュだったと思いますが、手紙の返事を書かないのは構わないが封を切らないのは罪である、特に判断を下すべき立場にある人の場合は、と書いています。私も罪人に一歩手前でしょうか。メールは手紙に較べて簡単に出せるので、ドンドン受ける数が増えていきます。まるで椀子そばみたいなので私はわんこメールと呼んでいますが、「わんこメール管理ソフト」みたいのが出来たら喜んで買うのですが・・・。


4月3日       <ギャグ>
ZAKZAKというサイトを御存知でしょうか?夕刊フジのホームページですが、新聞サイトとしては老舗で、根強いファンの多い人気サイトです。私もほぼ毎日チェックします。今日のZAKZAKを見ていたら、『吉本(興業)が辻元を救う-常務がラブコール ムネオ似の坂田利夫とコンビ結成か!?』という記事が載っていました。いやー、面白い。フジ・サンケイ・グループというのはどこか他社と違っていて、それはいいことだなと思うことがしばしばあります。全ての地上波テレビが同じ特番をしている時に、フジだけはひょうきん族を流していたこともあります。みんなと同じことが重要なこともありますが、どこが違うことも大切です。批判的な心も大切ですが、やはりいつも心にはギャグを持っていたいですね。


4月4日     <4%預金!>
今日は4月4日。4に因んで4%という、今時お目に掛かれない超高利回り預金の話をしましょう。誰がそんなに高い金利の預金を提供しているかというと、これがなんと東京都の納税者です。そしてその預金をしているのは、どういう訳か通常は預金を提供している側である筈の銀行です。カラクリはこういうことです。都が一旦銀行から徴収した外形標準課税(銀行税)については、東京地裁で都が敗訴したことは以前につぶやきにも書きました。その額725億円。都は供託金を置かない方針なので、銀行は仮執行を請求することによりこの725億円を手にすることが出来ます。しかし敢えて銀行は仮執行を申請せず、ダンマリを決め込んでいます。いずれ上級審で最終判決が確定して銀行が勝訴すれば、今からそれまでの期間、都は加算金として年率約4%を追加して払わなければいけないそうです。支払いの源は、勿論都税です。つまり都の納税者が、銀行に対して4%の預金金利を払うようなものなのです。メンツとか、いろいろあるのでしょうが、ここはひとまず上級審の結果が出るまでは徴収した税金を返還した方が都民の経済的にはいい筈です。取りっぱぐれる心配などは言うに及びません。何故なら都は銀行に1兆円以上の預金をしているので、取りっぱぐれのリスクはそもそもそんな金額ではないからです。


4月5日     <マネックス3歳>
今日でマネックスは満3歳になりました。3年というと長いようで案外短い時間です。まだ新社会人だった頃、外資系証券会社という業界に何年居るだろうかと考えたことがあります。その時は、「学校と同じ位の長さは続けてみよう。学校なんて、勉強なんて、と思っても、まずしっかりやってみないと評価も出来ないから、6・3・3・4、16年間はしっかりその仕事をしてから考えよう。」と、そう思いました。あぁ、今年で小学校卒業だ、ようやく高校だ、などと思いながら新年度を迎えていたのですが、残念ながら高校卒業目前で中退してしまいました。そして新しくマネックスが始まった訳です。マネックスはようやく小学校4年生。まだまだこれからです。小学校・中学校・高校・大学と進んでいくように、マネックスもまだまだこれから成長していきたいと思います。
マネックス誕生当初の懐かしのHPはこちら:
http://www2.monex.co.jp/19990405/index.html


4月8日        <香具師>
タイトルは「やし」と読みます。テキ屋さんのことです。異常気象という程ではありませんが、例年より遙かに早い今年の桜の開花は、少なからずテキ屋さんの生活に影響を与えたのではないかと思っています。少なくとも東京では軒並み「桜祭り」の類がキャンセルされました。詳しくは知りませんが、テキ屋さんがお店を開くのは前々から自治体・警察や仲間内でも綿密に調整され計画されていることでしょう。そして恐らくかなり広い範囲にわたって開花と共に移動していくのではないでしょうか。今年の記録破りの開花は、大勢の人の花見の計画だけでなく、テキ屋さんの計画も台無しにしたのではないでしょうか。そして私はいろいろな味覚を逃してしまいました。花より団子。屋台の食べ物には目がないのです。


4月9日         <世論調査>
マスコミによる世論調査の方法には落とし穴があり、その結果は用心深く見る必要があるとつぶやいたことがありますが(2001年7月18日)、今朝はさすがに強く問題を感じました。NHKの朝のニュース、7時20分ぐらいに「NHKの世論調査」の結果として小泉内閣の支持率などを3分間ほど説明していました。調査の方法は電話による調査で、かけた対象は1800人、有効回答者数は(確か)1089人でした。有効回答者率は約60%ですから、最初の1800人の抽出が仮にある程度分散していても、実際の回答者のセグメントは偏っている可能性があります。そもそもたったの1000人程度の回答を以て、「NHKの世論調査結果」として内閣の支持率を論じるのは如何なものでしょうか?当社でもウェブ上でアンケート調査をすれば数日で数千件のサンプルを採れます。しかしそれを以て世論調査の結果として国の政治を語るのは憚れます。特にNHKの場合は影響力も大きいでしょうし、一般には「正確なもの」としての推定が働きやすいでしょう。悪意があったとは思いませんが、情報発信の重要な担い手、ひいては世論形成の重要な担い手の行動として、どうも釈然としないものを感じました。
(バックナンバーは、http://www.monex.co.jp/free/monexmail/backno/backno.html


4月10日       <たんぽぽ>
タンポポ、tannpopo、蒲公英。これらは勿論全て「たんぽぽ」ですが、どこか不思議な語感のある言葉です。てっきり外来語かと思いましたが、拓本を取る時にポンポンと押さえるのに使う、綿を布に包んだもの、「たんぽ」、に穂をつけた「たんぽ穂」が語源のようです。花が咲いた後のネギ坊主のような穂がたんぽのように見えたのでしょう。たんぽぽが歌われている和歌もあるにはあるようです。「和歌三神」という落語の中に、西行法師が歌ったものとして「音に聞く鼓ヶ滝を打ち見れば川辺に咲きしたんぽぽの花」という歌が出てきます。朝は踏み潰されたような汚い草が、昼には綺麗な黄色い花を咲かせる。そしてまた夜には単なる草に戻る。そんなことを繰り返すたんぽぽは、やはりどこか不思議です。花の感じも、日本たんぽぽでも、どこか日本離れした雰囲気があります。和歌に殆ど詠まれていないのも、そんな理由からでしょうか。


4月11日       <アンビリーバボー>
信じられません。言葉を失います。銀行・生保間の資本の持ち合いが、この一年間で約2兆2000億円から更に一割ほど増えたそうです。お互いに資本を出し合って自己資本を充実させるという手法は、ラウンド・トリップというか、不透明なものを感じます。企業がある人にお金を貸し付けて、そのお金でその企業に出資させると、それは「仮装払い込み」(いわゆる見せ金)といい商法違反で増資になりません。銀行間で資本の持ち合いをしようとしても、それも原則として資本の充実とは勘定されません。しかし例えば劣後債を発行日の翌日以降に購入して持ち合うことにすると、それは資本の充実になるそうです(発行日取引の場合は勘定できません)。しかし銀行・生保間に至っては制限がありません。金融庁は「ルール上認められている」として問題視してないそうですが、このようなルール自体を問題視しないことを私は問題視します。


4月12日      <パラドックス>
マネックスのオフィスからは都心部が広く見渡せます。普段見慣れている風景ですが、よく考えると妙なことに、建設中の大型ビルが多数あります。数えてみると建設用の大型クレーンが見えるだけでも20機はありました。どう見ても景気低迷中の国の風景というよりは、バブル真っ最中だった頃の香港のようです。一方、病院を経営している友人に聞いた話では、来院者、特に入院者が最近めっきり減ったということです。不景気の影響が、医療の領域にまで浸食しているのでしょう。個人はお医者さんに掛かることまでも節約しているのに、都心では大企業が次々に大型ビルを建てている。この不釣り合いの理由は何でしょうか?


4月15日       <ジョー・サンプル>
かつてフュージョンが一世を風靡した頃、或いはその夜明け前の頃にクルセイダーズという人気グループがありました。そのキーボードを弾いていたのがジョー・サンプルです。先週来日していたので例によって夜遅くに聴きに行きました。上手なジャズ・プレイヤーはよくいますが、歌心のあるプレイヤーはなかなかいないものです。自ら弾くメロディー・ラインが美しいだけでなく、グループ・メンバーの選び方にもセンスは出ます。おしゃれなドラム、味のあるボーカル。フュージョンというか、新しいタイプのピアニストとして認知されている彼ですが、もし50年代にプレイしていたらきっとパーカーなどと一緒にうたいまくっていたことでしょう。とても「おいしい」ステージでしたが、一つだけ気になったのはピアニストには珍しく腕時計をしたまま弾いていたことです。やはりいいプレイヤーはどこか変人なのでしょうか。


4月16日       <ノイズ>
私は駅前サウナが大好きです。あの静か過ぎないところが肝心です。サウナに入り、マッサージを受けてから休憩室で一眠り。いくつかの大型テレビが付いていて、将棋をしている人や数人でビールを飲んでいる人がいて、煩わしいようなうるささもなく、神経質になってしまうような静かさもない。オーディオで言うところのホワイト・ノイズ、或いはピンク・ノイズのようなものでしょうか、あの個性のない雑音が神経を和らげます。かつて体力のまだ覚束ない中学生の頃、下校時に電車で座れると、ガラス窓に頭をガンガンぶつけながら、それでも目を覚まさないでよだれを垂らしながら寝ていたことがよくありました。まるで同じように駅前サウナの休憩室では雑音に関わらず、短時間ですが本当に深い眠りにつきます。適度なノイズ(雑音、振動、不整頓など)は重要なものですね。


4月17日       <ストックとフロー>
財務省などでよくある議論に、こちらで税収が5000億円減るので、あちらで同じ分を補おうというのがあります。このことは以前につぶやきで書いたことがありますが、今度は減税を先行させるが、将来増税することとパッケージにするという議論が出ているようです。毎年40兆円の赤字の国なので、このように「フロー」を厳しく管理しようとするのは結構なのですが、それ以上に800兆円という莫大な債務超過(年金の将来給付債務なども含めたベース)がある国に於いて、税の効用というものをもっと戦略的に考えるべきではないでしょうか?毎年40億円の赤字で800億円の累損がある会社においては、5000万円の収入や支出の分析も大切ですが、もっと根本的なリストラ案なりが必要だということです。ストックとフローはお互いに深い関連があることをもっと強く認識すべきではないでしょうか。


4月18日     <写真>
中学からの友人が木村伊兵衛賞を受賞しました。由緒正しい写真賞です。高校の時に、私が写真部部長、彼が会計を務めていました。部にはその2つしか役職がなく、かつ部員全員あわせても10人に足りないような部でした。私は小学生の頃から父に教えられて黒白フィルムの現像などもしていましたが、中学の頃は殆ど撮影もせず、どちらかというと単なるカメラ好きでしたが、彼は中学の頃から撮って撮って撮りまくっており、高校の時に人手不足で部が倒れかけたので、彼に頼まれていきなり部長として入部したのでした。彼は大学でも撮り続け、就職もしないでひたすら自分の写真を追求し続け、今ではアメリカの美術館などにコレクションもされるようになりました。一年ほど前に雑誌の取材の時に、私のポートレートを友情出演で撮りに来てくれました。「なんでそこまでこだわるの?」と聞くと「お前も頑固だけど一緒だよ。自分が可愛いからさ。」と言い切りました。そんな彼の授賞式に、これからちょっと顔を出してきます。


4月19日      <アイリッシュ>
私はどういう訳かアイルランド人との相性がいいのですが、この数日アイリッシュづいています。昨日は私の尊敬するソロモン時代の大ボス、当社の株主でもあり、伝説のトレーダーである、ジョン・メリウェザーがオフィスを訪ねてきました。例のLTCM騒動でいろいろと取り沙汰されてきましたが、知力充実、とても毅然としていつ会ってもやはりカッコイイです。今日はゴールドマン時代のボスであり、今は引退しているマイクがオフィスに顔を出しました。私を育ててくれた恩人です。そして今晩はメリクレアというアイルランド女性が旗を振って実現するのですが、かつてのゴールドマン東京オフィスの仲間が世界中から再会のために集まり、未明まで飲む予定です。ジョン、マイク、メリクレア、皆アイリッシュで、一様に義理人情に厚く、倫理観が高く、友人を本当に大切にします。そんなアイリッシュの先輩や友人と、いつまでも楽しく交われるような、そんな生き方をしていきたいと思います。


4月22日      <春の音>
春は香りで、秋は音でその訪れを知るものである。そんなつぶやきを書いたことがありますが(2000年10月17日)、春にも音はあるものです。耳を澄ませてみるといろいろな音が聞こえます。小鳥のさえずりが一番際立っています。春告鳥ともいうウグイスの鳴き声はもう終わったのでしょうか、しかし注意深く聞くと様々な種類の鳥の鳴き声が聞こえてきます。風に吹かれて木々の葉がさわさわと擦れ合う音も、実は春の音でしょう。冬の間の常緑樹の葉は固くてあのような音は出ませんし、夏は蝉の鳴き声に掻き消されてあの微妙な音は聞こえません。気を付けてみると、いろいろな兆しは身の回りにあるものですね。


4月23日     <免疫>
体に一番効く薬は自らが持っている免疫力です。少なくとも対処療法(風邪薬など)は、痛みとかは和らげますが実際に風邪と闘うのは自らの免疫力であり、もしかしたら本当に効くのはこの免疫力だけなのかも知れません。この免疫力を弱らせる最大の敵がストレスです。ですからストレスがそもそもの原因で病気にかかっている例はとても多いのでしょう。私事で恐縮ですが、かつて外資系証券会社で働いている頃は脂肪肝とかが若干あったのですが、今の方が睡眠時間も短く、休みもなく、酒も毎日のように何かしらの理由で飲むにもかかわらず、先日胃カメラとかエコーで調べたところ、胃も十二指腸も、肝臓も膵臓も、一切問題なしでした。ガンマGPTやらも、かつてよりも正常値に戻っていました。お医者さんからは「何も悩みがないのですか?」と呆れられましたが、自分でも呆れました。ストレス恐るべしですね。


4月24日     <国会議員倍増計画>
連日の国会議員の醜聞には辟易としますが、いつまで経っても構造改革が進まないのにはもっと参ります。もっとも構造改革が必要なのは国会であることはまず間違いないでしょう。一国民からみると「隗より始めよ」とはまさに国会全体のことのように思えます。一票の重さが違憲状態にあると最高裁が判断しているのに、その状態が是正されないというのも法治国家としては恥ずかしい限りです。そこで考えたのですが、今の定数で一票の重さをバランスさせようとするといろいろと技術的にも政治的にも難しいのでしょうから、票の重さが調整できるようにいっそのこと定数を倍増したらどうでしょうか。そうすると新しい議席を目指して若い人とか、ビジネスマンとか、いろいろな人が国会に行こうとし、実際大勢が当選するでしょう。自民党の代議士の数が2倍になって、その増えた人達の平均年令が40才ぐらいで、政治家としての経験が殆ど皆なかったら、流石に政治も変わっていくのではないでしょうか。或いはいきなり一大政党ができるかも知れません。国会議員が倍になったって大したコスト増ではありません。票の重さを是正するという大義名分もあります。似た手法は他国でも採られたことがあります。早く実現できないものでしょうか?


4月25日     <ライト>
ヘッドライトは白か黄色で、テールランプは赤色。これは万国共通のようです。車だけでなく、なんと新幹線も一緒でした。マネックスのオフィスからは新幹線の往来がよく見えるのですが、社員の指摘で見てみると、確かに先頭は黄色で、お尻は赤でした。これは新発見です。白や黄色は、対象物に反射させた時に視認性が高く、一方何色に発光しているものが一番見え易いかという意味では、赤色が視認性が高いのでしょうか?或いはいずれも視認性は黄色が高いのだけれども、どちらが前か後ろかという常識が既にできているので、視認性が次に高い赤色をテールランプに使うのでしょうか?鍛冶橋通りに並んでいる車も、片方の車線は赤色、もう一方は黄色とくっきり分かれています。なんか滑稽といえば滑稽です。


4月26日      <アイリッシュ その2>
一週間前にアイリッシュ(アイルランド人)の先輩や友人のことを書きましたが、その後アイリッシュにまつわることを更にパラパラと思い出しました。大学を出て最初の職場はソロモン・ブラザーズというアメリカの投資銀行だった訳ですが、ニューヨークでの最初のボスがやはりアイリッシュでした。彼はジョン・メリウェザー(JM)の友人で、LTCMを経て今も相変わらずJMと一緒に働いているのですが、私にとっての次の職場であるゴールドマンで悩み事がある時なども、重要な問題の時は彼に相談しました。ゴールドマンを辞める時にも相談しましたが、相談を受ける時はいつでも本当に真剣に話を聞いてくれて、誠実に意見を言ってくれます。年の差とか、かつて上司とぺーぺーの部下であったとか、そういったことを一切感じさせません。いつだったか彼が言ったことがずっと胸に沁みています。「友達には大切な友達とかそれほど大切でない友達とか、そういった区別はないんだよ。友達である以上、僕は全ての友達と同じようにしか付き合わないんだ。」


4月30日     <ラリー・カールトン・ライブ>
また行ってしまいました、金曜日の晩。ラリー・カールトンといえば、あの「ルーム335」の早弾きで有名になった、フュージョン系の軽い受け狙いギタリストといったイメージがかつてはありましたが、今は随分違います。一昨年、昨年、今年と3年間続けて彼のステージを見てきましたが、一言「最高」です。彼はロスの家に泥棒が入り、それを目撃してしまったばかりに背中に銃弾を受け、左半身(特に左手)が動かなくなってしまったのですが、それからリハビリを重ね、早弾きのできない早弾きギタリストはまたステージに立ったのです。一昨年のステージでは、ルーム335は弾きたがりませんでしたし、アンコールでようやく弾いてもソロ・フレーズは弾きませんでした。明らかにまだ指が動き切らないのが分かりました。しかしその時も、今回も、いつも本当に楽しそうで、音楽をギターを心底愛しているのが伝わってきます。今では指もかなり動くようになりましたが、とにかく自分の音楽が好きで、そしてその気持ちを伝える技を持っている、そのことが聴衆の心を衝き動かすのでしょう。どんな仕事でもこれは同じだろうと、そう思いました。誰にも負けない程好きであること、そしてそれをちゃんと表現して伝えて共有できること。う~ん、大変だなぁ。