イギリスの国民投票は、EUを離脱することを選択しました。しかしその直後から、後悔する人たちが大量に出て、投票のやり直しをしてくれという署名が既に300万人超えたとのこと。離脱票と残留票の差の2倍を超える数です。国民投票の結果が分かった頃から、イギリスに於いては「EUを離脱するとどうなるか?」「EUの加盟国は?」更には「EUとは?」などのフレーズの検索がネット上で大量に行われたとのことで、アメリカの某メディアには「イギリス人は何を国民投票したか分かってなかったのではないか?」とまで書かれる始末です。離脱派を扇動したのは元メディア界の人たちで、かなり適当に空手形を切っていたようですが、ポピュリズム的に、その内容を確認しないで、その言葉に乗せられてしまった人も多くいたのでしょう。

 しかし、直接民主主義的な国民投票なんて、こんなもんです。どう転がるか分からない。どんな目が出るか分からない。そんなもんです。問題は、そんなギャンブルに国の行方を委ねたキャメロン首相の浅はかさだと思います。多数決で重大なことを決めるならば、リーダーなんて要りません。カウンターがあればよろしい。同じ意味で、シリアへの軍事介入に議会の判断を聞いたオバマ大統領も、私の定義では、リーダーとして失格だと思います。

 右の橋は燃えている。左の橋は燃えていない。しかし、ハッキリとは見えないが、右の橋の先は安全な場所で、左の橋の先は燃えている。仲間を連れて橋を渡る決断をしなければいけないリーダーは、仲間の声を聞いて決めればいい訳ではない。何故ならばこのケースでは恐らく仲間は左の橋を渡りたいと云うから。自分なりに情報を収集して判断して、右の橋を渡ると云い、かつ仲間を従わさなければいけない。それがリーダーというものでしょう。因みにこのリーダー観は、小学生の時に読んだバイオレンスジャックの一場面で、強く私の心に刻みつけられたのでした。リーダーシップは何たるかを、再認識させられた数日でした。