2002年1月4日     <新春にあたって>
新年明けましておめでとうございます。
年末年始はテレビばかり見ていました。元々大好きなのに普段ほとんど見る時間がないので中毒患者のように食いついていました。忠臣蔵、筋肉バトル・スポーツマン1決定戦、フード・バトル・クラブ等々。勿論サッカーやラグビーの選手権も見ました。私は単純なので一つの目的の為に闘う姿には感動してしまいます。そして闘いは大体の場合自分との闘いです。私はスポーツマンでもないし武士でもありません。しかし私もマネックスもしっかりとした目的を持って自らと闘っていかないといけないと思います。必要に応じて外部とも闘わなければいけない場面もあるでしょう。2002年は馬年です。
「天を行くは龍に如くはなく、地を行くは馬に如くはなし」
弛まぬ努力をしていく所存です。本年も何卒宜しくお願い申しあげます。


1月7日      <僅差>
理化学研究所の国際共同チームが人間とチンパンジーの遺伝情報を記録している化学物質約2000万個を比較するという大規模な実験の結果、両者の遺伝情報の違いは僅かに1.23%しかないことを明らかにしたらしい。しかも知能の差などを生んでいるのは、その違いの更に数%の部分でしかないらしい。片や未だにバナナを食べている裸の動物と、片や太陽系の果てまで宇宙船を飛ばしてしまう生命体。いやはや、驚きです。(片や悩みも(ほとんど)なくエイズにもならないので、どっちがより優れているかという議論ではありません。念の為。)私の目の前に座っている某氏と私の遺伝子情報の違いの方がもっと大きそうですが、やはり構造的な違いと蓄積というのは何物をも超える大きなものなのでしょう。ふと思うにこれは政治・経済・ビジネスにおいても同様かも知れませんね。


1月8日      <中国>
最近中国が気になります。遂にWTOにも参加したので、グローバリゼーションの渦にも巻き込まれていくでしょうか。かつて日本が国際社会に復帰し、経済力を強めるに従って、1ドル360円から100円以下まで円が切り上げられて行ったように、いずれ中国も国際社会の税金というか参加料を払わせられることになるのでしょうか(しかしそれは同時に中国資産の国際的な価値の上昇を意味します)。中国の人口は13億人、日本の約10倍です。GDPは約150兆円、日本は約500兆円。中国A株、B株、香港株などを足した時価総額は約150兆円、日本は約320兆円です。因みに米国においては時価総額はGDPの約1.5倍です。いずれ中国のGDPが日本のそれに並ぶ日も来るかも知れません。注意深く、大きな興味を持って中国は見ていきたいと思います。


1月9日       <個人向け変動利付国債>
財務省が検討しているとされる個人向けの変動利付国債というのはどうもピンと来ません。昨年12月7日のつぶやきにも書いたように、個人による国の信用の金融商品保有が我が国においては低いという理由はあり得ないと思います。国債発行の消化懸念という理由は、銀行が買わなくなって誰も買わなくなった場合にもし増税によって台所事情を賄うということになると、それは本質論としては正しいのですが、当面の経済状況を考えると中々難しい等、単純にはいい悪いを言い切れない側面もあるでしょう。しかし「インフレ時に有利な金融資産として変動利付で」というのはどうも変な気がします。何故なら景気が良くなってインフレになるなら税収も増えるでしょうし、国債消化をそれほど気にする必要もないでしょう。だとすると日本売りによる為替の暴落(円安)に伴う輸入インフレを心配してくれているとすると、その原因はそもそも財政破綻にあり、それに対応するために更にインフレに応じて利子が高くなる借金をしようというのは蛸が足を食うみたいでどこかおかしくないでしょうか?


1月10日    <円周率>
オイル・マッサージを受けていて、小さい人と大きい人でどれだけ使用するオイルの量が違うのだろうと気になり始めました。球の表面積は4PRR(文字化けを避けるためパイをP、半径をRとし、Rの二乗をRRと表記しています)ですから、仮に身長160センチと190センチの人で較べると、球として身長の比の二乗、即ち40%も違うことになります。そこから昔習ったいろいろな公式が気になり始めました。円の面積はPRR。ということは、半径を一辺とする正方形を考えると、その中にある扇のような4分の1円の面積は正方形の4分のP、即ち75%程度ということになります。なるほど、そんな感じです。球を半分に割った半球のドーム部分の表面積は2PRRですから、口となっている円の面積の2倍。口の大きさの餃子の皮をドームに乗せてぴったりドームに合うように延ばすと半分の薄さになるということです。なるほど、そう言われるとそんな感じがします。今だからそう考えられますが、公式を覚えた頃は何も考えずに棒覚えしてました。そういう風に先生も教えてくれなかったし。今思うと、感受性は豊かであった一方で、随分単眼的な考え方をしていたものだと思います。(でも先生もそうだったのかなぁ)


1月11日      <博打小説>
私は阿佐田哲也さんの本が大好きでよく読んだものです。勝負師達の人生絵図とか登場人物の人間模様もとても愉しいし、何より文章が上手なので読んでて飽きないのですが、賭け事にまつわる哲学というのも中々読み応えのあるものでした。例えば麻雀は究極的にはツキを4人の間で如何にコントロールするゲームなのだ、というような考えは、私には真実のように思え、中々含蓄に富んでいると思ったものです。博打小説ではないのですが、私は山田風太郎さんの小説も大好きです。兎に角娯楽小説として最高に愉快であり、かつ文章も美味この上ない訳ですが、この前読んだある小説の最後が、「新入。これでばくちア賽より相手を見ろって、御教訓のテニヲハがわかっただろう?」と〆られていて唸ってしまいました。これはトレーディングにも一脈通じるものがありますね。


1月15日     <引っ越しました>
10月に発表した中間決算短信にも記載した通り(7頁)、この週末に本社の引越しを行ないました。あまりにも手狭であったのと、居た場所がいずれにしろ一年後には借りられなくなるためです。新しいオフィスは丸の内1-11-1、香港の財閥の立てたPCPというビルの19階です。やはり短信に書いたように家賃は月間で5百万円ほど上がりますが、一約定当たりの限界利益を1000円とすると、一日当たり250件多く、最近の実績から計算すると3、4%程度約定が増えれば何とか高くなった分を払えます。ロケーションとしては最高で、東証も近いし東京駅からも150メートルという近さです。やはりお客様商売ですから、人が集まり行き来する場所に近いのは縁起のいいことだと思っています。鍛冶橋の北西の角であり、東京駅の東側というと八重洲と思いがちですが、江戸城の東側は、神田橋、呉服橋、鍛冶橋、数寄屋橋までのお堀で囲まれた地域を御曲輪(くるわ)内と呼んでいたので正真正銘の丸の内です。皇居、北の丸公園、皇居外苑に足して、今の町名で言うと大手町、丸の内、有楽町までがちょうど御曲輪内になります。古地図で見るとこの場所は「松平三河守」の上屋敷となっています。将軍家康の次男秀康は豊臣秀吉の養子となり、更には関東の名族の結城氏を継いで結城秀康となり、のちに関ヶ原の戦いでの功績から越前(今の福井県)68万石に封ぜられました。これが結城三河守秀康で、その長男が松平三河守忠直。二代将軍秀忠は家康の三男なので、忠直は将軍家の兄筋で、かつ家康の孫に当たります。大坂冬の陣、夏の陣での功績も素晴らしかったそうですが、のちに乱行により除封。名家ということで子孫が美作津山(今の岡山県)に再興を許されました。幕末の美作津山藩主は松平三河守慶倫です。津山藩は10万石であまり大きな藩ではありませんでしたが、将軍家の兄筋の嫡男宗家であり、家門のなかでも極めて高位の家柄だったようです。そんなお屋敷の上方から、東京駅、丸の内一帯、皇居、銀座が見渡せます。17階、18階には当社と同日に上場したJSATさんが入居しており、二段ロケットで推し上げられるようでもあります。そんなオフィスから心機一転、社員一同更にバリバリ頑張って仕事をして参りたいと思います。


1月16日      <元本保証>
かつて私が外資系の投資銀行でデリバティブを担当していた頃、いわゆる仕組み債といったものを多く扱っていました。これは債券なのですが、元本や毎年払われる利子(クーポン)が、ある特定の株式の値段や指数、或いは金利の動きに応じて変化するというものです。具体的には例えば償還時のある指数を計算式に代入して得られる値が償還元本額になるというようなものです。当時私の勤めていた会社では、クーポンが計算式に連動していて元本部分は基本的にパー(100%)のままのものを「プリンシパル・ギャランティード」(元本保証)と呼んでいました(そしてそのような呼び方が業界の標準でもありました)。私はその部署の責任者だったのですが、ある日この呼び方を「フィックスト・プリンシパル」(元本固定)と変更しました。元本部分はその債券の発行体の信用力によって流通市場で値段が変わり、あくまでも「保証」しているのは借り手が、自分自身で自らの返済を保証しているだけだからです。あれからもう10年ぐらい経つでしょうか。


1月17日       <トップ・レフト>
主幹事っていい響きです。2月の18日にナスダック・ジャパンに上場するソフトウェア会社のソースネクスト株式会社の主幹事をマネックスは務めます。外資系証券会社が何年も掛かっても中々取れなかった主幹事。私自身、債券ではありますが引受の仕事は長い間していたこともあり、感無量なものがあります。欧米では株や債券を新規に発行する際にはトゥーム・ストーン(墓碑)といって、新規発行銘柄の主な内容や引受する証券会社団の名前を記した広告のようなものを新聞に発表したり、或いはプラスチックで記念の置物を作ったりします。その際に、どこに証券会社の名前が書かれるかで引受シンジケート団における格が分かります。この週末には秋葉原のラオックス「ザ・コンピュータ館」の店頭で、初の主幹事を記念した口座開設キャンペーンをマネックス社員総出(交替ですが)で催します。これからもいっぱいトップ・レフトを務めていきたいと思います。


1月18日     <囲い込み>
ビジネスの世界では「囲い込み」という概念がよく語られますが、究極の囲い込みはカジノだと思います。アメリカではカジノは基本的に砂漠の真中や、周りに何もないような所にあります。ラスベガス然り、アトランティック・シティー然り。そしてカジノの中にはエンターテイメントやショッピング・モール、高級品店などがあり、備え付けのホテルに泊まるのが基本コースになっています。要はお金を使いやすいような設定になっている訳です。お金を使うのは本人とは限りませんから、お父さんに付いて来た家族が散財できそうな仕掛けでも構いません。しかし一歩外に出ると何もない。そうすると仮に賭けで勝っても、その勝ち金の多くがカジノや少なくともその街の中で費やされることになります。一方ロンドンのカジノは街なかにあり、勝つとすぐに「じゃあ一杯行くか」ということになってしまうので、ロンドンのカジノはあまり儲かっているように見えませんが、アメリカのカジノは大儲けといった感じです。中々考えられていますね。


1月21日       <エレキ>
電化製品のことを英語では「エレクトリカル アプライアンス」と言い、日本においても業界の人はエレキと言ったりします。私はエレキに目がありません。しょっちゅう秋葉原に行っていろいろな店を覗いては、たまに衝動買いをしてしまいます。この週末も当社として初めての主幹事案件(ソースネクスト)の記念キャンペーンを秋葉原でしていたのですが、ちょっと抜け出して店の中に行き、ソニーのネットワーク・ウォークマンを買ってしまいました。重さたったの55グラム(内蔵電池含む)。ポケットライター程度の大きさで、重さも金属製のライターより軽いシロモノです。デザインも性能も申し分ないのですが、あまり書くとまるで宣伝みたいなので控えます。ネットワーク上での音楽配信などについては、世間、特にアメリカ、ではナップスターとレコード業界の間などでかなり激しい論争が行なわれていますが、MP3(インターネット上で広く普及している音声圧縮規格)はリオ(当時のプレイヤー)が世に出始めた3年前頃に試しにいろいろ聞いたぐらいで暫く御無沙汰していました。実際に使ってみないと世の中に遅れてしまうという焦りのような気持ちもありましたが、不安的中。しかし日本の技術は捨てたモンではありませんね。


1月22日       <信用取引 その3>
マネックスが信用取引をやらない理由については「その1」「その2」として去年の2月5日、6日につぶやきに書きました。個人投資家と他の市場参加者との間の情報量、情報速度、資金量などの格差が大きな理由です。私は元々外資系の証券会社でトレーディングを10年以上していたので、その経験に私の考えは基づいています。しかし昨日の業績発表の場で、より広いリスク回避手段の一つとして信用取引についても再検討する旨を述べました。これは考え方が変わった訳ではありません。今までも常に継続的に検討してきましたが、引き続きお客様からの要望もある中で、マネックスとしての信用取引への取り組みをもう少し明確にする責任があると考えました。ただ単に「信用はやらない」と言い続けても、世間ではオンライン証券が軒並み信用取引を提供しているので、数多くの方々が信用取引を結果として始めることになるでしょう。そしてその方々に対して、我々はマネックスの考え方を伝える術を失って行くかも知れません。当事者とならなければ影響を与えられないという場合もあります。再検討の結果、信用取引を導入するかも知れませんし、導入しないかも知れません。導入する場合であっても、それは「マネックス型の」「マネックスならではの」信用取引でなければいけない思っています。暫く時間をかけて、お客様の御意見も聞きながら、きちんと考えていきたいと思います。


1月23日      <ウェブ>
最近私のブラウザの「お気に入り」のページがほとんど増えません。面白いページの発見がない訳です。それは「面白い、新しいページがない」のか、「そういうページを発見する時間がない」のかの、どちらかだと思います。ウェブ文化の繁殖もちょっと停滞期に入ったのでしょうか。と、ここまで書いて、どうやらこの考え方は大きく間違っているのではないかと思い始めました。新しい、面白いページがないと思うのは、自分の興味や感性が貧弱になってきているからではないでしょうか。「時間がない」というのは、大抵の場合言い訳です。ウェブ文化が停滞する確率よりも、自分の脳が停滞する可能性の方が遥かに高いに決まっています。こういうことには気をつけないといけないですね。


1月24日       <お金の流れ>
一年間に公的年金受給者が受け取る金額って、国全体でいくらぐらいだと思いますか?何と、約40兆円です。我が国の歳入が約40兆円、歳出が約80兆円ですから、赤字部分はちょうど年金給付額と同じということになります。実際には既に積み立てられている基金からの支払いがあるので、国の一般会計からの支給額はその半分以下です。しかし国民の年齢構成を考えると将来基金が破綻することはほぼ明らかですから、いずれ年金給付額のほとんどが、若い世代からの毎年の負担額(こうなるとほぼ税金みたいなものですが)と一般会計からの支払いになるでしょう。そうなると国の歳出の大部分が借金(国債)の返済と年金給付になってしまいます。一方年金受給者層の持っている個人金融資産は恐らく1400兆円の半分ぐらいでしょうか。お金の流れ方がこのままでは、構造的な財政・経済問題があるように見えますが、勘違いでしょうか?


1月25日      <円預金・貯金・国債>
資産設計部の活動は既に始まっています(資産設計部については去年の12月4日につぶやきに書いてます)。いろいろと金融不安がある中で、元本保証型の円建て金融商品は安全な避難場所としての人気があります。確かに貯金しておけば日銀券100枚はいつだってそのまま(ほんのちょっとだけ利子がついて)返ってきます。しかし円安とかインフレとかになると今の100万円分の価値、購買力は返ってきません。例えば、ヨーロッパに行けたお金でハワイにしか行けなくなるかも知れません。MMFの元本割れや、ペイオフの解禁は数あるリスクの中の一つであり、円安やインフレといったよりマクロなリスクも同時に考えなければいけません。そういう観点から資産設計部ではいろいろな人にインタビューを始めました。まだ始めたばかりですが、今までにも財政に関わる政府高官、日銀の金融政策に関わる幹部、厚生労働省の年金担当官僚などの方々にお話を伺いました。議論をある程度尽くしたあとで、最後に御自身が自らの金融資産を運用する場合、円預金・貯金・国債のような円建てで元本のある資産(広義の円債権)に全体の何%分配するかを伺いました(因みにこれ以外の資産は、株か外貨資産になります)。さて答えは・・・。今までの所、最小で10%、最大でも3分の1です。中々興味深い結果ですね。


1月28日      <相続税と贈与税>
昨日フジテレビの報道2001で「税制大胆提言」をさせて頂きました。相続税を極端に高くして、同時に生前贈与税を極端に低くする、というものです(これは幼児への生前贈与みたいなインチキは勿論禁止しての話です)。1400兆円といわれる個人金融資産の恐らく半分以上が60歳以上の方々の元にあり、かつ同じ年齢層に毎年40兆円という国の税収に等しい額の年金が給付されているという事実。私は我が国の礎を作られた今の高齢の方々は尊敬され、豊かな暮らしが保障されるべきだと思いますが、そのことと、我が国の経済を考える時に、果たしてそれだけの金額がその高齢者層に集中していて、恐らく積極的な投資にも消費にもあまり使われていないというマイナスの影響を憂慮することとは別の次元の話だと考えています。もっとこのお金を有効に活用しなければ経済の復興は難しいと思いますし、そもそもこれだけのお金を流動性の低い場所に溜めてきたこの10年間は、経済が失速して当然だったのではないかとまで思えてきてしまいます。


1月29日    <温泉の格付け>
温泉の本格度をランク付けする動きがあるらしい。例えば「ぬめり」が、本当に効き目のある温泉成分からきているのか、汚い話で恐縮ですが湯に浸かった大勢の人の脂分からきているのかとかを分析して、6段階だかに区分するのだそうです。私は反対ですね。温泉は科学的な効用だけが目的で行く訳ではなく、なごむとかそういった感情的な余裕を求めていく場合の方が多いと思うのですが、そういう所に科学とか評価を持ち込んでも如何なものかと思います。科学的には本格的でなくとも癒し度ナンバー1だった温泉はどこかありがたみが減りますし、一方科学的に本格的だと格付けされた温泉が混んでしまったら、やはり余裕がなくなります。結局温泉界全体の効用が減るだけではないかと、私は思ってしまいます。


1月30日       <黒タク>
東京では最近黒塗りのタクシーが増えています。昔に逆戻りみたいですが、どんなTPOでも利用できますし、どこかハイヤーみたいで高級感もあり、内装もタクシーとハイヤーの中間のような作りになっているので人気です。これはそもそも大手のK社がニュー・カラー・タクシーといって濃紺色で始めたのですが、他の大手も今は追随していて毎日増殖しています。昨日乗ったK社黒タクの運転手さんに聞いたのですが、同社は全ての車を黒タクに換えるつもりだったところ、他社から「クレーム」が来てこの3月に黒タク変換を止めるそうです。一人勝ちは許さないということでしょうか。折角いいアイデアを思いついたのにおかしな話です。何よりも利用者が喜んで使っている黒タクの増え方が、こういった理由で止まってしまうというのは何とも不可解な国です。


1月31日     <国際会議の場>
今日からNYで世界経済フォーラム年次総会が開かれます(私も週末に参加します)。通称ダボス会議ですが、今年は例のテロの件があり、初めてスイスの山奥ダボスを出て敢えてマンハッタンで催されます。NYの復興を世界にアピールするといった趣向だと思いますが、ダボス会議の場としてはあまり宜しくないと思います。第一にダボスは山奥でネットワーク環境もさして良くなく、他にすることもないので議論に集中できますが、NYだといくらでもビジネスが出来ますから極めて落ち着きのない会議になりそうな気がします。第二に当然参加者に占めるアメリカ人の比率がとても高くなり、アメリカのビジネス・スクール的な議論の仕方に強く押される可能性が高く、言った者勝ちの雰囲気が強くなる気もします。そして何より、最も重要なテーマの一つであろうナイン・イレブン(昨年9月11日のテロ)に関して、「アメリカにもこういう悪い点もあった」というような論点がタブーになってしまう危険があるのではないでしょうか。それは開けた国際的な、多様な価値観の並存を探る国際会議のセット・アップとしては致命的な弱みがあるように私には感じられます。果たしてどうなるやら要注目です。