世界各地で起きているテロには、本当に心が痛みます。言葉が見つかりません。ロシア機の墜落、ベイルート、バグダッド、アンカラでの爆発、そしてこの週末に掛けてのパリでの同時テロ。本当に悲しい気持ちと、やるせない気持ちと、怒りが混ざり合います。今後日本はどのような対応と取り組みをしていくのでしょうか?様々な論争が想像され、しかも中々複雑なものになりそうで、気が重いです。

 さてこのテロですが、その主体は自称Islamic State(ISIS)です。日本では一般にイスラム国と訳されています。イスラムとして覇権を取りたいとの思想から、このような名称を付けたものと思われますが、英字メディアでは一般にIslamic State、もしくはISISと書かれており、一般に英語人が口に出して話す時には、Islamic Stateとは云わずに、ISとかISISと云います。これは恐らく、テロリストの意図を知りながらも、それを認めることにそこはかとない嫌悪感を感じ、Stateとは云わずに、ISISなどと云うのだと思います。活字の場合も、Stateであれば状態・組織・州・国と幅広い意味があるので、まぁ許容しているのだと思います。

 片や日本に於いては、広く一般にイスラム国と書かれ、そして云われます。私はそのことに若干の違和感を感じます。このテロ組織は、覇権を狙う思想がある点で、今までのテロ組織とは違うので、その背景を日本語で情報を取る人に分かってもらうために、イスラム国と表記するのは、確かに理由があります。でもそうであれば、「過激派組織『イスラム国』(IS=Islamic State)」と表記するよりは、「イスラム国を名乗るテロ組織IS(もしくはISIS)」などと表記した方が、世界の標準的表記や感覚に近いと思うのですが、これは私の個人的な語感の問題でしょうか?少々思い込みが過ぎるのかも知れません。

 しかし似たようなことは最近他にもありました。ミャンマーとは、元々ビルマと云う名前だったのですが、軍事政権にゆかりのある形で、ミャンマーに変更されたものです。そのため、日本に於いてはミャンマーと表記するのが国の方針ですが、欧米に於いては、この背景を念頭に、敢えてビルマと表記する国もあります。アメリカ合衆国もそのひとつです。先日のアウンサンスーチー率いるNLDの勝利に際しても、ホワイトハウスは敢えてビルマのアウンサンスーチーにお祝いを述べる云々、と発表しました。然しながら日本の新聞等では、ホワイトハウスの公表文の引用の中でも、”ミャンマー”と書いていました。これではアメリカの意図を無視して上塗りすることになります。

 私の考えすぎかも知れません。しかし細かいことかも知れませんが、国際社会の一員として、日本はもう少し海外の名称について、神経を配るというか、世界の他の主要国はどのように対応しているかについて意識した方がいいのではないかと思っています。