原油が安くなると株が売られる。どうしてでしょう?マクロ的に見ると、原油に関して起きていることは、非産油国や原油消費大国が産油国から原油を買い産油国にお金を払うということです。産油国以外にとっては、いいことです。消費国に於いても原油の在庫があるので、その価値が毀損するという点はどうでしょう。これも短期的には評価損が出ますが、長い目で見れば仕入れ値段が下がるのでいいことです。アメリカはシェールガス生産設備に莫大な投資をしてきたので、エネルギーの値段が下がるとその投資が無駄になるという点はどうでしょう?投資した生産設備で安いシェールガスを生産するのも、シェールガス生産設備に投資したので結果産油国が値下げして安い原油というエネルギーを調達できるようになったのも、マクロ的には同じ効果のように思えます。エネルギー価格が下がることによって、インフレが起きなくなるという点はどうでしょう。これも本来はいいことです。みんなが必要とするものの値段が下がるのですから、悪い話ではありません。

 こう考えると、原油安は(産油国以外の)経済にとって、プラスばかりでマイナスはないように思われます。しかし何故株は売られたのでしょう。唯一の問題は、原油安によってインフレ率が下がることが、人々の心理に悪影響をもたらすという点でしょう。デフレスパイラル的な縮小均衡的マインドが生まれてくるリスクです。そこを突いて、投機筋が売り仕掛けをしたり、実際不安心理が生まれて取り敢えずリスクポジションを外すので株価は下がったのでしょう。いい買い場があることを願います。然しながらこの急激な原油価格の変化は、未知の領域に近いので、まだまだ見落としている点があるかも知れません。慎重に見ていきたいと思います。