JALが日本の航空業界の慣例を破って、ボーイングではなくエアバスから大型機を数十台購入する契約を結んだ。慣例はどこから来たかと云えば、それはもちろん日米政府間のかつての貿易摩擦の解消から始まって重層に重なる理由に基づいているだろう。それは日本という国のコストを、私企業に分担して負わせてきた仕組みでもある。それは必ずしも日本だけに存在する仕組みではなく、世界の至る所で何かしらの形での官民一体型の対応というものは行われていると思う。

 そこに降って湧いた、JALとエアバス間の約1兆円の契約である。これは慣習を守らなくていい者の競争力を如実にあらわしているのではないか?explicitな意味だけでなく、概念的な意味での”税金を払う”という表現が使われることが、英語でも日本語でもある。税金を払わなくて済めば、企業の利益は増える。

 かつて国(Nation)は強大な実力と概念上の影響力を持っていた。今でも一部の国ではそうである。しかし多くの先進国においては、国のそういった力は低くなってきている。科学的に云うと分化したのである。インターネットなどによって社会の造られ方が変わったとも表現できるだろう。そのような時代に、どうやって国や私企業や国民・納税者は、お互いの関係を築き、保っていくのか。JALとエアバスの契約のニュースは、そんなことまでに思いを馳せらせるのであった。