デフレとインフレとどちらがいいか?これは神学論争のようなところがあり、色々な論点があるでしょう。短期的に見た人々の生活の観点からは、どちらがいいかは微妙です。デフレの方が暮らしやすいと云う人も多いでしょう。インフレだと様々な差が付きやすいと云う問題もあります。

 デフレと預貯金が多いことは、或る意味で双子の現象で、デフレ期は株式投資よりも預貯金する方が有利です。一方インフレになって来ると、一般にすぐには収入は増えないので、預貯金を取り崩すようになり、貯蓄率は減り、すると年金などで国民の老後を支えなくてはいけないので、株価を上げる政策と、公的年金などが株式比率を上げる政策が採られます。株価を上げる政策には、ROE革命なども含まれますし、年金が株式比率を高める時には、国民に対する説明責任から、今後金融投資教育などに力が入れられていくでしょう。

 こう考えると、デフレもインフレも或る種の選択であり、それぞれに打つべき政策はあるが、国民生活の観点からは、一見どちらもあり得るように思えます。しかしデフレを続けると、自国通貨が高くなり国際競争力が落ちてしまう。或いはデフレが続くと今日買わないで明日買う・今日やらないで明日やればいいと云うデフレマインドが蔓延し国全体の本質的競争力・生産性が落ちてしまう、或いはお金の量が少ないので数字で見た我が国の成績が悪く見えてしまい海外からの投資が減ってしまう、と云った様々な国際社会に於ける比較競争力が落ちてしまうと云う問題があるように思えます。

 ですからインフレ政策は、単なる二者択一のチョイスではなく、現在のインフレ的国際社会の中に於いては、必須の国策だと考えられます。国策に売りなし。マーケットは最近落ち着いていますが、まだまだこれからではないでしょうか?